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答弁本文情報

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昭和四十七年六月二十三日受領
答弁第一四号
(質問の 一四)

  内閣衆質六八第一四号
    昭和四十七年六月二十三日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 (注)田 中 殿

衆議院議員春日一幸君提出台湾条項消滅に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員春日一幸君提出台湾条項消滅に関する質問に対する答弁書



一について

 わが国は、サン・フランシスコ平和条約により、台湾に対する一切の権利・権原を放棄しているのであるから、台湾の帰属については発言する立場にない。
 しかしながら、「台湾が中華人民共和国の領土である」との中華人民共和国政府の主張は、御指摘のような従来の経緯、国連において中華人民共和国政府が中国を代表することとなつたこと等から、十分理解しうるところである。

二について

 政府としては、国連において中華人民共和国政府が中国を代表することとなつたことを十分念頭におき、中華人民共和国政府が中国を代表する正統政府であるとの認識に立つて日中国交
 正常化のための政府間交渉に臨む考えである。

三、四、五及び七について

 政府としては、いわゆる台湾問題については、両当事者間の平和的な話し合いによつて、公正、妥当な解決がはかられるよう衷心希望するものであり、また、幸にして、このような話し合いによる解決がもたらされれば、その結果を尊重する考えである旨を従来より一貫して明らかにしてきている。
 台湾地域の国際的な緊張は、米中関係改善の動きを中心とする最近の国際情勢の変化により、全体として緩和の方向に向かつており、この地域をめぐつて武力紛争が発生する可能性は幸にしてほとんどなくなつたと考えられる。このような意味において、一九六九年の日米共同声明第四項において述べられている台湾地域における平和と安全に関する見解(いわゆる台湾条項)の基礎にあつたこの地域の情勢に対する認識は変わつたものと考える。
 なお、仮定の問題として、この地域をめぐつて武力紛争が発生する事態においては、ひとりわが国のみならず、周辺アジア諸国にとつても、国際の平和及び安全の維持という見地から重大な関心事とならざるをえない。したがつて、現状においては、政府として、日米安保条約の極東の範囲を改めることは考えていない。

六について

 米中共同声明において米国政府が確認している台湾からの米国軍隊と軍事施設の撤退という最終目標及びこれに至る過程における緊張緩和に伴う漸進的な米国軍隊と軍事施設の減少についての意向表明は、わが国としても大いに歓迎すべきものであり、いわゆる台湾問題が平和的に解決され、かかる目標が実現した暁においては、安保条約の極東の範囲についても、所要の調整が行なわれることとなるものと考える。

八について

 いわゆる台湾条項及び安保条約の極東の範囲に関する政府の見解は、以上で述べたとおりである。
 日中間には各種の問題があり、かつ、日中双方にはそれぞれの立場と主張があるが、日中双方が善隣友好関係の樹立を標榜して政府間の話し合いを積み重ねてゆくことができれば、相互理解と相互信頼がもたらされるであろうし、日中関係は大きく前進するものと考える。

 右答弁する。




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