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昭和六十二年六月二十三日受領
答弁第四六号

  内閣衆質一〇八第四六号
    昭和六十二年六月二十三日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員上原康助君提出政府の沖縄施策の実績と今後の施策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員上原康助君提出政府の沖縄施策の実績と今後の施策に関する質問に対する答弁書



一の1について

 沖縄の経済社会は、沖縄振興開発計画に基づく総合的な諸施策の実施と県民の努力により、学校教育施設をはじめ、道路、空港、港湾等の交通通信施設、上下水道等の生活環境施設の整備は大きく前進し、本土との格差は次第に縮小されてきているなど、総体としては着実に発展してきている。
 しかしながら、生活・産業基盤の面ではなお整備を要するものがみられ、また、産業振興の問題をはじめとして、雇用や水の確保の問題など、まだ解決を要する多くの課題を抱えている。このため、政府としては、第二次沖縄振興開発計画(以下「二次振計」という。)の目標の達成に向けて更に努力する必要があるものと考えている。

一の2について

 第一次沖縄振興開発計画(以下「一次振計」という。)の「人口および経済社会の見通し」において想定した目標年次における目標値と実績値(総務庁「推計人口」、「労働力調査」、沖縄県「県民所得統計」による。)は、次のとおりである。
 人口は、昭和五十六年十月には百十一万八千人となり、一次振計で想定した百三万人を大幅に上回つている。
 就業者数は、昭和五十六年には四十三万九千人となり、一次振計で想定した四十六万人を下回つている。また、その産業別構成は、一次振計で想定した比率(第一次産業十三パーセント、第二次産業二十八パーセント、第三次産業五十九パーセント)を第一次産業及び第三次産業では上回り、第二次産業では下回つている(第一次産業十三・七パーセント、第二次産業二十パーセント、第三次産業六十六・三パーセント)。
 県内純生産は、昭和五十六年度名目で一兆三千四百二十七億円であり、一次振計で期待された昭和四十五年度価格で一兆円程度とは、大きな隔たりがある。また、その産業別構成は、一次振計で想定した比率(第一次産業五パーセント、第二次産業三十パーセント、第三次産業六十五パーセント)を第一次産業及び第三次産業では上回り、第二次産業では下回つている(第一次産業五・五パーセント、第二次産業二十二・六パーセント、第三次産業七十五パーセント)。
 一人当たり県民所得は、昭和五十六年度名目で百二十七万四千円であり、一次振計で期待された昭和四十五年度価格で百万円弱とは、大きな隔たりがある。一人当たり国民所得に対する割合では、昭和四十七年度の六十パーセントから昭和五十六年度には七十一・六パーセントへ上昇している。

一の3について

 二次振計の「人口及び経済社会のフレーム」についての最近の実績値(総務庁「国勢調査」、「労働力調査」、沖縄県「県民所得統計」による。)と今後の見通しは、次のとおりである。
 人口は、昭和五十五年の百十万七千人から、昭和六十年には百十七万九千人に増加している。
 労働力人口は、昭和五十五年の四十五万三千人から、昭和六十一年には五十万九千人に増加している。
 このような労働力人口の増加に伴い、就業者数も増加し、昭和五十五年の四十三万千人から、昭和六十一年には四十八万千人に増加している。産業別構成では、第一次産業十二・三パーセント、第二次産業二十・六パーセント、第三次産業六十六・七パーセントとなつている。
 今後の見通しについては、人口は、最近のすう勢で推移するとすれば、二次振計の最終年次で百二十四万人を超え、これに伴い、労働力人口は同年次で五十五万人を超え、就業者数は同年次で五十三万人台になるものと見込まれる。
 また、その産業別構成では、経済のソフト化、サービス化の一層の進展に伴い、第三次産業の構成比が高まる一方で、第一次産業及び第二次産業の構成比は若干低下するものと見込まれる。
 県内純生産は、二次振計の基準年次の一兆二千八百億円から昭和五十九年度には一兆六千六十二億円に増加している。
 また、これに伴つて、一人当たり県民所得は、二次振計の基準年次の百十六万円から昭和五十九年度には百四十八万円に増加している。一人当たり国民所得に対する割合は、六十九・二パーセントから七十四・一パーセントへ上昇している。
 今後の見通しについては、経済のソフト化、サービス化の進展に伴い、第三次産業のウェイトが高い現在の産業構造は変わらないものと見込まれる。
 政府としては、沖縄の経済社会の置かれている厳しい現状を踏まえ、今後とも、二次振計の目標の達成に向け振興開発の推進に積極的に取り組み、県民生活の向上を図つてまいる所存である。

