答弁本文情報
昭和五十四年十二月二十一日受領答弁第五号
内閣衆質九〇第五号
昭和五十四年十二月二十一日
衆議院議長 ※(注)尾弘吉 殿
衆議院議員渡部一郎君提出交通遺児対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員渡部一郎君提出交通遺児対策に関する質問に対する答弁書
一について
財団法人「交通遺児育英会」に対しては、その設立の趣旨及び事業内容にかんがみ、発足以来必要な援助を行つているところであるが、同会は、近年における事業内容の拡大等に伴い財政的に厳しい状況にある。
交通遺児の高校進学を援助するため、同会が行う交通遺児修学援助事業に対して、昭和五十四年度予算においては、自動車損害賠償責任再保険特別会計に二億四千四百万円の補助金を計上しているところである。
また、このほか、都道府県が実施する高等学校交通遺児授業料減免事業に対しても助成を行つており、昭和五十四年度予算においては、同特別会計に一億九千三百万円を計上している。
今後とも、交通遺児の高校進学に係る援助については、その拡充に努めてまいりたい。
自動車事故対策センターにおいては、交通遺児を対象として無利子で生活資金の貸付けを行つているが、今後ともその充実に努めてまいりたい。
交通遺児家庭の母親を含めて母子家庭の母親の雇用を促進するためには、育児等家庭生活上の負担の軽減、職業能力の開発・向上等を図ることにより、常用労働者として就労することができるような環境の整備に努める必要がある。
このため、政府としては、就職を希望する母子家庭の母親に対しては個々の事情に応じた適切な職業相談・職業紹介に努めるとともに、訓練手当を支給しつつ行う職業訓練又は職場適応訓練の実施、雇用奨励金の支給等により母子家庭の母親がその適性、能力等にふさわしい職業に就き、安定した雇用と収入が得られるよう種々の対策を講じているところである。また、母子家庭においては、母親の就労の必要性及び緊急性が高いと思われることから、従来から、母親が就労している母子家庭の乳幼児については、「保育に欠ける児童」として優先的に保育所へ入所させるよう市町村長に対して指導してきたところである。
政府としては、今後ともかかる対策を推進し、母子家庭の母親の雇用の促進を図つていく考えであり、御指摘のような立法措置を講ずることは考えていない。
遺族年金、母子年金等は、生計中心者の死亡により残された遺族の生活の支えとして重要な意義を有しており、その改善は、今後の年金制度の改正において検討すべき事項の一つであると考えている。
母子家庭に対する医療費負担の軽減についての御指摘であるが、我が国の医療保険制度においては国民皆保険体制が採られ、また、高額療養費支給制度の創設などによりその給付内容についても逐次改善が図られてきていることもあるので、新たに母子家庭について医療費公費負担制度を設ける考えはないが、母子家庭において医療を受けるに当たつて必要な資金を援助する方途として、母子福祉資金貸付制度の中に療養資金を設けており、従来からその改善を図つてきているところである。
石油製品価格の上昇傾向はみられるが、消費者物価全体の動向としては、これまで安定的に推移していること等からみて、御指摘のような特別の措置を講ずることは考えていない。