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答弁本文情報

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昭和五十七年四月九日受領
答弁第八号
(質問の 八)

  内閣衆質九六第八号
    昭和五十七年四月九日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員小川国彦君提出もち米輸入商社公表問題と国政調査権との関連に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小川国彦君提出もち米輸入商社公表問題と国政調査権との関連に関する質問に対する答弁書



一について

 「もち米については、うるち米と同様、国内必要量は国内生産で確保することを基本としている。」という方針は、現在においても変更はない。

二及び三について

 もち米の需給の安定を図るためには、需要に見合つた適正な生産が図られることが必要であるとの観点から、もち米安定供給奨励金の交付を行うとともに、関係者を指導し、もち米生産団地の拡大、契約栽培に伴う最低保証額の引上げ等の措置を図つたところである。
 しかしながら、五十六年産米も前年に引き続き不作に見舞われたことから、もち米の需給及び価格の安定を図るためやむを得ず外国産もち米の輸入を行つたところである。

四について

 今後とも、もち米の国内必要量は国内生産で確保することが基本であると考えており、このような観点に立つて国内産もち米の調整保管制度を新たに設け、政府としても所要の助成を行うこととしたところである。
 異常な凶作等によりやむを得ず輸入を行うことがないとはいえないが、今後は、この調整保管制度の活用を中心に、もち米の需給及び価格の安定を図り得るよう努めてまいりたい。

五について

(一) 昭和五十年度以降におけるもち米の輸入先国、年度契約ごとの輸入数量、契約ごとの取扱い商社名及び食糧庁の買入契約価格は、別表一のとおりである。
    なお、企業名を示して個々の商社ごとの契約数量を明らかにすることは、各商社の営業活動を公開することになり、企業の秘密に触れることになるので、適当でないと考える。

(二) 相手国での仕入価格、輸送費・保険料等の中間経費及び商社手数料については、食糧庁は、所要の調査を行い、その時々の適正な水準を把握の上、予定価格を算定し、その範囲内の価格で買付契約を締結しているが、契約締結後に各商社が実際に要した額は承知していない。
    なお、相手国での仕入価格については、政府間で交渉することもあるが、この場合にもその価格については、輸出国側からこれを公表しないよう要請されており、日本側としても有利な買い付けを確保するため、これを公表することは適当でないと考える。

(三) 相手国における買付け先については、それが民間企業である場合には、その企業名は承知していない。国家機関又はその指定を受けた機関としては、韓国にあつては大韓民国農業協同組合中央会、中国にあつては中国糧油食品進出口総公司、タイにあつては商業省外国貿易局がそれぞれ買付け先となつている。

(四) 買付け国におけるもち米の価格推移については、タイの場合は別表二のとおりである。
    なお、その他の国については、この種の資料はない。
    また、他国による買付け価格及び数量に関する資料は、入手困難である。

六について

(一) 政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力をすべきものと考えるが、本件において、各商社の具体的な契約数量を明らかにすることについては、各商社の営業活動を公開することになり、企業の秘密に触れることになること、また、政府間交渉により決定された相手国での仕入価格を明らかにすることについては、相手国の要請に反するとともに、我が国の有利な買い付けが困難になるという問題があることから、適当でないと考える。

(二) なお、いわゆる国政調査権に関する政府の考え方は、次のとおりである。

   1 いわゆる国政調査権は、憲法第六十二条に由来するものであり、国政の全般にわたつてその適正な行使が保障されなければならないことはいうまでもないところである。
     一方、憲法第六十五条によつて内閣に属することとされている行政権に属する公務の民主的かつ能率的な運営を確保するために、国家公務員には守秘義務が課されている。

   2 そこで、国政調査権と国家公務員の守秘義務との間において調整を必要とする場合が生ずる。国政調査権に基づいて政府に対して要請があつた場合、その要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうかは、守秘義務によつて守られるべき公益と国政調査権の行使によつて得られるべき公益とを個々の事案ごとに比較衡量することにより決定されるべきものと考える。

   3 個々の事案について右の判断をする場合において、国会と政府との見解が異なる場合が時に生ずることは避け得ないところであろうが、政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力をすべきものと考える。
     (昭和四十九年十二月二十三日参議院予算委員会における三木内閣総理大臣答弁参照)

 右答弁する。


別表一               も ち 米 の 輸 入 状 況

もち米の輸入状況 1/5


もち米の輸入状況 2/5


もち米の輸入状況 3/5


もち米の輸入状況 4/5


もち米の輸入状況 5/5

別表二
          タイ国貿易取引委員会の公表によるタイもち精米(砕米率10%)
          の輸出指標価格

タイ国貿易取引委員会の公表によるタイもち精米(砕米率10%)の輸出指標価格



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