答弁本文情報
昭和二十五年一月十日受領答弁第一三号
(質問の 一三)
内閣衆甲第一六七号
昭和二十五年一月十日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員田中堯※(注)君提出下山国鉄総裁怪死事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員田中堯※(注)君提出下山国鉄総裁怪死事件に関する質問に対する答弁書
一 本件変死者と下山定則氏とが同一人であることは、次に掲げる諸理由によつて認定したものである。
(1) 本件変死者の所持品及び着衣が下山総裁のものである。
(2) 事故現場において本件変死体の首実験をした下山総裁の東京鉄道局長時代の秘書折井正雄氏並びに下山家の同居人中村量※(注)氏が下山総裁に相違ないことを確認した外、解剖後その死体を引き取つた遺族もまた右同様の確認をした。なお、本件変死者の顔面の傷は、軽微で識別に困難を感ずるほど損なわれてはいなかつた。
(3) 総裁室の机のひきだし内に保管してあつた下山総裁のライター用油瓶に残つていた指紋と本件変死者の指紋が一致した。
(4) 本件変死体の血液型と、下山総裁の実母、実弟、妻子等につき血液型の遺伝科学的検定を行つた結果とも何ら矛盾するところがなかつた。
本件変死者の着衣に機械油が附着していたかどうかの点については、今後の搜査に支障をきたす虞れがあるので、現在の段階では公表できないから、その点に関する判断は示すことができない。
三 本件に関し検察庁と警察側が見解を異にしている事実はない。
四 その事実はない。
五 本件に関し当初からラジオ等によつて本件が特定団体の陰謀であるかの如き宣伝が行われたことは関知しない。従つて右宣伝について搜査をしたことはない。
六 今後の搜査に支障をきたす虞れがあるので、現在の段階においては、本件の証拠となるべき事実を示すことができない。
右答弁する。