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平成十一年三月十七日提出
質問第一九号

脱船逃亡者発生時の外国人乗務員上陸禁止措置・連座制に関する質問主意書

提出者  保坂展人




脱船逃亡者発生時の外国人乗務員上陸禁止措置・連座制に関する質問主意書


 出入国管理行政は、わが国を訪れ、また離れる外国人にとって「日本」を代表する顔であり、窓口である。出入国管理行政が、外国人をこれまで礼節を重んじて扱い、また国際基準にてらした適正なルールをもって業務が行われているかどうかに、かねてから疑問を持ってきた私は法務省にたびたび改善を求めてきたところである。
 ところが、入管行政の現場では世界の船員を驚かせ、また不安と不快を増すような措置が行われている。船舶で日本の港湾に入港した外国人乗組員が脱走逃亡したときに、その他の外国人乗組員の上陸を一律に禁止する措置をとる場合があるという。しかも、大型船や客船の場合、同様の事態を生じた際に多数の外国人乗組員が寄港中でありながら船内に閉じ込められ、上陸不許可となる。その後の航海における日本人船員との関係にも悪影響を及ぼすことが懸念される。
 入管当局が違法入国者に対し厳正に対処し、また取り締まるのは職務として当然ではあるが、脱走逃亡者ほう助の容疑があるからといって、無関係で過失のない外国人乗組員全員を上陸禁止措置によって船内に閉じ込める強権的な手法は、果たして国際基準にてらした適正なルールといえるだろうか。
事態を重く受け止め緊急の改善措置を求めるため、以下内閣の答弁を求めたい。

(一) 日本の港湾に寄港する外国人乗組員が脱走逃亡したことが明らかになったとき、その船舶の外国人乗組員の上陸を禁止する措置をとっているのは事実か。
(二) この措置はいつ、いかなる経過でとられたのか。また、この措置の法的根拠を明らかにされたい。
(三) この措置によって上陸禁止とされた外国人乗組員の数、船舶名、及び上陸禁止措置を受けた期間をそれぞれ明らかにされたい。
(四) この措置によって上陸禁止とされた同一船舶は、一年間は再寄港時に同様な措置を受けると聞いているが事実か。事実であればその明細を明らかにされたい。
(五) この措置について日本国内の各国大使館・領事館等から外国人乗組員上陸禁止解除の要望を受けたことはあるか。また、国連の機関、NGO等から指摘を受け改善を求められたことはないか。
(六) 出入国管理行政及び関係法令によると外国人乗組員の扱いは船舶と航空機でどう異なるのか。事務手続上又は法令上の扱いの違いを明らかにされたい。
(七) 国際航空線の外国人乗組員が日本国内で業務中に行方不明となったり、逃亡した場合には船舶同様の措置をとるのか。外国人機長以下のクルーを一歩も機内から出さないか。それとも上陸防止施設に収容するのか。具体的にお答えいただきたい。
(八) 航空機の外国人乗組員が船舶の場合と同様の扱いを受けないとしたらその法令上の根拠は何か。
(九) 外国人乗組員の一人ないし数人が逃亡したことをもって他の外国人乗組員全員を違法行為の容疑で権利制限を行うにあたって、どのような適正手続が存在しているか。
(十) 長期にわたる航海をして日本の港湾に寄港する乗組員が一歩も陸にあがれないことが乗組員にどのような影響を与えると考えるか。
   日本の入管行政同様の入国・上陸禁止措置をとる他の国、港は存在するか。
   入管行政の業務や命令の基準は世界各国の通例を自棄することはないか。
(十一) 脱船逃亡の防止にあたっては政府と海事関係者の協力関係が必要と思うが、政府はどう考えるか。たとえば「脱船逃亡防止のための連絡会」を政府が海事関係者によびかけ、必要な措置をとらないのか。
(十二) 当該措置はILO第一〇八号条約「船員身分証明書に関する条約」に抵触しないか。政府としての見解をただしたい。また一〇八号条約をいまだに批准しない根拠もこの際説明されたい。
(十三) 当該措置はこれまでに段階的に緩和されてきているが、その理由を明らかにされたい。この際不合理な措置そのものを撤廃する考えはないか。

 右質問する。





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