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答弁本文情報

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昭和五十年三月十八日受領
答弁第一〇号
(質問の 一〇)

  内閣衆質七五第一〇号
    昭和五十年三月十八日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員大出俊君提出不動産登記法第百五条についての法務省民事局長通達に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員大出俊君提出不動産登記法第百五条についての法務省民事局長通達に関する質問に対する答弁書



一について

 利害関係を有する第三者の登記をそのままにしてBの申請どおりに本登記をすることは不動産登記法第百五条により禁止されているところであり、これに反する処理をすることはできない。

二について

 不動産に関する物権変動の当事者は、不動産登記法に定めるところにより登記を申請することができるのであつて、Bが本登記を申請するには、同法第百五条の規定により登記上利害の関係を有する第三者の承諾書又はこれに対抗できる裁判の謄本を添付しなければならないのは当然である。

三について

 御指摘の通達は、昭和三十六年二月七日民事甲第三五五号法務省民事局長回答を指すものと思われるが、同回答は、最高裁判所の判決と抵触するものではない。また、本件登記申請について登記官のなした却下処分は適法であることが判決により確定しているので、国家賠償責任が生ずるいわれはない。

四について

 登記上利害の関係を有する第三者とは、登記簿上、順位番号・受付番号等により、形式的に利害関係を有すると認められる者をいうのであるから、そのような第三者の有無の判断は実質的な判断ではなく、登記官に違法かつ不当に重い負担を課しているものとはいえない。

五について

 不動産取引において所問にいう「負担引受主義」が一般に行われているとは必ずしもいえないと考える。

五の1について

 そのような取引があつたとすれば、その取引は実体法上は有効であると考える。

五の2について

 実体的に有効な取引であつても、仮登記に基づく本登記をするには、不動産登記法の規定により、利害関係を有する第三者の承諾書等の添付がなければ、Bの本登記をすることはできない。

五の3について

 現行不動産登記法第百五条の規定が設けられるまでは、同一不動産につき登記簿上所有名義人が二重に併存する等公示上の混乱を生じ、取引の円滑を阻害していた。

五の4について

 登記官は、Bの本件申請を不動産登記法の規定に基づいて却下したものであり、その処分は違法なものではない。

六について

 従前の答弁が法律に違反する見解を述べたものとは考えない。

七について

 登記官の本件却下処分は、不動産登記法の規定に基づきなされた適法なものであり、国家賠償責任が生ずる余地はない。

八について

 違法な行政をしているとは考えない。

九について

 違法な行政であるとは考えない。

一〇について

 前段については、そのようなことはない。
 後段については、行政が法律に従つてなされるべきことはもちろんであるが、現行の登記の取扱いが法律に違反するものとは考えない。

一一について

 違法なものとは考えない。

一二について

 前段については、不動産を買い受けようとする者が通常現地及び登記簿を調査するものであることは、そのとおりと考える。
 後段については、Bは仮登記により順位を保全しているのであるから、Aから権利を承継し、Aと共同して所有権移転の登記を申請すべきであり、またFが不動産を占有している場合には、Fから引渡しを受けることとなるものと解する。

一三について

 そのようには考えない。

一四について

 登記官は、仮差押の債権額等を知らないが、このことと不動産登記法第百五条の制度とは何ら関係がないと考える。

一五について

 仮差押の登記等との関係で、公示上の混乱を生ずると考える。

一六について

 職権による抹消は、不動産登記法の規定によるものであるから、違法なものではない。

一七について

 そのようには考えない。

一八について

 賃借権を違法に侵害するものとは考えない。

一九から二一までについて

 そのようには考えない。

二二について

 前掲民事局長回答を取り消す考えはないが、仮りに取り消したとしても、御指摘のような結果になるものとは考えない。

 右答弁する。




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