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答弁本文情報

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昭和五十一年十一月二日受領
答弁第八号
(質問の 八)

  内閣衆質七八第八号
    昭和五十一年十一月二日
内閣総理大臣 三木武夫

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員高田富之君提出インドネシアLNG(液化天然ガス)開発輸入に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員高田富之君提出インドネシアLNG(液化天然ガス)開発輸入に関する質問に対する答弁書



第一について

(一) 昭和四十八年十一月三十日付け両角、ラディウス間の討議記録は、インドネシアとの交渉途中で作成された文書であり、公表には、相手方の同意が必要である。ラディウス大臣としても、右文書はその当時双方の意図を交渉当事者としていわば非公式に記録にとどめたものであり、公表は適当でないとの立場を表明している。したがつて、その内容については公表することはできない。

(二) 御指摘のプルタミナとユーザーとの売買契約(現在改訂中のものを含む。)は、私契約であり、企業の秘密に属するものもあるので、政府としては、一般に公表することは適当でないと考える。

(三) なお、LNG開発に関する円借款供与の交換公文(昭和四十九年三月十六日)は、既に公表されている。

第二について

(一) インドネシアのLNGの輸入価格は、FOB部分と輸送部分とから構成される。このうち、FOB部分は、熱量で比較して、石油危機直後の当時の低硫黄原油と同等の価格をベースとし、それに九割をインドネシア産原油の価格上昇にスライドし、残りを年率三%でスライドする内容となつており、建設コストをLNG価格のベースとする考え方には立つていない。また、輸送部分は、実費主義により調整されることとなつているが、調整の対象となる項目は限定し、LNG船の建造費がそのまま輸送費に反映することはないようにしている。

(二) 現在我が国の輸入しているLNGはアラスカ及びプルネイからのものであるが、これらは石油危機以前の契約であり、LNGに対する需要が世界的に少なかつた時代のものであるため、インドネシアのLNGに比較して相対的に価格が低くなつている。しかしながら、これらについても石油危機後の原油等のエネルギー価格の上昇に伴いその後急速に調整が行われつつある。

第三について

(一) 日本のユーザーがプルタミナから購入するLNGは、CIF契約になつており、その輸送は、プルタミナとの輸送契約に基づきバーマ石油会社系の輸送会社が行うことになつている。他方、御指摘のオイル・タンカーの差押えは、プルタミナが直接に用船又は所有している船舶に係るものである。したがつて、本件の場合には、あてはまらない。なお、本件のLNGの輸送費は、ユーザーが支払うCIF代金の中から自動的に輸送会社に支払われることとなつているため、プルタミナが本件LNG輸送に係る輸送費の不払い問題を起こし、その結果として、LNG船が差し押さえられるような事態は考えられない。

(二) 昭和五十年四月末から五月初めにかけて河本通商産業大臣は、タイ、インドネシア及びオーストラリアを訪問したが、インドネシアには四月二十九日夜に到着、翌三十日に大統領、工業大臣、国家開発企画庁長官、商業大臣、鉱業大臣、プルタミナ総裁等のインドネシア政府要人と会見をし、同日の夜にオーストラリアに向けジャカルタを出発した。その際には、経済協力関係、貿易促進等両国の経済関係に係る一般問題について話合いを行つている。

(三) 昭和五十年春頃から追加融資の話が出されていたが、同年六月に設計の見積り直し、資材の高騰等により所要資金が増加したため、プルタミナからジルコあてに正式に約五億ドルの追加融資要請があつた。その後、追加必要金額の厳重な審査と一年にわたる交渉の結果、ジルコを通じて三億二千二百万ドルの追加融資が行われることとなつた。この追加融資は、本プロジェクトの円滑な遂行のために決定されたものであり、プルタミナ救済のために行われたものではない。また、プロジェクト以外の使途に使われることのないよう貸し手であるジルコによつて送金の都度厳重に審査が行われている。なお、日本からの融資は、日本側ユーザーが支払うLNG代金の中から自動的に返済されるので、融資の償還は確実に行われることになつている。

第四について

(一) プルタミナと日本側との売買契約はCIF契約であり、輸送の責任はプルタミナが持つこととなつており、輸送契約等をめぐる疑惑の有無について、我が国としては関知していない。
    なお、輸送契約の主体がバーマスト社からバーマ・ガス・トランスポート社に移されたと聞いているが、これは、アメリカの船舶助成制度に関するものと聞いている。

(二) また、LNG売買は特殊な取引であり、輸送に関する国際市場は存在していないが、昭和五十一年五月からの輸送費改定交渉の際に他の船主がユーザーに示した価格に比較しても、本年九月一日に決定した輸送費は高いものではないと聞いており、前述のようにLNG船の建造費をそのまま輸送費に反映させることはしないことともあわせて、国際的に合理的な輸送費となるよう措置している。

第五について

 LNGの輸送問題に関しては、プルタミナとバーマ石油系の輸送会社との間の輸送契約に基づきアメリカでLNG船七隻が建造されることとなつているが、その一部について竣工予定が遅れているため、その竣工までのつなぎとして、他船主のLNG船をバーマ石油系の輸送会社が短期用船することとしたものと聞いている。
 なお、輸送については、プルタミナが判断、決定する問題であるので、ゴタス・ラーセン社と通商産業省とは、一切関係はない。また御指摘のように三光汽船がオペレーターになるとは承知していない。

 右答弁する。




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