答弁本文情報
昭和二十七年三月四日受領答弁第一七号
(質問の 一七)
内閣衆質第一七号
昭和二十六年三月四日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 林 讓治 殿
衆議院議員中曾根康弘君提出戰犯者の取計らいに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中曾根康弘君提出戰犯者の取計らいに関する質問に対する答弁書
一 海外受刑者の内地服役の問題に関しては、今日までしばしば総司令部に対しこれが実現方要請するとともに、直接当該国に対しても種々の方法で好意的取計らいを懇請している。
現在までのところ濠洲については見込薄であり、フイリピンについてはいずれとも確答をうるに至つていないが、政府としては今後とも最大の努力をする所存である。
二 平和條約第十一條により日本は連合国戰争裁判法廷の裁判を受諾し、且つ、内地で拘禁されている戰犯者の刑を執行することになつている。
しかして内地服役者の刑の減免については、日本政府は、平和條約発効後当該各連合国に対して勧告することはできるが、最終的には右連合国のそれぞれの決定による次第である。これに対する連合国の統一した機関は現在なく、また、情状しやく量や減刑の包括的権限はいまだ日本側に委任されるに至つていない。
三 現在、巣鴨服役者の仮出所有資格者については、総司令部法務局内のパロール委員会において審査することとなつておる。
仮出所の資格について、服役年限のみからいえば、出願の有資格者は現在四百名をこえるかと思われるが、所要の服役年限を果しても自動的に仮出所が認められる権利があるわけではない。服役状況の良否、本人の精神状態、経済状況等も勘案されて仮出所の順序が決定せられている模様であり、また、戰犯者がどの程度まで自己反省しているかというような点も重要視されるものと思われる。
四 戰犯に対し大赦を與える問題については関係各国の意向を打診中である。
右答弁する。