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平成十一年七月二日提出
質問第三六号

「絵に描いた餅」の被害者通知制度に関する質問主意書

提出者  保坂展人




「絵に描いた餅」の被害者通知制度に関する質問主意書


 検察が受理した事件の処分状況などについて、事件の被害者側の要望に応じて説明する「被害者通知制度」が四月から始まったが、現場では制度の本旨に沿った運用がなされず、いわゆる「絵に描いた餅」になっていることを示す事例が寄せられた。大阪府河内長野市で一九九四年七月に起きた児童二人の交通死亡事故をめぐり、大阪地検は児童の両親に倣岸不遜な態度で対応し、被疑者の不起訴理由などを十分説明しなかったという。かねてより被害者通知制度の運用に強い関心をはらってきた立場から当事者の調査を行い、法務大臣にも関係機関への是正・指導を求めてきたところである。我が子を失った両親の訴えに基づき、事実関係や責任の所在のほか、被害者通知制度の本旨とその徹底状況、検事教育などについて、以下質問する。

一 被害者通知制度
 (1) 被害者通知制度が導入された経緯、理由を明らかにされたい。
 (2) 同制度が導入されるに当たり、東京都世田谷区で一九九七年十一月、当時小学二年の片山隼君がトラックにはねられ、死亡した事故をめぐる検察当局の対応のまずさは影響したか。
 (3) 隼君事件では、法務大臣が何度も謝罪したが、当時の反省はその後、現場に反映されているか。
 (4) 同制度の本旨は何か。
 (5) 同制度の本旨を全国の検察現場に周知徹底させるため、検事や検察事務官にどのような研修を実施したか。
 (6) 本年度新任の検事、検察事務官には同制度について、どのような研修を実施したか。
二 大阪地検の対応
 (1) 大阪府河内長野市で一九九四年七月、当時小学二年の男子児童二人が乗用車にはねられ、死亡した事故について、大阪地検は今年五月十三日、大阪府警から業務上過失致死容疑などで書類送検された乗用車の運転者を不起訴とした。この事故では、大阪地検堺支部が一九九七年五月に運転者を不起訴としたが、堺検察審査会が不起訴不当を議決し、大阪地検が再捜査していた。大阪地検は再度の不起訴処分について、報道機関にどのような発表をしたか。
 (2) 児童二人の両親は今年五月十三日、「被害者通知制度」に基づき、大阪地検に処分理由などについて説明を求めた。両親によると、その際、大阪地検交通部長は「私がこうして出向いて説明するということは異例なんですから」「特別に交通部長が説明します」と切り出し、約三十分にわたって事故の状況などを説明した。ところが、肝心の不起訴理由については明確に説明しないため、両親が「子どもが飛び出したということですか」と質問すると、交通部長は「飛び出しとは言ってないでしょう」と身を乗り出し、語気を荒げた。また、運転者のスピードの出し過ぎについて尋ねると、交通部長は「いまどき四十キロのところを五十キロで走るのは常識でしょう。そんなことで起訴できません」と言ってにらみつけた上、一方的に退席したという。両親は暴言と恫喝の数々に深い精神的ダメージを受けたと話している。両親の話は事実か。
 (3) この事故では、堺検察審査会が不起訴不当を議決したほか、民事裁判の判決も運転者の過失を認定し、賠償を命じた。両親は大阪地検の再捜査に大きな期待をかけていた。被害者通知制度の本旨からは、こうしたケースでは両親にどのような姿勢で対応すべきと考えるか。暴言と恫喝で対応するのが同制度の本旨か。
 (4) 大阪地検は今年一月二十日と三月十一日、児童の母親から事情を聴いた。母親によると、その際に担当検事から事故後の状況について、母親の供述が信用できないとして、約四時間にわたって大声で追及され、犯人のような扱いを受けたという。これは事実か。
 (5) 事件に直接関係のない被害者の遺族から事情を聴く際、留意しなければならない点は何か。
三 責任
 (1) 大阪地検の対応について、政府は問題があると考えるか。
 (2) 大阪地検の対応に問題があるとすれば、被害者の遺族感情を逆なでしたその責任はどのようにして明らかにするのか。

 右質問する。





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