答弁本文情報
昭和三十六年三月七日受領答弁第八号
(質問の 八)
内閣衆質三八第八号
昭和三十六年三月七日
内閣総理大臣 池田勇人
衆議院議長 ※(注)※(注)一※(注) 殿
衆議院議員田中武夫君提出刃物追放運動に伴う中小零細企業の救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員田中武夫君提出刃物追放運動に伴う中小零細企業の救済に関する質問に対する答弁書
(イ) 「刃物を持たない運動」は、最近の少年非行、とくに凶器類を使用した凶悪犯や粗暴犯の増加の傾向にかんがみ、青少年犯罪を未然に防止するため、刃物類を不必要に持ち歩かないようにしようとするものである。
この運動は、最初、民間から始まり、ついで青少年問題協議会および広範な民間団体の支持協力の下に展開されている。
したがつて、この運動は、
1 不必要に危険な刃物類を持ち歩かない風潮を高めること。
2 刃物類の保管、管理に十分注意するよう関心を高めること。
3 児童、生徒が不必要に刃物類を持ち歩かなくてすむように、学校に鉛筆削り器、工作用具等を備えつけるようにする。
4 必要があつて携帯する場合の安全な携帯の指導をすること。
また、この運動の対象とする刃物の範囲についていえば、特定の刃物のみを対象とするものでなく、人を殺傷する危険性のある刃物一般の携帯を自粛させようとするものであるが、法にふれない限り、その所持まで抑制しようとするものではない。したがつて学童用の文房具や家庭用の日常刃物類に対してまでもその所持及び販売の抑制に及ぶものではない。
(ロ) 刃物類製造業の当面の不振は、文房具様式の変化に加えて「刃物を持たない運動」による影響も否定できない。とくに肥後守の生産地である三木・小野両市は相当の影響を受けていると考えられる。
これに対しては、「刃物を持たない運動」に伴う関連業界なかんずく中小企業者に対する影響に十分留意して政府としては次のような措置を講ずるようにしたい。
1 できるだけ危険性の少ない刃物を工夫して生産する。
2 鍛工業として進出の余地ある家庭用器物等の生産により品種の多様化をはかる。
3 当面の滞貨融資、今後の立ち直りのために必要な資金等については、商工中金等を通じて融資の円滑化をはかる。
(ハ) 最近における銃砲刀剣類等による犯罪の増加の傾向にかんがみ、銃砲刀剣類等の規制を強化する必要があるので、銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正することを検討中である。
この中で現在刃物に関係するものとして検討している事項は、比較的安全なもの以外の飛出しナイフの所持の禁止及び刀剣類と同じ程度の殺傷力を有する刃物を業務その他正当な理由がなくてもち歩くことの禁止である。
このことの結果として暴力事犯の防止に対する好影響はあると考えるが、右翼テロ対策については、さらに多角的にその対策を考究しつつある。
右答弁する。