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平成十年六月十七日提出
質問第六〇号

池田町産業廃棄物処分場建設計画に関する再質問主意書

提出者  保坂展人




池田町産業廃棄物処分場建設計画に関する再質問主意書


 全国で産業廃棄物処分場建設をめぐる議論が厳しく行われている。地方自治体によっては住民投票や、市民参加の議論の場を展開させることで活路を見いだそうと努力しているところも目立ってきた。この問題の根底には、大量に生産しかつ消費を喚起し続けてきた現代社会の構造があるのは言うまでもない。産業廃棄物を減量し、リサイクルする努力は始まっているが、その間にも排出は止まらない。その狭間にあって、地方自治体も住民も苦悩しながら、解決をめざす真摯な作業を始めているのである。
 さる五月七日、「池田町産業廃棄物処分場建設計画に関する質問主意書」(以下、「前回質問」とする)は、違法投棄の代名詞とすらなった豊島の汚染除去を重大な課題とする香川県が、小豆島で新規に計画されている産業廃棄物処分場について問うものであった。末尾に「二十一世紀の子々孫々に恥ずかしくない答弁を求めるものである」と記したのも、答弁姿勢において日本の産業廃棄物処分場問題の今後が示されるものと期待したからである。
 しかし、所定の日時をはるかに超えた一ヵ月を費やしたはずの六月九日の答弁書(以下、「前回答弁書」とする)は、行政上の手続きや浅薄な釈明に終始しており、「二十一世紀の子々孫々の時代に恥ずかしくない」内容とは到底認知しえないものであった。再度の質問に対して、誠意と熟慮をもった答弁を敏速に求めることにしたい。

