答弁本文情報
昭和五十三年三月十四日受領答弁第一八号
内閣衆質八四第一八号
昭和五十三年三月十四日
衆議院議長 保利 茂 殿
衆議院議員春日一幸君提出東大医学部附属病院精神神経科の正常化に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員春日一幸君提出東大医学部附属病院精神神経科の正常化に関する再質問に対する答弁書
一、二及び四について
東京大学医学部講師を含む精医連と称する集団が、いわゆる自主管理と称して精神神経科病棟を占拠する等長期にわたり不正常な事態を継続していることは、到底容認できないところであり、誠に遺憾である。
大学当局は、従来から精神神経科病棟の状況を真に正常化するためには、病棟を占拠している精医連側を説得することが必要であるという考え方の下に、そのための努力を重ねているところである。
現在、全学的な支援体制の下に更に説得の努力を続けているところであり、その成果も芽生えつつあるので、しばらくその様子を見守ることとしたい。
精神神経科病棟に現在勤務する職員は、講師、看護婦及び医療技術職員等であり、これらの職員に係る任免、昇任、降任及び懲戒に関する権限はいずれも東京大学長にある。
これらの職員のうち講師については、教育公務員特例法が適用され、その採用及び昇任については、医学部教授会の選考に基づき学長がこれを行い、免職、降任及び懲戒については、評議会の審査の結果に基づき学長がこれを行うこととされている。
東京大学の医師以外の者による精神神経科の入院患者の診療は、病院当局が事実上このことを容認しているものであり、このような状態は、附属病院の在り方として正常なものとはいえない。
精医連の主張する医局講座制の解体、公選人事は、現行大学制度の基本と相容れないものであるばかりでなく、その主張に積極的な意義があるとは認め難い。
精神神経科病棟が極左暴力集団の宿泊場所に利用されたことがあると聞いているが、その実態については確認していない。
しかしながら、現在ようやく、病棟の施設設備等の管理の正常化のため、必要に応じ管理責任者が病棟内に立ち入る体制が確保されつつあり、今後右のような事態が生じないよう最善の努力を尽くしてまいりたい。
昨年末以来の大学当局の努力により、最近に至り、管理責任者による病棟への立入りの実施等病棟管理の正常化の方向に向かつて動き出しつつある。
文部大臣は、去る三月六日、東京大学長を招致し、八年間も不正常な事態が続いたことは到底国民の納得を得られるものでなく、事態は遷延を許さない状況にあることを述べ、毅然たる態度の下に全学を挙げて正常化に導くよう、強く指導したところである。
これに対し、東京大学長は、全学を挙げて速やかな正常化の実現を期する旨の決意を表明しているところであり、今後、適切な措置が講ぜられることになると考える。