答弁本文情報
昭和五十八年一月十八日受領答弁第三号
内閣衆質九七第三号
昭和五十八年一月十八日
国務大臣 齋藤邦吉
衆議院議長 福田 一 殿
衆議院議員瀬崎博義君提出苫田ダム建設計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員瀬崎博義君提出苫田ダム建設計画に関する質問に対する答弁書
一について
1 昭和三十二年十一月十八日付けの山陽新聞に、岡山県の農業用水等の用に供するダム構想として、堤高四十五メートル、貯水量三千万トン、水没戸数約二百戸の計画がある旨の記事が掲載されたことは、承知している。
2 承知している。
3(1) 承知している。
(2) 苫田ダム阻止特別委員会が存在し、最近では、昭和五十七年二月十四日に開催されたことは、承知している。
(3) 苫田ダム阻止特別委員会条例は、地元住民の大多数がダム建設に反対していた昭和三十四年当時において、その意思表示として定められたものであると考えるが、最近では、同条例の改廃について奥津町議会において審議が行われ、また、地元住民から土地、家屋等の立入調査の早期実施が要請される等地元住民の考えにも変化が生じていると理解している。
4 吉井川水系の治水対策及び水資源開発を推進するため、ダムを建設する必要があつたからである。
5(1) 御指摘のとおりの文書である。
(2) 建設省は、協定書第二条の実施調査を行つたことはない。
なお、現在、ダム建設に条件付で賛成を表明している住民に係る土地、家屋等の立入調査を奥津町長の承諾を得て、実施している。
(3) 今後とも、ダム建設に必要な調査は、奥津町長との所要の協議を事前に経て、実施する所存である。
6(1) 承知している。
(2) ダム建設に伴う地元住民の離町又は生活再建、ダム完成後における奥津町の振興対策等に対する懸念等が背景にあると考えているが、最近では、地元住民の考えにも変化が生じていると理解しており、今後とも、ダム建設への理解と協力を更に得るべく努力する所存である。
7 従来から岡山県等の協力を得て、地元住民のダム建設への理解と協力を得るべく努力してきたところであるが、今後とも、御指摘のような事態の解消を図つていく所存である。
8(1) 岡山県及び吉井川水系三市十七町によつて設立された財団法人「吉井川水源地域対策基金」に御指摘の制度が存し、同基金の寄附行為、貸付要綱等に従い、適切に運用されていると聞いている。
(2) 同基金への国庫補助金の支出は行われていない。
(3) 国勢調査によると、奥津町の人口及び世帯数は、次のとおりである。
なお、現在、水没予定地内において、ダム建設に条件付で賛成を表明している住民が所有している土地の面積は、全水没予定地(公共用地を除く。)の面積の六割程度と認識している。
二について
1(1) 吉井川流域における工業出荷額の昭和五十四年の実績は、昭和四十八年の実績の約二・四倍であると承知している。
1(2)及び2 吉井川流域における工業用水の昭和五十四年の淡水取水量は、年間約五千万立方メートルであり、昭和四十八年のそれに比較して、ほぼ横ばい状態で推移している。
生活用水の取水量は昭和四十八年以降増加しており、苫田ダムの建設に関する基本計画の作成の際に改めて検討を加えたが、生活用水を含めた都市用水の需要は今後とも増加していくと判断し、同計画を作成したものである。
1から4まで 昭和三十三年九月、岡山県が、農業用水、工業用水及び水道用水の確保並びに発電の用に供することを目的とした利水ダムとして、佐伯ダムを建設する構想を発表したことは、承知している。
また、この構想に対して、たい砂、地下水位の上昇等により周辺地域においてたん水被害が生じる等の理由による反対があつたと聞いているが、建設を断念したのは、主として都市用水の水源確保の着手時期の判断に議論があつたため等と承知している。
なお、当該ダムは、治水目的を有していなかつたと承知している。
5 佐伯ダムの構想を断念した経緯は、前述のとおりと承知しているが、建設省としては、苫田ダムに関しては、地元住民の理解と協力を得るべく努力する所存である。
6 佐伯ダムは、前述のとおり治水目的を有していなかつたと承知している。
町医療センターについては建設中であり、御指摘のような事態は承知していない。
また、第三期山村振興農林漁業対策事業及び間伐促進対策事業は実施中であり、大釣園休憩所は完成したと承知しており、公共育成牧場整備事業については岡山県知事に対する実施計画の承認申請が取り下げられたと聞いている。
なお、町の振興施策との関連で、岡山県と奥津町との調整に多少の時間を要したことがあつたとのことであるが、事業の円滑な推進を図るための合意が行われたと聞いている。