答弁本文情報
昭和四十年十一月五日受領答弁第一号
(質問の 一)
内閣衆質五〇第一号
昭和四十年十一月五日
内閣総理大臣 佐藤榮作
衆議院議長 ※(注)田 中 殿
衆議院議員石田宥全君提出地盤沈下防止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員石田宥全君提出地盤沈下防止に関する質問に対する答弁書
新潟地区の地盤沈下については、昭和三十一年頃より問題となり、もつとも激しかつた昭和三十三年、三十四年には、御指摘のとおり、ひどいところでは年間四十センチから五十センチも沈下を示したが、政府としては、これに対処するため、昭和三十三年三月科学技術庁資源調査会に新潟地盤沈下特別委員会を設置し、新潟地区の地盤沈下原因の調査、沈下機構の究明を行なうこととしたほか、昭和三十四年七月には経済企画庁に地盤沈下対策審議会を設置して地盤沈下防止の基本的方策その他地盤沈下の防止に関する重要事項を調査審議させることとした。
その後、これらの報告および答申に基づき、関係各省庁において、新潟地区地盤沈下対策のため種々の施策を講じている。
御質問の点について、まず第一および第二の点については、現在、水溶性天然ガスの採取について、鉱業法に基づく施業案の変更認可の運用によつて一部採取禁止を含んだ三段階にわたる規制を行なつており、その結果従来激甚な沈下を示していた地域においてもその沈下量は激減している。今後は、浅層における自家用井等の規制を行なうことを検討するとともに、必要に応じ、鉱業用井についての一層の規制強化を行なう考えであるが、現在の段階で水溶性天然ガスの採取を全面的に禁止することは、天然ガスの需給事情等からみても多くの問題がありきわめて困難であると考える。
今後前記規制をどの程度行なうかまたどのような方法で行なうかについては被害状況、天然ガス需給事情等の推移を考慮しつつなお検討していきたいと考えている。
第三の点については、前述したように、政府としては地盤沈下対策について科学技術庁資源調査会において沈下原因の調査、沈下機構の究明を行なうとともに経済企画庁に地盤沈下対策審議会を設置して地盤沈下防止の基本的な対策の検討を行なつてきた。
また、これらに基づいて関係諸機関は、種々の施策を講じてきており、水溶性天然ガスの採取規制を三回にわたつて強化するとともに沈下の実態を常に把握しておくため観測井を設置し、観測を継続してきた。
このように政府としては地盤沈下対策のためできる限りの努力を払つてきており、今後とも必要に応じさらに十分な施策を講じていく所存であるが、その損害に対して補償する責任があるとは考えない。
第四の点については現在被災者の一人から契約先の保険会社を相手として保険金支払いの訴えがおこされており、裁判が継続中であるので、保険会社に保険金支払の義務があるか否かは裁判の結果によつて明らかになるものと思われる。
右答弁する。