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平成十年十月十六日提出
質問第三〇号

参院選公示日の死刑執行に関する第三回質問主意書

提出者  保坂展人




参院選公示日の死刑執行に関する第三回質問主意書


 八月十一日提出の「参院選公示日の死刑執行に関する再質問主意書」(以下、再質問という)に対する九月十一日付け政府答弁書(以下、答弁書という)は、既に広く報道されている六月二十五日の死刑執行について、事実の確認を拒んだ上、死刑執行で政府に誤りがあった場合などについてただした質問には「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」と答弁しなかった。
 法律に従って行政を運営する政府に対して、法律を制定する国権の最高機関たる立法府の議員が「こんなケースでは、どのように運営するのか」と将来の事態を想定して質問したのに、答弁を得られないというのは、余りにも議員をないがしろにしていないか。
 過去の事実の確認を拒み、将来の事態を想定した質問にも答えないというのであれば、政府は憲法も法律も立法府も無視して思いのままの、専制政治が可能となる。直ちに姿勢を改めるように求める。専制政治を招かないようにあらためて質問する。
 各閣僚においては、総理大臣が所信表明で宣言した「政治主導の行政運営」に基づき、官僚作成の答弁書案の精査をお願いする。国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第七十五条第二項に従い誠実な答弁を求める。

一 死刑執行の事実確認について
 (1) 答弁書「一の(1)について」の「一般論として申し上げれば、死刑の執行については、法令に従い適正に行っているところである」ということを立法府はどのようにして確認すればいいのか。政府を信じていればいい、ということか。
 (2) 過去において、死刑の執行が適正に行われなかったことはあるか。
 (3) 答弁書「一の(6)及び(7)について」によると、内閣総理大臣所信表明の「わが国は、急速な少子高齢化、情報化、国際化などが進展する中で」の「情報化」「国際化」という言葉を聞き、死刑廃止が過半数を占める国際情勢や死刑の情報公開が進んでいる諸外国の例などを思い起こした議員は、見当違いということか。
 (4) 死刑執行をめぐり、重大な過失に基づく事故や執行に関わる公務員による犯罪行為などがあった場合でも、一切の説明を拒むのか。答弁書「一の(10)について」には「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」とあるが、あらためて質問する。
二 国政選挙について
 (1) 答弁書「二の(2)について」によると、英国が慣習上、選挙期間中に各閣僚が意思決定を行う場合、当該決定が取り消せない性質のものでないものに限っているのは、民意の反映の観点から新規政策や重要案件の決定は選挙後に行うとの趣旨だが、日本政府が取り返しのつかない死刑を選挙期間中に執行しているのはなぜか。
 (2) 再質問二の(3)では「米国で大統領や国会議員の選挙期間中、死刑が執行されたケースの有無は『承知していない』ということだが、それは調査せずに把握していないということか。それとも、答弁期間内では調査できなかったということか」とただしたのに、答弁書にはこの部分について、記載がない。明確に答弁されたい。
三 法務省の人事異動について
 (1) 「法務省の職員は勤務終了後、同省内でプライベートな時間を過ごすことがあるのか」とただした再質問三の(2)に対し、答弁書は「勤務時間終了後のプライバシーにかかわる事項については、お答えする立場にはない」と有無を答えなかった。堅苦しいことは言いたくないが、こうした答弁姿勢なので、あえて問う。法務省の電気代はだれが払っているのか。その原資は何か。法務省の職員がプライベートな時間を役所内で過ごすことは許されるのか。
 (2) 六月二十五日午後七時ごろ、議員が法務省で面会した刑事局総務課長は当時、飲酒後だったか。
 (3) 同日、法務省内で酒を伴う職務上の懇親会などはあったか。
四 衆院法務委員会での質疑について
 (1) 七月三十日付け「参院選公示日の死刑執行に関する質問主意書」に対する八月七日政府答弁書「四の(2)について」によれば、政府は「死刑に関する事項については、毎年、死刑執行者数、死刑確定者数等を統計等により可能な限り公表している。また、死刑の言渡しがなされた個々の事件の裁判の内容については、裁判公開の原則により公にされているところである」ので、国会の議論に不都合はないと考えているようだが、国政選挙期間中の死刑執行で、事故や犯罪が発生した場合、どうするのか。答弁書「四の(1)について」では「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」とあるが、あらためて質問する。
 (2) 死刑確定者の無実を示す証拠が刑の執行後に見つかり、死刑確定者の遺族が名誉回復と国家賠償のために再審と民事訴訟を起こした場合、政府はその死刑確定者の刑を執行したことを隠しつづけるのか。答弁書「四の(5)について」では「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」とあるが、あらためて質問する。
五 死刑執行の報道について
  日本における死刑の執行が報道され、外国からそれが事実かどうか確認を求められた場合も今回答弁書(八月七日付け政府答弁書)同様、答えないのか。死刑廃止国と存置国でその対応には、違いが生じるか。答弁書「六の(5)について」では「仮定の御質問には、答弁を差し控えたい」とあるが、あらためて質問する。
六 仮定の質問について
 (1) 国会議員が立法府の制定した法律の運営、行政に関し、政府に将来起りうるケースを想定して仮定の質問をすることは、国民にとって必要なことと考えるか。
 (2) 政府が国会議員の仮定の質問に答えず、法律の運営や行政において現在いかなる課題があるか、議員が知り得ない場合、議員立法による法律の改正などはどのようにして行えばよいのか。
 (3) 死刑に関する事実の確認や仮定の質問に対する答弁を拒むということは、議員による国政調査権を侵害し、議員立法による法改正などの道を閉ざすことにならないか。
 (4) 政府が立法府からの事実確認や仮定の質問を拒み、専制的に運営している行政分野は死刑の執行以外にあるか。
 (5) 政府が立法府からの事実確認や仮定の質問を拒み、専制的に運営する行政は、国民のために必要か。必要と考えるのであれば、その理由を示されたい。
 (6) 死刑廃止条約の批准を求めるNGOや報道関係者によると、法務省は何度批判されても死刑を国会閉会中に執行する方針にこだわり、国会日程をにらみながら十二月十一日、十八日、二十五日のいずれかに執行する準備を進めているというが、本当か。また、次の執行が予想される東京、広島、仙台などの拘置所で、職員が先を競って前記候補日に休暇を取ろうとしているというのは、事実か。こうした刑務官の心情を政府はどのように考えるか。

 右質問する。





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