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答弁本文情報

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昭和四十五年二月二十日受領
答弁第一号
(質問の 一)

  内閣衆質六三第一号
    昭和四十五年二月二十日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員横山利秋君提出チクロ使用禁止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員横山利秋君提出チクロ使用禁止に関する質問に対する答弁書



一 食品添加物の安全性については科学的根拠に基づいて判断すべきであるので、従来から国立衛生試験所その他試験研究機関の充実強化に努めているところであり、また国連の定めた基準をはじめとして諸外国の科学的資料も広く参考としている。
  食品添加物の使用禁止、制限等の措置を講ずるに当たつては、安全性に関する各種科学的資料をもとに関係行政機関、学識経験者、関係団体の代表者等からなる食品衛生調査会において調査審議することとしており、その意見を尊重し措置することとしている。この場合、これらの措置に伴う社会的経済的な影響について配慮しつつも、国民の健康の確保を図る見地からの判断を優先させるべきであると考えている。

二 政府は、今回の措置により影響を受ける関係企業に関しては、農林中央金庫、政府関係中小企業金融三機関、信用保証協会、一般市中銀行等がそれぞれ再生産に必要な資金の確保等に十分配慮するよう各関係先に依頼するとともに、各都道府県においてもこれら関係企業に対する金融の円滑化のためできるだけ善処するよう要請した。
  これにより各関係金融機関等の融資面での協力態勢がとられ、また、いくつかの県では資金の預託等による金融の円滑化措置がとられている。
  さらに金融の円滑化のために特別な措置を講ずる必要があるかどうかについては、今後の関係業界における事態の推移をみて考慮いたしたい。

三 製品在庫及び返品などを含む包装材料等の廃棄による損失、回収費用、回収運賃その他今回の措置による損失は、税制上特別の措置をとるまでもなく、廃棄をした時その他それらの費用が発生した時点で当然損金に計上することが認められる。
  また、納税者がその事業につき著しい損失を受け、租税を一時に納付することができない場合等においては、二年以内の期間納税の猶予又は滞納処分に係る換価の猶予を受けることができる。
  なお、現在中小企業者の営む事業の経営の合理化に資するために緊急に必要なものについては、その取得価額の三分の一の特別償却(中小企業用合理化機械の特別償却)が認められるが、チクロ禁止措置に伴つて更新される機械で上記要件を満たすものがあれば、特別償却が認められる場合もある。

四(イ) 関係業界が受けた損失額については、業界からのききとりによれば、チクロメーカー及び混合甘味剤メーカー関係では廃棄を要する商品及び設備が約十三億円、食品関係では本年二月末の時点で廃棄を要する商品、仕掛品等で約百億円と推定される。

 (ロ) 今回のチクロについての措置は、チクロが人の健康を害うおそれのあることが明らかになつたためにとられた措置であることにかんがみ、政府としては、この措置に伴う損失を補償する必要はないものと考える。

 (ハ) 異議申立てについては、目下審査中であるが、早急に結論を出すこととしたい。

五(イ) 昨年十一月にとられた措置は、アメリカの実験結果等に基づき緊急の措置として決定されたものである。
     しかし、その後この禁止措置に伴う社会的経済的影響は少なからぬものがあること、また、アメリカにおいて一部食品の猶予期間延長の措置がとられたこと等を考慮し、国民の健康保持に支障のない範囲内で猶予期間を延長することを検討した結果、清涼飲料水を除くかん詰等の一部食品について、サイクラミン酸塩を含む旨を標示させ消費者が選択できるようにして、九月末まで猶予期間を延長することとしたものである。

 (ロ) チクロ含有食品等の処分については、原則として業者の自主的な判断に委ねることとしているが、処分の場所、方法等により公衆衛生上問題が生ずることのないよう今後とも指導を行なうことといたしたい。

六(イ) 砂糖消費税は、砂糖の甘味料というし好品的性質に着目しつつ、国内甘味資源の保護育成の見地から、国内糖価政策との関連を考慮して課されているものである。したがつて、チクロの製造使用禁止に関連して、一般の加工食品の原料砂糖を免税にすることは、適当でない。
     なお、現在、甘味料として消費される砂糖で砂糖消費税を免税にしているのは、輸出用の菓子等の加工食品と練粉乳及び育児食の原料砂糖というきわめて例外的なものに限られており、この点従来とも変りはない。

 (ロ) 砂糖の価格安定については、砂糖消費量の大半を輸入に依存しているため、国内糖価が国際糖価の変動の影響を受けて変動する状況に対処し、砂糖の価格安定等に関する法律(昭和四十年法律第百九号)に基づき、価格帯を設定し、糖価安定事業団による売買を通じて輸入粗糖の国内供給価格をこの価格帯の幅の中に安定させることとしている。
     これらの措置により、砂糖の価格は、近年安定的に推移しており、今後とも前記法律の適正な運用により砂糖価格の安定を図つてまいりたい。

 右答弁する。




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