一の4について

 政府は、本土復帰後の沖縄の振興開発を図るため、一次振計及び二次振計を策定し、これら計画に基づき、総合的な諸施策を講じてきているところである。
 この結果、沖縄の経済社会は、立ち後れの著しかつた社会資本の整備は大きく進展し、総体として着実な発展を遂げてきたものと考えている。
 しかしながら、産業基盤整備をはじめ産業間相互の有機的結合や技術力等の蓄積が十分でないこと等のため、産業の振興が遅れ、特に期待されている工業が、立地条件等において必ずしも優位でなかつたこともあつて、予期したように進展せず、物的生産部門としての第二次産業(製造業)が弱く、第三次産業の比重が高い産業構造はほとんど変わつておらず、沖縄県経済は、経常的に移輸入が移輸出を上回るとともに、財政支出に依存する形で推移してきている。
 また、雇用面においても全国の約二倍の失業率となつているなど厳しい情勢が続いており、さらに、一人当たり県民所得については、復帰時よりかなり増加し、一人当たり国民所得に対する割合は次第に上昇してきているものの、全国最下位(昭和五十九年度)にある。
 また、広大な米軍施設及び区域が存在する等により、厳しい土地利用上の制約を受けている。
 このように、沖縄の経済社会は、本土との格差を是正し、経済の自立的発展を図つていく上で、解決すべき多くの課題を抱えている。
 このため、政府としては、今後とも、二次振計の基本方向に沿つて、沖縄県の実情及び県民の意向を十分に踏まえながら、沖縄経済の自立的な発展が図られるよう振興開発に積極的に取り組んでまいる所存である。

二の1について

 沖縄地方は、亜熱帯地域に位置するなど特色ある地域である。第四次全国総合開発計画の策定に当たつては、本地方がその特性を十分活用して発展を図るため、諸外国との交流拠点の形成、観光・保養地域の形成等の開発・整備の方向を示すべく検討がなされているところである。

二の2について

 二次振計の後期における振興方策については、現在沖縄振興開発審議会において、第四次全国総合開発計画策定に当たつての基本的な考え方を踏まえて、審議を進めているところである。

三について

 二次振計の計画期間十年のうち、約五年を残している現時点においては、二次振計の目標の達成に向けて全力を傾注しているところであり、第三次沖縄振興開発計画の必要の有無に言及するのは、時期尚早であると考えている。

四の1について

 産業構造の改善を図るため、農林水産業、工業及び観光産業の振興について四の2のロについてから四の11についてまでにおいて述べるような対策を講じている。今後とも、これらの施策を活用しつつ、沖縄県の産業の振興と産業構造の改善に努めてまいりたい。また、県外企業の立地については、特に沖縄県をはじめとする遠隔地における企業立地が低迷している状況にあり、今後とも、企業に対する工業用地等の情報提供や工業再配置促進費補助金の活用等により、沖縄県等の企業誘致努力を支援してまいりたい。

四の2のイについて

 沖縄県の農業基盤整備事業については、従来から、採択基準、補助率等について、優遇措置を講じ、かんがい排水事業、農道整備事業、ほ場整備事業をはじめとする事業の推進を図つてきたところであり、今後とも、その推進に努めてまいりたい。

四の2のロについて

 沖縄県農業の基幹作物であるさとうきびについては、土地基盤の整備、高能率収穫作業機械の導入、優良種苗の安定確保等の生産条件の整備を進めてきたところであり、今後とも、その推進に努めてまいりたい。
 また、パインアップルの円高対策措置については、パインアップル産業の重要性にかんがみ、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法(昭和六十一年法律第四号)によりパインアップル缶詰製造業の経営安定に資するとともに、パインアップル果汁工場の整備、パインアップルの生産性の向上、価格の安定等各般の施策を展開してまいりたい。

四の2のハについて

 優良農用地については、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)及び農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)の適切な運用、農用地開発事業の実施等により、その確保に努めてきたところであり、今後とも、その推進に努めてまいりたい。
 また、農業後継者の育成については、改良普及員による技術、経営等に関する指導、県農業者大学校における研修教育、各種資金の融資等の対策を実施してきたところであり、今後とも、これらの施策の推進を図つてまいりたい。

