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平成十一年十月二十九日提出
質問第一号

安全な学校給食のための遺伝子組換え食品の制限に関する質問主意書

提出者  長内順一




安全な学校給食のための遺伝子組換え食品の制限に関する質問主意書


 一九九七年の文部省統計によると、小学校給食の九十八・四%(七七三万人)、中学校給食の六十五・六%(二九四万人)で完全給食が実施されている。
 平成十年度、日本体育・学校健康センターが発表した「学校給食要覧」によると、学校給食の役割について、「栄養のバランスのとれた食事が摂取できるよう工夫されており、成長期にある児童生徒の健康の保持増進と体位の向上に大きな役割を果たしている。」と明記され、特に、小中学校における給食が児童生徒の成長に大きく貢献していることが強調されている。
 一方、厚生省は、一九九六年八月以来、遺伝子組換え食品の安全性を評価する指針「組換えDNA技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針」に適合しているとの理由で、「大豆、ナタネ、ジャガイモ、トウモロコシなど」二十二品種の遺伝子組換え食品を認可した。しかしながら、害虫被害を受けにくくする目的で、殺虫性タンパク質を産成するBT菌などの遺伝子を導入した遺伝子組換え食品を長期間食べ続けた場合の慢性毒性やアレルギーを引き起こす可能性などのメカニズムが、依然解明されていないことも事実である。
 現在、厚生省の指針では、実質的同等性という概念に基づき、導入遺伝子によって作物中に作られた物質についてだけ、安全性をチェックすればよいとされている。
 ところが、一九八八年から八九年にかけて、アメリカにおいて、三十八人の死者と千五百人以上の人に健康障害をもたらした「L ― トリプトファン事件」では、遺伝子組換え食品の生産過程において予期せぬ有害物質(EBT、PAA)が発生し、これをチェックできないまま販売されたことが、甚大な被害を生む原因となった。
 このようなことから、小中学校の児童生徒の学校給食の食材に、遺伝子組換え食品を使用することには、強い懸念を抱かざるを得ない。
 以下、安全な学校給食のための遺伝子組換え食品の制限について質問する。

一 埼玉県川越市や神奈川県大和市など、一部の自治体では、成長期にある児童生徒に「安全」な給食を提供したいとの市民の要望を受け、学校給食に遺伝子組換え食品を使わないために、食材を輸入品から国産品、地場産品に代える方針を決める動きもあるが、文部省としては、どのように考えるか。
二 九月三十日付け報道によれば、欧州連合(EU)は、世界貿易機関(WTO)新ラウンド交渉において、食品の安全性に疑問があれば、輸入を制限できる「食品安全条項」を創設し、遺伝子組換え食品など、安全性が立証されていない食品を規制対象とすることを提案する意向を明らかにしている。EUでは、遺伝子組換え食品を認可制にしたが、基準があいまいで、消費者団体からの強い批判を受けていることから、認可を凍結している。EUは、@ラベル表示義務など予防措置のあり方A人体や生態系に与える長期的影響を評価する基準の導入B科学的な根拠に基づく安全性基準の確立について検討し、二〇〇二年をメドに遺伝子組換え食品の新基準作りを目指している。
  日本は、アメリカ・カナダから大量に遺伝子組換え作物(大豆、トウモロコシ、ナタネ等)を輸入しているが、EUの動きに対し、どのように対応する考えか。
三 本年八月十日、農水省の食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会は、遺伝子組換え食品であることが検証可能な三十品目に限定し、二〇〇一年四月から遺伝子組換え食品の表示の義務づけを決定した。
  消費者自身の「選択の自由」を保証するとの観点から考え、大きな前進と評価するものであるが、表示対象が一部に限られており、遺伝子組換え食品すべてに表示義務を求めている消費者団体などに強い不満が残っている。遺伝子組換え食品の安全性に問題があるとする科学的なデータは今のところない。しかし、現在の技術では見つからない未知の危険性が潜む可能性も否定できないのが現状である。
  政府は、国民が納得する「食の安全性」という点について、どのように認識しているのか。
四 二十一世紀を担うかけがえのない子供の「生命と食の安全」を守るため、また、「選択の自由」が保証されにくい学校給食の実情に鑑み、遺伝子組換え食品に対する国民のコンセンサスが十分に得られるまで、学校給食への遺伝子組換え食品の使用を制限するための措置を講ずるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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