平成十一年四月十五日提出
質問第二六号
ダム事業に伴う生活再建関連事業に関する再質問主意書
提出者 佐藤謙一郎
ダム事業に伴う生活再建関連事業に関する再質問主意書
平成十一年二月二十二日に提出した「質問第一一号ダム事業に伴う生活再建関連事業に関する質問主意書」(以下「質問第一一号」という)に対し、政府から平成十一年三月九日付けで内閣衆質一四五第一一号の答弁書(以下「答弁第一一号」という)が寄せられた。その内容を精査したところ、答弁内容に不明瞭なところがあった。よって、再度以下の質問をするので、誠実な答弁を求める。
今まで実施した総点検及び再評価で各ダム事業の中止又は休止の措置を決めるに当たり、「代替地の造成計画の有無」、「水没予定地の人々との移転同意協定の有無」、「水源地域対策特別措置法によるダム指定の有無」、「生活再建計画の提示の有無」などの事業の進捗状況は、中止又は休止の措置を決めるに当たっての判断材料になっているか。なっているものがあれば、中止又は休止の措置を決めるに当たってどの程度の判断材料になっているのかを明らかにされたい。なっていないとするなら、事業の進捗状況と中止、休止の判断は無関係であると断言できるか。
二 ダム事業の総点検及び再評価では、治水・利水の両面において事業継続の必要性や費用対効果という点から中止又は休止の判断を行うべきであり、事業が進捗しているという理由で事業が継続されることは問題があると考えるが、政府の見解を明快に示されたい。
三 「答弁第一一号」では、今までの総点検及び再評価の結果では、該当する事例がないことから、「提示した生活再建計画に基づいて生活再建事業を進めること」などの可能性を「現時点では検討していない。」という答弁であった。水没予定地住民にとり、移転など生活の再建は、基本的人権に通じる重要な問題であるだけに、該当する事例が出てから検討を行うのでは、甚だ場当たり的で問題がある。基本的人権という観点から、この点に関し、政府の見解を伺いたい。
四 「答弁第一一号」の四によれば、中止又は休止ダム等事業において、付替道路を道路事業として継続する旨の判断が行われたとある。
1 この事例のダム事業名、付替道路の規模、事業費、進捗状況、また道路事業として継続するに当たっての予算措置の方法を明らかにされたい。
2 以下のような進捗状況で事業が中止又は休止となった場合は、どのように対応するか、検討の上、明確に示されたい。
ア 代替地の造成計画が策定されている場合
イ 水没予定地の人々との移転同意の協定が結ばれており、その協定に基づいて補償が行われることになっている場合
ウ 水源地域対策特別措置法によるダム指定が行われており、それに基づいて水源地域整備事業を進めることになっている場合
五 総点検及び再評価を進める際、ダム事業に伴う生活再建関連事業への対応が事前に明らかである場合と、不明である場合とで、関係住民のダム事業に対する考え方は影響を受けると思うが政府の見解を明らかにされたい。
六 「答弁第一一号」の八において「中止又は休止のダム事業において生活再建に係る措置を提示している事例はない」と答弁しているが、平成九年度に休止の決定がされた宮城県の新月ダムの場合は、宮城県及び気仙沼市が昭和五十九年に「ダム周辺地域整備計画」を発表している。このダム周辺地域整備計画は生活再建計画そのものである。この新月ダムにおいて、休止決定後にこの計画をどのように扱うかを宮城県とともに検討したことはあるか。検討済みであればその結果を示されたい。検討したことがなければ、いつ検討するか。住民の意向をどのようにくみ上げるかを示されたい。
右質問する。