一 砂防法について
 (1) 前回答弁書「一の(1)について」にあるとおり「土石流災害の防止、河床の上昇による洪水の発生の防止等を図るため」に砂防指定地があるならば、そもそも「産業廃棄物処分場の設置」は不可能ではないか。
 (2) 前回答弁書「一の(2)について」に『「目的が明記」されていないために「法整備上の課題が未解決である」とは考えていない』とあるが、砂防法や香川県砂防管理規則には目的は明記されているか、あるいはないのか。罰則と実効性の関係は十分なのか、検討を要するのか。また、法整備上の課題はあるのかないのか、どちらか。
 (3) 前回答弁書「一の(3)について」で砂防法と森林法の趣旨・保護法益が異なるので「単純に比較することはできない」とのことであった。では、それぞれの趣旨・保護法益を述べた後、精緻かつ複合的な比較照合を示されたい。さらに、砂防法四十一条における「地域の実情」とは具体的に何をさすのか。一般論ではなく具体例をあげて説明されたい。
二 池田町産廃施設計画について
 (1) 前回答弁書「二の(1)について」には「開発審査基準がそのまま適用できる事例とは考えていない」とある。ところが、香川県砂防課は「開発審査基準にもとづいて設置が可能」と判断している。昨年八月四日に、県砂防課長が建設省河川局砂防課専門官と面談して指示をあおいでいることが明らかとなっているが、どのような「指導と助言」を行ったのか具体的に示していただきたい。国と県の見解は正反対のようにも受け取れるが事実か。あるいはどちらかが間違いなのか。
 (2) 前回答弁書「二の(2)及び(3)について」には「解釈及び適用については、基本的には香川県知事が行うべきものであると考える」とあるが、質問の主旨は建設省河川局砂防課専門官が昨年九月十一日に、議員に対して「香川県砂防管理規則・第二条第二項(行為の禁止・立竹木の皆伐)に違反している」と述べたかどうかを確認するところにある。
     このように述べたのか、否か。または、述べたという記憶がないのか、明快にしていただきたい。複数の議員に対して述べたことを事実として答弁できないとすれば、本件質問の骨格を揺るがすことになる。重ねて問うが、述べたとすれば現在も相違はないか。
     また砂防法に基づく砂防指定地の維持管理は、国から地方自治体への委任事務と考えるが、そうであるとすれば国としての「法・規則」に対しての解釈・運用を明らかにすべきではないか。前回質問「二の(3)」にてらして明示できることはないのか。
 (3) 前回答弁書「二の(4)について」にある『「石積等による法止」の施工』とは、具体的に何をさすのか。現地調査の記録、及び写真を参照すると植林をするにあたって開墾が行われたことが確認できる。これは、香川県砂防管理規則の第二条の一「開墾し、または地形を著しく変更すること」に違反するのではないか。
     また『「土質等に適合した植栽」の施工等を命令し』とあるが、そもそも昨年十一月に土砂を搬入したのちに苗木を入れて、十二月には「原状回復」を確認している。前回質問を精読の上、森林法における原状回復と著しい相違を見せる「判断」をしうる根拠とは何か。さらに、原状回復命令は「無届け違法伐採」によって現出した実況を植林によって回復することではないのか否かに明快に答えていただきたい。
     議員が現地調査を行い、調査事実をあげながら質問する項目に対して、誠実に応答ねがいたい。ちなみに森林法における原状回復とは「秋に土ごしらえをして、苗木が休眠から目覚ある直前の春に植林して、少なくとも一年後に活着状況を見て判断する」そうだが、わずか一ヵ月後に判断できたのは、なぜか。
 (4) 前回答弁書「二の(5)について」は、前回質問にある池田町産業廃棄物処分場建設計画の立地条件について問うているものであり、行政の手続きを問うているわけではない。国民の生命、安全にかかわる重大な事項であるにもかかわらず、このような答弁は誠意を欠くものといわざるを得ない。政府の責任ある答弁を求める。
 (5) 前回答弁書「二の(6)について」にある「違法行為を黙認していたものではなく、また、同県が産業廃棄物の最終処分場の設置を前提とした指導を行った事実はない」としているが、昨年十二月十七日に社会民主党調査団に対して、香川県土木部次長は「森林保全対策室より『伐採届け』の区域が『砂防指定地』にかかっているかどうかの調査を頼まれて、平成八年七月二十三日に現地に赴いたところ『違法伐採』を発見し森林保全対策室に報告している」と明言している。一年以上放置していたことを土木部次長のみならず、県砂防課長も認めている。答弁に誤りはないか、あるいは黙認ではなく是認していたことにはならないか。問題があるなら厳しく指導したのかどうか。
     また「設置を前提」としていたと認定しうる根拠として、県廃棄物対策課長は「安定型処分場には『沈砂池・防護壁』は本来は必要ないが、砂防課の指導で設計図が添付されている」と発言し、また業者は「県砂防課の指導で『砂防指定地でやってくれ』ということで『事業計画書』をつくり提出した」(昨年九月放送の山陽放送産廃シリーズの放送より)ことがあげられる。この事実をもって、「設置を前提」と言えないのであれば相応の理由を述べてもらいたい。
     さらに厚生省は個別の産業廃棄物最終処分場及び予定地について「砂防指定地が含まれているか否かは把握していない」との答弁だが、把握する必要はないか。処分場及び予定地で砂防指定地が含まれているケースを把握した場合に何をするか。または、何もしないのか。また厚生省の、池田町産業廃棄物処分場建設計画の立地について厚生省の見解を明らかにされたい。
 (6) 前回答弁書「二の(7)について」で、県のなすべきことは理解した。ところで、計画の是非をめぐっても質問はなされている。前回質問に対して、国として何を心掛けなければならないのか。あるいは、議員からの問題指摘を受けても国が配意する事柄は皆無だと受け止めてよいのか。
 (7) 前回答弁書「二の(8)について」の答弁にあるように「厳正な対処」は即座に必要と思われる。前回質問を受けて、いかなる調査・指導・勧告を行ったか、または行わなかったか。「厳正な対処」は具体的に行われたか、一般論として述べただけなのかを明らかにされたい。
     「豊島の教訓に学んで住民の声を聞く」という問題意識を持っているか否かが重要であると考える。住民の声を真摯に聞くべき必要に迫られているのではないか。県とともに国も前向きに取り組んでよい事柄ではないのか。すでにこれを計画・実施しているのであれば明らかにされたい。
 以上、ほとんどすべての点にわたって再質問をしなければならなかった。世紀末の日本で産業廃棄物処分場問題について解決の方向を見いだすことは国・地方自治体・関連業界・市民すべての重大な関心事である。議員から政府に対しての再質問への答弁書は、次世代の子どもたちが行政府の決意を感受し、困難な問題にも一条の光を投げるような希望をつくり出すような内容となることを心から期待する。

 右質問する。





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