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答弁本文情報

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昭和四十六年三月十九日受領
答弁第三号
(質問の 三)

  内閣衆質六五第三号
    昭和四十六年三月十九日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員春日一幸君提出日本住宅パネル工業協同組合の運営に対する厳正なる監督及び中小企業者のプレハブ住宅内装工事における官公需の受注機会の均等化の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出日本住宅パネル工業協同組合の運営に対する厳正なる監督及び中小企業者のプレハブ住宅内装工事における官公需の受注機会の均等化の推進に関する質問に対する答弁書



一 加入自由の原則違背について

(一) 協同組合への加入に際し、高額の出資金を課することが協同組合の加入自由の原則に反することとなる場合もありうることは、ご指摘のとおりであるが、その判断は、具体的な状況に即して行なわれなければならないと考える。

(二) 日本住宅パネル工業協同組合の場合、新規加入に際しての出資口数九口(一口二十万円)については、現在の組合員の平均出資口数が約三十五口となつていること、同組合の事業が内装部材の標準化、規格化、量産化を進め、共同受注、共同販売を行ない、相当規模の共同施設を運営しているため、相当の資本を要すること、新規加入者も直ちにこれらの施設を利用しうること等を考慮する必要がある。

(三) 加入金については、同組合が単に相当の物的施設を有するだけでなく、これまで技術開発等により相当の無形の資産も築いてきており、持分評価との関連で従来の組合員と新規加入者の権利の均衡を図るために徴するのであれば、持分評価が適正に行なわれる限り、相当の額であつても許されるものと考える。

(四) しかしながら、これらの出資金や加入金を一時に払い込むことは中小企業者にとつては、かなりの負担となるものと思われるので、その減額、新規加入者の共同施設の利用の態様に応じた弾力的な取扱いまたは払込みの相当期間にわたる分割払いを認めるよう日本住宅パネル工業協同組合を指導してまいりたい。

二 相互扶助、直接奉仕の原則違背について

(一) 協同組合は、組合員の相互扶助および組合員への直接奉仕を目的とするものであることは、ご指摘のとおりである。

(二) この原則に基づき、組合事業の運営に当たつては、手数料は実費に限り、余剰金が生じた際は、組合事業の利用分量に応じ、組合員に配当するのは、一つの行き方であると考える。しかし、この場合には、組合の共同事業のために、資金を要するときは、その都度出資金または賦課金を課さねばならないという不便があり、また、事業体として複雑な経済情勢に機敏に対応するには、予め十分な蓄積をもつことが要請されることも多いと思われる。

(三) このため、余剰金のすべてを組合員に直ちに還元せず、組合が内部留保に努め強力な事業体となることも一つの方法である。税制上、協同組合に対し、出資金の四分の一に達するまで、その内部留保分の二分の一を非課税としている(租税特別措置法第六十一条)のもこのような組合の運営を助成する趣旨にでたものと考える。
    このいずれの運営方法を選択するかは、原則的には、組合が組合員の総意に基づき自主的に決定すべきものである。

(四) 日本住宅パネル工業協同組合の運営については、共同事業の運営による収入により経費を賄い、余剰が生じた場合に内部留保に当てている。これらの収入や内部留保は、組合の正規の手続に従い定められたものである。
    組合の運営には不当はないものと思われるが、ご指摘の趣旨を尊重し、政府としても同組合に対しその運営について組合員の総意を改めて確認する等この組合の運営が営利主義的にならぬよう指導に慎重を期してまいりたい。

三 官公需受注の独占化について

(一) 政府は従来から住宅建設における工業的量産方式の採用に関する施策の推進に努めてきたところであり、その一環として公営住宅等の内装工事については、その部材、部品の標準化、規格化を進めてきたところである。

(二) 現在、公営住宅等の内装工事において採用されているいわゆるパネル組立方式は、日本住宅パネル工業協同組合が最初に開発し、その施工技術等を確立したものである。

(三) したがつて、公営住宅等の量産化を進めるに当たり、事業発注主体が当初は「日本住宅パネル工業協同組合の製品またはその同等品」と発注仕様書において定めることが多かつたものであるが、政府においては、内装パネル等のコストダウン、品質向上等を図るためには、一般的基準により発注を行なう方が好ましいと考え、また、中小企業者に関する国等の契約の方針に沿つて、社団法人プレハブ建築協会が量産公営住宅部品の一般的基準として作成した「量産公営住宅部品仕様書」を発注の基準とするよう指導してきているところである。
    今後、このような指導をさらに強化し、官公需における受注機会の均等化に努めたい。

(四) 現在、公営住宅および公団住宅のうちプレハブ内装工事を採用しているものは、約二十パーセントであり、同組合は、その約八十五パーセントを受注しているが、これは、同組合が早期に協同組合組織により技術開発を進め、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づく受注適格組合となり、品質、価格、供給能力等の面で従来相当の実績をあげてきたこと等によるものと考えられる。

(五) 政府としては、先に述べたようにプレハブ内装工事における官公需の発注について一般的な発注仕様の基準によるよう指導を強化する等受注機会の均等化に努めるとともに、住宅生産の工業化の進展に伴い、内装パネル等の採用が今後とも増大するものと予想されるので同組合の組合員以外の中小企業についても協業化等により、良質で安価な製品の大量供給体制を確立するよう積極的な支援を行なつてまいりたい。

 右答弁する。




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