答弁本文情報
昭和五十七年八月二十日受領答弁第二〇号
内閣衆質九六第二〇号
昭和五十七年八月二十日
衆議院議長 福田 一 殿
衆議院議員草川昭三君提出タバコの販売政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員草川昭三君提出タバコの販売政策に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘のWHO勧告は、「できるだけ若年層に喫煙を覚えさせるべきでなく、吸い始めるとしてもできるだけその開始を遅らせること」等を目的として政府が活動することを勧告しているが、我が国では、既に「未成年者喫煙禁止法」が制定されており、また、専売公社においても広告宣伝の自主規制を行つているほか、政府及び専売公社が協力して未成年者に対する販売防止対策を行う等、WHO勧告の趣旨に沿つた施策を講じている。
なお、新製品「ノバ」は、多様化する消費者の嗜好に対応するため、特徴ある香りを付与した商品として開発したものであり、特に女性喫煙者の拡大を意図しているものではないと承知している。
1 現在使用中の香料は、紙巻たばこについては五十四種類、パイプたばこについては十二種類であると聞いている。
2 厚生省としては、たばこに使用されている添加物の発がん性、安全性については確認を行つていない。
3 専売公社は、各種添加物に関する内外の諸基準、研究事例に照らして、添加物の安全性を確認しており、更に必要に応じ動物実験を行う等により、十分慎重を期していると承知している。
御指摘の研究については、今後その内容を詳細に検討してまいりたい。
喫煙の健康に及ぼす影響については、病理学的にはまだ不明な点があるが、一方、疫学的には関連があるとの報告がなされている。
したがつて、今後なお詳細な研究を行う必要があると考えているが、政府あるいは専売公社において、@喫煙と健康に関する知識の普及A低ニコチン、低タール商品の開発B広告宣伝の自主規制などの諸施策を講じているところである。
(1)国及び専売公社における過去十年間(昭和四十七年度から昭和五十六年度まで)の喫煙と健康に関する研究費は、次のとおりである。
国 二千六百万円
(このほか、がん研究助成金の中で、喫煙とがんとの関連について研究助成を行つている。)
専売公社 十億八千五百万円
(2)喫煙と健康に関する研究は、専売公社も行つているところであるが、国としては、厚生省を中心に行つてきているところであり、今後とも引き続き研究を進めてまいりたい。
政府は、WHOの勧告以前から、昭和四十六年三月の専売事業審議会の答申を受けて、専売公社に対し、その広告宣伝活動の在り方について指導監督を行つてきている。
なお、専売公社は、現在、広告宣伝活動について、次のような措置を講じている。
(1)未成年者喫煙防止、火災予防、都市美化及び望ましい喫煙マナーのPRを強化する。
(2)ニコチン、タールの調査結果を、年一回程度公表し、販売店頭でも分かるようにする。
(3)テレビ、ラジオの使用は、新製品の紹介及び商品知識の普及程度にとどめる。
(4)主として、未成年者、女性を対象とした刊行物へのたばこ広告は行わない。
(5)少年少女のアイドルとなつている人気スターをモデルに使わない。
(6)女性に喫煙を勧めるような広告表現は避ける。
電波媒体を使用した広告宣伝については、既に専売公社において自主規制措置により、新製品の紹介、喫煙マナーの向上普及等に限定するなど過度にわたらないよう必要な措置を講じているところである。
なお、専売公社の広告宣伝費の推移は、次のとおりである。
昭和四十七年度 | 二七一百万円 | |
昭和四十八年度 | 二九三百万円 | |
昭和四十九年度 | 三五二百万円 | |
昭和 五 十 年度 | 七〇七百万円 | |
昭和五十一年度 | 四九九百万円 | |
昭和五十二年度 | 五八二百万円 | |
昭和五十三年度 | 六六三百万円 | |
昭和五十四年度 | 九九一百万円 | |
昭和五十五年度 | 一、二八八百万円 | |
昭和五十六年度 | 一、五七八百万円 |
青少年の喫煙率等の調査については、過去に、非行原因に関する調査の一環として実施したことがある。
更に調査する必要があるかどうかについては、未成年者の喫煙が、未成年者喫煙禁止法により禁止されていることから、調査が誤解を招くことがないかどうかといつた点も踏まえ、今後更に検討してまいりたい。
未成年者の喫煙防止については、毎年「青少年を非行からまもる全国強調月間」等を通じ、所要の広報活動を行つているところである。
今後とも、未成年者の喫煙防止のための啓発活動に十分配意してまいりたい。