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答弁本文情報

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平成十一年七月二十七日受領
答弁第三六号

  内閣衆質一四五第三六号
    平成十一年七月二十七日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出「絵に描いた餅」の被害者通知制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出「絵に描いた餅」の被害者通知制度に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 検察庁においては、従来から、被害者を始めとする国民の理解を得るなどのため、事件の処理等に関し、適宜被害者等に説明を行ってきたところであるが、個々の検察官の対応の統一を図るために、平成三年に福岡地方検察庁が被害者等通知制度を導入して以来、多くの検察庁が同制度を導入した。しかしながら、その内容は各庁において異なり、区々に分かれていたことから、更に被害者等に対する配慮を推し進めるため、本年四月一日から、全国統一的な被害者等通知制度を施行したものである。

一の(2)について

 一の(1)についてでお答えしたとおり、被害者等通知制度は、被害者等に対する配慮の観点から、御指摘の事件が発生する相当以前の平成三年以降、一部の検察庁において実施されていたものであり、当該事件が同制度の源となっているわけではないが、本年四月一日に全国統一的な被害者等通知制度を導入するに当たっては、当該事件における検察の対応が問題視されたことも一つの契機となったものである。

一の(3)について

 検察庁においては、被害者や遺族に対し、その心情等に思いを致し、誠実に対応するよう努めているところである。

一の(4)について

 被害者等通知制度の本旨は、被害者その他の刑事事件関係者に対し、事件の処理結果、公判期日、刑事裁判の結果等を通知することにより、被害者を始めとする国民の理解を得るとともに、刑事司法の適正かつ円滑な運営に資することにある。

一の(5)及び(6)について

 新任の検事及び検察事務官を含むすべての検察庁職員に対する各種研修において、被害者等通知制度の趣旨、重要性、実施上の留意事項等に関し、講義を行っているほか、各種会議における指示、刊行物への掲載、日常の業務における上司の指導等あらゆる機会をとらえて、同制度の重要性等につき、周知を図り、通知の励行方に努めているところである。

二の(1)について

 御指摘の事件に関しては、再度の不起訴処分に際し、大阪地方検察庁次席検事が、報道機関に対し、再捜査を尽くした結果、証拠上、被害者両名が被疑者運転車両の前に飛び出したことによるものと認めざるを得ず、被疑者が被害者の飛び出しを予測して衝突を回避することは不可能であったと判断して、被疑者を不起訴処分に付した旨説明した。

二の(2)について

 御指摘の件については、次のような経過であったと承知している。
 大阪地方検察庁交通部長が被害者の御両親らに不起訴処分の理由の骨子につき説明した際、交通部長は、事件の重要性にかんがみ、交通部の責任者である交通部長から説明を行う旨を述べた上、被害者両名が被疑者運転車両の前に飛び出したと認定したので、被疑者に過失を認める証拠が十分でない旨説明した。そして、交通部長が、関係証拠を総合的に検討した結果として、被害者の飛び出しを認めざるを得なかった理由を説明する中で、被害者の遺体の損傷に関する法医学の専門家による鑑定によれば、被害者のうち一名は左足を一歩前に出した時に右側から強い外力を受け、左大腿骨を骨折したと認められると説明したところ、御両親らから、「一歩前に踏み出しただけで飛び出したということになるのですか。」との質問があったので、交通部長は、「一歩踏み出しただけで、飛び出したと言っているのではなく、一歩踏み出した状況の時に衝突したということを言っているのですから、誤解しないようにしてください。」と説明した。また、交通部長は、被疑者の速度超過に関し、たとえ被疑者が制限速度の時速四十キロメートルの速度で走行していても事故は避けられなかったことから、これをもって過失とすることはできない旨説明した。これに対し、御両親らは、「どうして起訴してくれないのですか。」と繰り返し述べたが、交通部長は、約四十分間にわたって、不起訴の理由を十分説明したと判断したことから、説明を終えたものである。
 その間、交通部長が、身を乗り出して語気を荒げたり、「いまどき四十キロのところを五十キロで走るのは常識でしょう。そんなことで起訴できません。」と言ってにらみつけたりしたことはなく、暴言や恫喝を行ったこともなかった。

二の(3)について

 被害者やその遺族に対しては、関係者のプライバシー等を損なわず、かつ、捜査及び裁判への支障等を生じない限度において、その心情等に思いを致しながら、できるだけ懇切丁寧に不起訴処分の理由の骨子を説明すべきものと考える。もちろん、被害者等に対し、暴言と恫喝で対応することが本制度の本旨にかなうものではない。

二の(4)について

 御指摘の日に、検察官が被害者の母親から事情を聴取したことはあるが、御指摘のように犯人のような扱いをしたことはないものと承知している。

二の(5)について

 事件に直接関係のない被害者の遺族から事情を聴く際には、その心情等に配意しつつ、十分な供述を得るよう努めなければならないものと考える。

三について

大阪地方検察庁の説明の際の対応に問題があったとは考えていない。





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