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平成十年六月十五日提出
質問第五六号

「聴導犬」の公的認定と普及促進に関する質問主意書

提出者  大野由利子




「聴導犬」の公的認定と普及促進に関する質問主意書


 我が国では、聴覚障害者と視覚障害者の方がともに約四十二万人いると言われる。しかし、一見して聴覚障害者は健常者と何ら変わりがないため、一般にも障害者として認識されにくく、外出すれば自動車のクラクションや自転車の鈴を鳴らされ、それに対応できないことによるトラブルなどが発生する。このような現状にもかかわらず、一般の人々の理解や聴覚障害者が安心して暮らせるための社会環境整備も、いまだ彼らの理想とは程遠い状況である。「聴導犬」はこのような状況に置かれる聴覚障害者の生活をサポートし、自立を促すものとして、近年その普及が聴覚障害者や彼らを支える団体から求められるようになっている。
 「聴導犬」とは、耳の不自由な主人のかわりに、自動車のクラクション、火災報知機、電話のベル、防犯ブザー、チャイム音、泥棒など異常者侵入の音を聞き分け、主人に知らせる役割をする犬のことである。高齢者の難聴者が高齢化とともに増加するであろうことを鑑み、その有効性はますます注目されてきている。
 さらに、盲導犬などと違って犬の種類を問わないことから、保健所で処分されるはずの犬から適性のある犬が選択されることもあり、動物愛護の面からも望ましいと言える。
 一方で、聴導犬の普及推進にはいまだ多くの障害が残されている。米国では現在二千頭以上が活躍しているが、我が国では、いまだに十頭あまりの聴導犬が育成されたのみである。これは、全国の盲導犬の数、八百頭に比べても極端に低い。いくつかの民間団体がそれぞれ個別に聴導犬の育成や普及を目指すようになっているが、育成施設運用の資格や訓練士の資格基準もなく、団体によって聴導犬使用のガイドライン等が一様ではない。そのため、聴導犬を提供する側と使用する障害者との認識の差異で、トラブルが起こりうるとも考えられる。また、法的根拠もなく、社会的認知度が低いことから、交通機関、公的な場所での受け入れも厳しい状況となっている。現存の育成団体も、聴導犬を訓練する施設の維持や訓練士の養成、それらにかかる資金の捻出等に関わる多くの問題を抱え、聴覚障害者の方々のニーズに応えるだけの十分な数の聴導犬を低コストで用意できないのが現状である。
 以上のような背景から、次の質問をさせて頂く。

一 聴導犬に対する障害者のニーズがさらに高まっていき、民間団体がより多くの聴導犬を育成してそのニーズに応えていこうとする中で、その有効性に関する研究・調査は必須であると考える。先の介助犬の効果に関する研究と同様にこれを推し進めてはどうかと思うが、政府の見解を問う。
二 盲導犬と区別することなく、聴導犬も公的認定によって、法的根拠を持たせていくべきだと考えるが、政府の見解を問う。
三 公的認定が不可能もしくは不必要と考えるのであれば、その理由をお聞かせ願いたい。又、どのような条件においてなら、公的認定を考えるか、具体的に説明頂きたい。
四 政府は現存の聴導犬育成・普及団体とも提携し、聴導犬使用のための統一したガイドラインや訓練士・訓練施設の資格設定に早急に取り組むべきと考えるが、どうか。
五 聴導犬の受け入れ通告が、交通機関、公的機関、地方自治体、さらに民間団体等にも通告されていくべきだと思うが、どうか。
六 具体的な普及策として、訓練所の設置と訓練士の養成、既存の育成団体に対する資金援助、普及のための組織作りへのサポートや指導などが不可欠と考える。政府の見解を伺いたい。

 右質問する。





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