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平成十年三月五日提出
質問第一四号

早稲田大学探検部員殺害事件に関する再質問主意書

提出者  坂上富男




早稲田大学探検部員殺害事件に関する再質問主意書


 右事件についての、質問主意書の答弁書に基づき再質問をする。

一 平成九年十二月二十八日の橋本内閣総理大臣の発言の「本意は、二人の有為の青年が殺害された本件事件は本当に残念なことであり、ペルー軍の兵士が殺害したというのであればもってのほかであるとの気持ちとともに、冒険には危険が伴うため、事前に準備をしてその危険を最小限にとどめる必要があることを伝えようとしたところにあり、犠牲者の方を冒とくする趣旨ではなかった」との答弁である。右の答弁は、橋本総理の当時の気持ちではなく、外務省の担当が弁明のために、「総理の気持ち」であったとして答弁書を作成したものと思われる。何故ならば総理は、「二人の有為の青年が殺害された本件事件は本当に残念なことであり、ペルー軍の兵士が殺害したというのであればもってのほかであるとの気持ち」であったにも拘らず、この気持ちを隠して言葉に現さず橋本総理の口から出た言葉とは「被害者において、十分、事前に準備ができていたのか、冒険好きの僕からしても疑問に思う」との言葉である。総理は、右のごとき気持ちでありながらかかる発言をしたとすれば、なおのこと重大な発言であり、死者を冒とくし内心の意思を隠して死者の屍にムチ打つものである。とても容認できるものではない。質問書の時は、総理が何か勘違いがあって右のごとき発言となったのかと、善意に思いながら質問をしたところであるが、答弁書では「甚だ残念もってのほか」と怒りを覚えていたのであれば何故、素直にその気持ちを発言されなかったのであろうか、怒り同情の気持ちを持ちながら、これを隠して死者に説教を垂れるごときは、死者への冒とくそのものであって他に何と言うべきであろう。質問者としては、日本国民を守るべき日本国の総理が、犠牲になった死者に向かって「準備不足など」と発言されることは、総理の資質以上に人間性の問題であると思う。早大生の犠牲者には、何等の過失や不注意もなく、いかなる準備や完全武装をしたとしても犠牲者は、殺害されたのである。激しい怒りを覚えるのは、私一人ではない。この答弁書は総理の気持ちを聞かないで、外務省の担当が勝手に質問書を言い逃れるために作文したものであると確信しているが如何であろうか。橋本総理の率直な気持ちを答弁されたい。
二 答弁書によれば、「本件事件につき、政府は、本件事件へのペルー軍人の関与がペルー軍により確認されたのを受け、平成九年十二月二十七日、小西ペルー大使を通じ、事件の真相の究明や究明後に事件に関与した者への厳正な処罰を行うよう申し入れた。また、同月三十日、小西大使は、橋本総理大臣の意をも踏まえ、政府を代表して、ペルー政府に対し、本件事件に関与した者への厳正な処罰を改めて申し入れるとともに、「本来市民の生命と安全を守るべき立場にある軍人が集団として罪のない青年を殺害したことは極めて遺憾である」旨表明している。」と答弁しているが、十二月二十七日現在、ペルー軍人による公務執行中の犯罪であったということは、橋本総理は既に十分熟知し、小西ペルー大使を通じて真相究明と厳正処罰を申し入れたとあるとおり、そしてその翌日である十二月二十八日の総理の問題発言は、右二十七日の事実を踏まえた上での発言なのである。
  総理の言葉は、「本来市民の生命と安全を守るべき立場にある軍人が集団として罪のない青年を殺害したことは極めて遺憾である」との気持ちが総理にあったにも拘らず、その気持ちを日本において記者団に対し率直に表現せずに、死者を冒とくする発言にすりかえて意思と言動が一致していないのである。質問者としては、総理問題発言は不可解の一語につきる。橋本総理は率直な気持ちを語られ、死者への弔いの気持ちを求めたい。
  如何。
三 ペルー政府は、犯人達の軍籍を剥奪し軍事法廷でなく、十二月二十九日ペルー国家検察の手によって裁判所に告発したと言われている。軍人の公務執行中の犯行であるので軍事法廷で裁かれるのが通常だと思われるが、軍籍を剥奪した以上は民間人であるから、裁判所で裁かれるのが通常なのであろうか。ペルー政府は、軍籍剥奪により一般裁判所での裁判で軍人の犯行でなかった、公務執行中でない、国の行為でないと国際世論に対処するつもりなのであろうか。
  日本政府としては、この対応処置についていかなる見解を持つか問う。
四 十二月三十日、小西大使はペルー政府に対し抗議を行ったが、駐ペルー大使館からの抗議の内容が、日本外務省によって変更されたとの情報もある、事実か。変更前の抗議文と変更後の抗議文を明らかにし、その変更の理由を説明されたい。
五 日本政府は、本件事件に対する予審内容の公表をペルー政府に要求しているか。
  もしそれを拒否された場合、日本政府は何らかの外交的処置を講ずるつもりなのか如何。
六 補償問題については、「本件事件の事実関係の解明が進む中で検討がなされるべきものと考える」と、答弁しているが右答弁からみれば、これから一年以上その見通しが立たないのではないかと心配されるところである。補償されたとしても、御遺族の心痛を慰籍できるものではないが、本件はペルー軍人による犯行で公務執行中の犯罪であって、日本政府はペルー政府と外交交渉をするべきであり、その見通しも明らかにする責務があると思われるが右の点について答えられたい。

 右質問する。





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