答弁本文情報
昭和五十二年十一月四日受領答弁第六号
(質問の 六)
内閣衆質八二第六号
昭和五十二年十一月四日
内閣総理大臣 福田赳夫
衆議院議長 保利 茂 殿
衆議院議員渋沢利久君提出元韓国出身戦犯者の補償に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員渋沢利久君提出元韓国出身戦犯者の補償に関する質問に対する答弁書
1 元韓国出身戦犯者の方々が、戦時中、日本軍の徴用によつて南方に派遣され、あまつさえ、戦争終結後、俘虜管理業務に従事したことの責任を問われて連合軍の軍事裁判を受けるという大きな犠牲を強いられたことに対して、政府としては、誠にお気の毒なことであつたと存ずる次第である。
2 政府としては、元韓国出身戦犯者のおかれていた特殊な事情にかんがみ、各般の措置を講じたところであり、また、連合国の軍事裁判所により死刑に処せられた韓国出身者の遺骨については、政府は人道上、道義上の観点に立ち、他の戦没者遺骨と同様に、遺族の所在が判明したものについては、その申出により外交ルートを通じ、誠意をもつて、丁重に遺族のもとへお届けすることとしている次第である。
3 しかしながら、我が国の現行法令上、元韓国出身戦犯者に対し、我が国が補償を行うべき法律上の責任があるとは考えられず、政府としては元韓国出身戦犯者の御要望に応じ難い実情にある。
なお、日韓両国間においては、昭和四十年十二月十八日に発効した「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」により、「両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題」が、「完全かつ最終的に解決されたこととなる」ことが確認されている。
右答弁する。