衆議院

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昭和三十五年六月二十一日受領
答弁第一四号
(質問の 一四)

  内閣衆質三四第一四号
    昭和三十五年六月二十一日
内閣総理大臣 岸 信介

         衆議院議長 (注)(注)一(注) 殿

衆議院議員山中五(注)君提出中立政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山中五(注)君提出中立政策に関する質問に対する答弁書



一 通常資本主義、社会主義、共産主義等と称せられるものは、各種の社会ないし経済構造のあり方をその特徴にしたがつて分類したものであつて、善ないし悪というような道徳的、倫理的規準をもつて測定し得るものとは本質的にことなる。したがつて政府が資本主義は善であり、社会主義、共産主義は悪であるというような道徳的ないし倫理的判断や偏見を有していると考えることは誤まりである。
  わが政府は、自由民主主義の根本原則に則り、自由に表明された国民多数者の意志にしたがつて形成され、その多数者の意志にしたがつて行政を運営しているのであつて、現在わが国民の多数者は経済上ないし社会構造上の原則として資本主義の諸原則を採用することを適当と認めている。しかしながらここにいう資本主義という概念も時代とともに徐々に変化しているのであつて、わが国においても基本的人権としての自由と平等、勤労者の団結権等が憲法によつて保障されているのであり、かかる前提の上に資本主義の諸原則が適用されているのである。
  これらは前述のごとく、すべて自由に表明されたわが国民の意志に基いて行なわれているのであつて、わが国民が将来とも自由にその多数者の意志にしたがつて政治なり経済なりのあり方を決める権利を有することは当然である。

二 民主主義といい議会主義といわれるものは、自由に表明された国民の意志の中多数者の意志を実現することを根本原則とする。この原則が常に支障なく実現される限り、議会主義ないし民主主義は破壊される危険はない。
  したがつて根本は常にわが国民多数者の欲するところにあるのであつて、「中立政策」というような特定な政策を採用することによつて議会主義が守られるという論理には矛盾がある。
  現在わが政府が国民多数の意志にしたがつて形成され、国民多数の意志にしたがつて国政の運営に当たつていることは前述のとおりであるが、政府は東西に相対立する世界の現状と、特に政治的、経済的に不安定な東亜の現状とを冷静に考慮すれば、現在わが国が「中立政策」をとることはわが国の安全とその民主主義的発展を保障するゆえんではなく、むしろ米国との協力によつてその安全を保障することが最も適当であると考えている。これは国民多数者の意志を反映するものであつて、民主主義の根本原則にしたがつて決定された意志であるから、このような意志をわが国民全体が尊重する限り、議会主義も、民族の統一も破壊される危険はない。
  民族の統一を破り、ないし独裁への道を開くものは、むしろこのような民主主義の根本原則を無視ないし否認することである。

 右答弁する。


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