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答弁本文情報

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昭和二十八年十二月八日受領
答弁第六号
(質問の 六)

  内閣衆質第一号
     昭和二十八年十二月八日
内閣総理大臣 吉田 茂

         衆議院議長 堤 康次(注) 殿

衆議院議員井堀繁雄君提出中小企業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員井堀繁雄君提出中小企業に関する質問に対する答弁書



一 中小企業の定義について

(1) 中小企業等協同組合法
    工業部門においては、従業員三〇〇人以下のもの、商業部門においては、従業員三〇人以下のものをいう。なお、公正取引委員会は、これらの範囲の内外を問わず実質的に中小企業に属するかどうかを判断することができることとなつている。
(2) 中小企業安定法
    従業員三〇〇人以下の工業部門に属する事業者をいう。
(3) 中小企業信用保険法および中小企業金融公庫法
    資本金一〇〇〇万円以下または従業員三〇〇人以下(商業部門においては従業員三〇人以下、鉱業部門においては従業員一〇〇〇人以下)の事業者をいう。
(4) 企業診断等の行政指導を行うについては、以上の基準によるほか、生産額、出荷額等を勘案して、実質的に中小企業であるものをその対象としている。

二 中小企業の現況について

(1) 事業数については、従業員数二〇〇人(商業部門においては三〇人)未満のものを中小企業とすれば、その事業所数およびこれが全体の事業所数の中に占める割合は次の通りである。

  全体の事業所数 中小企業の事業所数
全 産 業 三、一九八、七二〇 三、一九四、〇〇三
(九九・九%)
製造業部門 四九五、三三二 四九二、八二一
(九九・五%)
商業部門 一、四三四、三四一 一、四二八、八九一
(九九・六%)
  (昭和二十六年度総理府事業所統計による)  

(2) 従業員数については、従業員二〇〇人(商業部門においては三〇人)未満のものを中小企業とすれば、その従業員数および全雇傭者中に占める割合は次の通りである。
  全体の従業員数 中小企業の従業員数
全 産 業 一六、三三四、七五七 一三、三〇九、〇五〇
(九一・五%)
製造業部門 五、五〇四、六〇七 三、七五六、一四〇
(六八・二%)
商業部門 四、〇二五、六四一 三、六五六、〇六三
(九〇・八%)
  (昭和二十六年度総理府事業所統計による)  

(3) 生産額において、中小企業の占める地位
    工業統計速報によれば、昭和二十六年の一年間における全生産額四、一二〇、五一三、二七五千円の内、中小企業(従業員二〇〇人未満のもの)の生産額は一、八三八、四五四、二七八千円で全体の四四・六%を占めている。
(4) 貿易において中小企業の占める地位
    生産財の輸出において中小企業の占める地位は比較的低いが消費財(雑貨、繊維製品等)の輸出においては、中小企業者の手に係る商品の輸出額が、全輸出額の六〇% ― 六五%に当るものと推定され、きわめて重要な地位を占めている。特に全輸出額の九〇%以上を中小企業の製品で占めているものとして、絹人絹織物、メリヤス肌着、室内用縫製品、製綿、麻綱、塩化ビニール製品、工業用革製品、鉛筆、手縫針、玩具、漆器等があげられる(昭和二十八年四月 ― 六月分の中小企業統計による。)

三 中小企業の金融について

(1) 中小企業関係の金融機関について
    中小企業金融に関係のある金融機関のうち中小企業に対する融資において、その絶対額といい割合といい市中銀行の占める比重は甚だ大きいが一般市中銀行による中小企業金融には、おのずから限界があるので別に中小企業のために専門的な金融機関があつて、その特殊な需要に応じている。これらの専門的金融機関としては、政府が中小企業金融のために特に設けた商工組合中央金庫(中小企業等協同組合の系統的金融機関)国民金融公庫及び本年九月に業務を開始した中小企業金融公庫(長期資金の融通を目的とする)と、法律に基き政府の監督を受けて発達した信用金庫、信用協同組合及び相互銀行(無尽会社)がある。
(2) 中小企業に対する融資の現況について
    中小企業金融に関係のある金融機関の中小企業に対する融資状況は、本年六月末現在で次のとおりである。

金融機関別中小企業融資残高    
         (昭和二十八年六月末現在)
  金額(百万円) 割合(%)
銀  行 八五七、三四八 六五・八
相互銀行(無尽会社) 二三六、五三八 一八・一
信用金庫 一二九、一一七 九・九
商工中金 三七、二三二 二・九
国民金融公庫 二二、七八〇 一・七
信用組合 一五、〇〇〇 一・一
開銀による中小企業貸付 五、〇一六 〇・五
  計 一、三〇三、〇三一 一〇〇・〇

 註、銀行は資本金一千万円以下の企業の分
  なお本年六月末における全金融機関(全銀行、全中小企業金融機関、農中、信用農協連、生命保、開銀等)貸出残高に占める中小企業貸出の割合は、次のとおりになつている。

全金融機関貸出残高 (百万円)
三、三五七、三六四
中小企業貸出残高 一、三〇三、〇三一
割  合 三八・八%

 右答弁する。




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