四の3について

 沖縄県においては、国土保全、水資源かん養等森林のもつ公益的機能の高度発揮の要請にこたえつつ、森林資源の維持培養と林業の振興を図るため、治山、造林、林道事業をはじめ各般の施策を実施してきており、今後とも、これらの施策の推進を図つてまいりたい。
 また、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)に基づき米軍に提供している施設及び区域内等の森林についても、水源かん養等のため適切な管理がなされるよう、関係省庁間で十分連絡を図りながら対処していく考えである。

四の4について

 沖縄県においては、生産性の高い活力ある水産業の確立を図るため、漁港の計画的整備、栽培漁業センターの整備等を通じた栽培漁業の振興、沿岸漁場の整備開発、構造改善事業による施設の整備、水産物流通加工対策、水産業経営対策等の施策を実施してきており、今後とも、これらの施策の推進を図つてまいりたい。
 漁業関係者に対する海難防止講習会の開催、訪船指導等によつて、海難防止思想の普及、海上衝突予防法(昭和五十二年法律第六十二号)等の海事関係法令の周知徹底を図るとともに、漁業関係者間の連絡協力体制を確立する等漁船の海難防止に努めているところである。

四の5について

 沖縄県の畜産振興については、従来から、飼料基盤の整備、家畜の改良増殖対策、家畜衛生対策等各般の施策を実施してきており、今後とも、その振興に努めてまいりたい。
 また、畜産物の価格安定等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十三号)に基づく価格安定制度の適切な運用等により、畜産物の価格安定に引き続き努めてまいりたい。

四の6について

  工業の振興については、次のような対策を講じている。

(1) 昭和五十年において糸満市、具志川市、南風原町、読谷村の四地区、昭和六十年において石川市、宜野湾市、名護市、沖縄市、勝連町、西原町、佐敷町の七地区の計十一地区について、沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号。以下「沖振法」という。)第十一条に基づく工業開発地区の指定を行つている。

(2) 新規企業の立地を促進するため、工業団地造成利子補給金制度の適用を行つている。

(3) 全国的な工業の適正配置を図るため、沖縄県を特別誘導地域に指定して、工業再配置促進費補助金の交付を行つている。

(4) 地場産業対策としては、地場の組合による新商品の開発、需要開拓等の事業に対し補助金の交付等の助成を行つている。

(5) 伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和四十九年法律第五十七号)に基づき、昭和六十二年四月までに沖縄県における伝統的工芸品十品目の指定を行い、後継者育成、需要開拓等の事業に対し補助金の交付等の助成を行つている。

四の7のイについて

 沖縄の中小企業の振興に関しては、中小企業近代化促進法(昭和三十八年法律第六十四号)に基づく近代化計画施策、中小企業事業団法(昭和五十五年法律第五十三号)に基づく高度化資金融資等各般の対策を講じてきているほか、特に、沖縄の復帰に伴う通商産業省関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和四十七年政令第百十号)に基づく九業種及び沖振法に基づく五業種については、沖縄県についてのみ、近代化計画の策定を行つている。
 また、沖縄振興開発金融公庫(以下「沖縄公庫」という。)の貸付枠について、昭和六十二年度において中小企業等資金貸付規模四百十億円を確保するとともに特別貸付制度等の拡充、貸付条件の改善等を実施している。
 なお、円高により打撃を受けた中小企業に対しては、昭和六十一年二月二十五日に施行された特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法及び同年十二月五日に施行された特定地域中小企業対策臨時措置法(昭和六十一年法律第九十七号)に基づき低利融資、信用保険の特例等の措置を講じているところである。
 政府としては、今後とも、両法に基づく施策をはじめ、中小企業対策を積極的に推進してまいる所存である。

四の7のロについて

 沖縄県における企業倒産件数は、民間信用調査機関の調べによると負債総額千万円以上の倒産は、昭和五十九年三百三十一件、昭和六十年二百八十五件、昭和六十一年二百五件となつている。
 中小企業の倒産防止対策については、従来から、中小企業倒産防止共済制度をはじめ、倒産防止特別相談事業、倒産関連保証についての信用保険の特例等各般の対策を実施している。
 今後とも、各対策を積極的に活用することにより、中小企業の倒産防止に努めてまいりたい。

四の8について

(1) 沖縄の基地周辺事業者等の中小企業者に対する円高不況対策としては、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法及び特定地域中小企業対策臨時措置法に基づき低利融資、信用保険の特例等の措置を講じているところである。

(2) また、本年四月一日に施行された産業構造転換円滑化臨時措置法(昭和六十二年法律第二十四号)においても、沖縄市等を特定地域として指定し、地域の経済の安定及び発展のための金融支援等の措置を講ずることとしたところである。

