答弁本文情報
昭和六十一年一月二十八日受領答弁第二一号
内閣衆質一〇三第二一号
昭和六十一年一月二十八日
内閣総理大臣 中曽根康弘
衆議院議長 坂田道太 殿
衆議院議員玉城栄一君提出米軍に提供している土地の上に戦前存在した借地権等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員玉城栄一君提出米軍に提供している土地の上に戦前存在した借地権等に関する質問に対する答弁書
一、四及び五について
地上権、永小作権、賃借権等の土地の用益権(以下「用益権」という。)は、当該土地が米軍の用に供されている間であつてもその存続期間が進行し、民法(明治二十九年法律第八十九号)、借地法(大正十年法律第四十九号)等の用益権を規律する法律により、更新される場合を除き、その期間が満了すれば、消滅するものと考える。
なお、旧土地工作物使用令(昭和二十年勅令第六百三十六号)に基づく使用に係る事案について御指摘の裁判例があることは、承知している。
また、国が米軍の用に供するため土地の使用権原を取得することにより、その土地に関して用益権を有する者に損失が生ずる場合には、その損失を補償することとなる。
国が米軍の用に供するため賃貸借契約を締結している土地については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(昭和二十七年法律第百四十号。以下「駐留軍用地特措法」という。)に基づき使用するものではないから、土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第百一条第二項の規定は、適用されない。
なお、用益権を現に行使している土地について駐留軍用地特措法に基づく使用がされたときは、その使用の期間中は消滅時効は進行しないものと考える。
存続期間の満了等により用益権が消滅した場合を除き、用益権の行使は可能となる。