答弁本文情報
昭和五十七年九月十七日受領答弁第三〇号
内閣衆質九六第三〇号
昭和五十七年九月十七日
衆議院議長 福田 一 殿
衆議院議員小沢和秋君提出新日鉄八幡における労働基準法違反の是正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員小沢和秋君提出新日鉄八幡における労働基準法違反の是正に関する質問に対する答弁書
一について
労働基準法第百四条第一項の規定に基づき、労働者から申告があつた場合には、当該申告の迅速かつ適正な処理に努めているところであるが、昭和五十六年十二月十九日に、新日本製鐵株式会社八幡製鐵所(以下「製鉄所」という。)の労働者七十九名が八幡労働基準監督署長に対して行つた製鉄所に係る申告(以下「本件申告」という。)については、申告者の申立てと製鉄所側の説明が一致しないこと、申告事項に係る申告者の説明に不明確な点があつたこと等申告事項に係る事実の確認が困難な事案であることに加え、昭和五十七年四月六日に補充申告書が提出されたこと等のため、その処理に日時を要しているものである。
本件申告に関しては、申告者、製鉄所、労働組合及び関係労働者からの事情聴取を行う等労働基準監督機関としてその処理に必要な調査を行つている。
御指摘の作業のうち、製鉄所の社員就業規則第三十三条の規定に基づいて行う業務の引継ぎに要する時間については、労働時間であると考えられる。
御指摘の一日の所定労働時間が七時間十五分である労働者を一日八時間を超えて労働させた場合には、その八時間を超える部分の労働時間については労働基準法第三十七条第一項の割増賃金を支払わなければならないが、実労働時間が八時間以下の範囲内で、いわゆる所定労働時間外労働に従事させた場合の当該時間外労働に係る賃金については、労使間の合意にゆだねられているところである。
なお、御指摘の事案に関しては、短時間の引継業務に見合うものとして交代手当が支給されていると承知している。
製鉄所において昭和四十五年に四組三交代制が導入された際、製鉄所が労働組合に対して、交代勤務に係る引継ぎに要する時間は極めて短時間であり、過勤務として取り扱うことは適当でないので、当該時間に係る賃金を交代手当に包括することとし、当該手当の引上げを行う旨の説明を行い、それ以後、製鉄所及び労働組合の了解の下にそのような取扱いが行われていると聞いている。
四及び五についてで述べたように、製鉄所においては、短時間の引継業務に見合うものとして交代手当が支給されていると聞いており、賃金の未払があることについての確認は得られなかつた。
本件申告に関しては、所轄労働基準監督署から交代勤務に係る引継業務についての時間管理の適正化について指導したところである。
なお、他の鉄鋼大手各社に対して、同様の指導を行うことは考えていない。