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答弁本文情報

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昭和五十六年三月十日受領
答弁第一〇号
(質問の 一〇)

  内閣衆質九四第一〇号
    昭和五十六年三月十日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員森清君提出憲法第十八条に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員森清君提出憲法第十八条に関する質問に対する答弁書



一について

 憲法第十八条に規定する「奴隷的拘束」とは、自由な人格者であることと両立しない程度に身体の自由が拘束されている状態をいうものと解している。

二について

 憲法第十八条に規定する「その意に反する苦役」とは、その意に反する役務のうちその性質が苛酷なものとか苦痛を伴うもののみに限られず、広く本人の意思に反して強制される役務をいうものと解している。したがつて、たとえ通常の役務であつても、本人の意思に反して強制される以上、「その意に反する苦役」に当たることになる。

三について

 政府は、徴兵制度によつて一定の役務に強制的に従事させることが憲法第十八条に規定する「奴隷的拘束」に当たるとは、毛頭考えていない。まして、現在の自衛隊員がその職務に従事することがこれに当たらないことはいうまでもない。
 政府が徴兵制度を違憲とする論拠の一つとして憲法第十八条を引用しているのは、徴兵制度によつて一定の役務に従事することが本人の意思に反して強制されるものであることに着目して、二についてにおいて述べたような意味で「その意に反する苦役」に当たると考えているからである。なお、現在の自衛隊員は、志願制により本人の自由意思に基づいて採用されるものであり、その職務に従事することが「その意に反する苦役」に当たらないことはいうまでもない。

四について

 御指摘の災害救助法等に基づく従事命令の規定は、一定の役務に従事することを強制するものではあるが、その役務の提供は公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められる範囲内のものと考えられるから、憲法に違反するものではないと考えている。

五について

 政府の見解は、以上のとおりであり、徴兵制度を違憲とする論拠の一つとして憲法第十八条を引用する従来の政府の解釈を変更することは考えていない。

 右答弁する。




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