答弁本文情報
昭和二十八年六月五日受領答弁第三号
(質問の 三)
内閣衆質第三号
昭和二十八年六月五日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 堤 康次※(注) 殿
衆議院議員並木芳雄君提出戦争保険金の支払に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員並木芳雄君提出戦争保険金の支払に関する質問に対する答弁書
保険会社が戦争保険金を特殊預金の方法で決済したのは、旧戦時特殊損害保険法(昭和十九年法律第十八号)に基く戦争保険の保険金であつて、旧臨時資金調整法施行令(昭和十九年勅令第百二十二号)により支払債務額のうち、昭和二十年六月三十日までは一件につき三千円を、同年七月一日以降は一件につき五千円をそれぞれこえる部分についてであることは御承知のとおりである。
この被保険者が取得した特殊預金債権は、後に戦時補償特別措置法(昭和二十一年法律第三十八号)により一定額の課税控除を認め、その残額を戦時補償特別税の納付のかたちで処理されたのである。しかしてこれは、ひとり戦争保険金に関するもののみでなく、いわゆる戦時補償の打切りとして政府又は同法にいう特定機関に対する請求権についてとられた措置であつて、終戦後の事態の推移にかんがみ、国民経済及び財政の整備再建のためやむを得ないものであつた。
政府としては、戦争犠牲負担の公平ということについて、今後とも財政事情の許す限り充分考慮してゆきたいと考えるが、特に御質問の主意についてのみこれを採りあげることは困難であると考える。
右答弁する。