答弁本文情報
昭和四十九年二月一日受領答弁第七号
内閣衆質七二第七号
昭和四十九年二月一日
衆議院議長 前尾繁三郎 殿
衆議院議員横山利秋君提出在宅投票制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員横山利秋君提出在宅投票制度に関する質問に対する答弁書
一について
在宅投票制度は、地方公共団体の選挙については昭和二十二年から、国会議員の選挙については昭和二十三年から設けられ、昭和二十七年に廃止されたものである。
廃止された理由は、その間に行われた選挙、特に昭和二十六年四月の統一地方選挙において、この制度に関連して多くの不正が行われ、数多くの選挙犯罪や選挙争訟が発生するに至つたため、この制度を存続させることは選挙の公正を確保する上から適当でないと判断されたためである。
不正の主な形態は、在宅投票の事由に該当するかどうかの証明段階での不正、投票用紙の請求段階における不正、投票の記載段階での不正等である。
以上の経緯にかんがみ、在宅投票制度を検討するに当たつては、現在においてもなお、選挙の公正の確保について周到な配慮を加えなければならないと考えている。
なお、現行の不在者投票制度は、不在者投票管理者の管理する場所において立会人の立会いの下で投票の記載を行うこととし、厳格な手続によつて公正の確保を図ることとしている。
在宅投票制度については、現在鋭意検討を進めているところであるが、一で述べたような過去の経緯にもかんがみ、対象者についての認定方法をどうするか、投票用紙の請求、投票の記載等の段階での公正の確保をどうするか等の問題について十分確信が持てるものについて採りあげていく必要があると考えている。
したがつて、この制度を採用することとした場合における対象者数を確定的に示すことは、現段階においては困難である。
また、新しい制度を採用することとした場合にも、その実施に当たつては、事前の周知と準備のため十分な期間が必要であると考えている。