答弁本文情報
昭和五十六年四月十四日受領答弁第二八号
(質問の 二八)
内閣衆質九四第二八号
昭和五十六年四月十四日
内閣総理大臣 鈴木善幸
衆議院議長 福田 一 殿
衆議院議員小沢貞孝君提出極端に投票率の低い選挙の場合の当選効力に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員小沢貞孝君提出極端に投票率の低い選挙の場合の当選効力に関する質問に対する答弁書
一及び二について
投票について選挙人の自由に委ねている現行制度(任意投票制)の下では、選挙に参加した有権者の投票結果をもつて全有権者の意思の反映があつたものと考えることが適当であり、当選人となるための得票の基準は、現実に選挙において表明された有権者の意思表示、すなわち、有効投票を基礎として定めることが妥当であると考える。
当選に必要な得票の基準を有権者総数との対比において固定的に定めることも立法政策上は一つの考え方であろうが、この場合、当選人が得られないため決選投票を行つたとしても、その結果は先の選挙とほとんど同様のものとなることが予想されるだけでなく、かえつて激烈な競争を招き多額の経費を要することとなろう。このような観点からも、現行法は、当選に必要な得票の基準を有権者総数との対比ではなく、有効投票総数との対比において定め、更には立候補者数が定数を超えない場合には、無投票当選の制度を認めているものである。
なお、決選投票制度を採ることについては、かつて地方公共団体の長の選挙においてこの制度が採用されていたが、決選投票の実績をみると、ほとんどの場合、最初の選挙における第一位の得票者が決選投票においても当選しているため、改めて投票を行うことの繁雑さに対する批判が高まり、昭和二十七年に廃止された経緯があることからみても、適当とは考えられない。