(3) 政府としては、今後とも、これらの法律に基づく施策等を積極的に推進してまいる所存である。

四の9について

 沖縄は、我が国の最南端に位置する亜熱帯地域として固有の自然景観、特異な伝統工芸や伝統芸能等の観光資源に恵まれており、この観光資源をいかすため、政府においては、空港等の交通施設の整備、ホテル、旅館の整備を促進するとともに、国内航空運賃の団体包括旅行割引の拡充を図つているほか、昨年三月に沖縄本島をサザンオキナワ国際観光モデル地区として指定することにより外国人観光客の受入体制の整備を促進する等沖縄への国内・国外観光客の誘致及び観光産業の振興に努めている。
 今後とも、引き続き、沖縄の観光振興のための施策の実施に努めてまいりたい。

四の10について

(1) 四の6についての(1)で述べたように工業開発地区の指定を行つている。

(2) 現在まで砂糖製造業、建設用金属製品製造業、建築用金属製品製造業、鋼構造物工事業、建具工事業について沖振法第十九条に基づく近代化計画を策定している。

(3) 今後とも、工業開発地区に係る諸優遇措置の積極的活用及び県内中小企業の近代化の推進のため、これらの施策の普及、指導等実態に即したきめ細かい施策を講じていくよう努めてまいりたい。

四の11について

 沖振法に規定する自由貿易地域の設置については、現在、沖縄県において具体的な計画を検討中であり、同計画の内容を見た上で検討することといたしたい。
 また、沖縄県経済の経常的な移輸入超過を改善するためには、産業の振興を図ることが必要であり、今後とも沖縄の産業の振興に努めてまいりたい。

五の1について

 沖縄県における完全失業者数(率)及び若年者完全失業者数(率)の推移は、次表のとおりである。

沖縄県における完全失業者数(率)及び若年者完全失業者数(率)の推移

五の2について

 沖縄県において復帰後、失業率が上昇した要因としては、本土復帰の際のいわゆる復帰失業者の発生及び米軍基地の整理統合に伴う関係離職者の発生によるところが大きいものと考えている。
 また、最近においても、沖縄県における雇用失業情勢が深刻な状況にある要因としては、

@ 労働力人口の増加に比して、県内の雇用機会が増加しなかつたこと
A 県外就職者のUターンが多いこと

等によるところが大きいものと考えている。

五の3について

 沖縄県の厳しい雇用問題に対処するためには、基本的には、産業を振興して県内における雇用機会の拡大を図ることが必要であり、雇用対策の面でも、産業の振興との有機的な連携の下に雇用機会の拡大に結びつく施策の推進に努めることが重要である。
 こうした観点から、経営基盤のぜい弱な沖縄の地元企業の基盤の強化を図ることにより雇用需要の増大に努めるとともに、若年求職者に対し雇用機会を創出するための職場適応訓練を実施しているほか、学卒就職予定者に対する進路指導、職業指導の充実等を図つているところである。
 また、三十万人雇用開発プログラム及び地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)については、沖縄県全域を同法の雇用開発促進地域に指定し、沖縄県全域において地域雇用開発助成金制度を適用する等により、雇用開発を促進するとともに、雇用調整助成金制度、特定求職者雇用開発助成金制度等の積極的活用により、労働者の失業の予防、雇用の安定等に努めているところである。

五の4について

 沖振法第三十八条に基づき失業者を吸収する事業を実施したことはない。
 これは、失業対策事業等国や地方公共団体が特別の事業を実施し、失業者を吸収する方式については、失業者が当該事業に滞留し、その再就職にはつながらないという基本的な問題があるためであり、昭和六十年十一月に労働大臣に提出された「失業対策制度調査研究報告」においても、雇用失業対策は、今後とも、民間企業における雇用の安定や雇用の促進のための施策の拡充、発展及びその積極的活用を基本とすべきであり、失業対策事業のように失業者を吸収するために国や地方公共団体が事業を起こすという方式はとるべきでない旨述べられているところである。
 したがつて、政府としては、今後は、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)、地域雇用開発等促進法等に基づく各種雇用助成措置の活用等により民間企業への雇用の促進に努めることとしているところであり、失業者を吸収するために新たに事業を実施することは考えていない。

六の1について

 教育施設に関する施策実績と今後の施策方針は、次のとおりである。

(1) 公立学校施設の整備
    公立学校施設の整備については、昭和四十七年の本土への復帰以来昭和六十一年度までに、百八十八万九千平方メートルの事業量を措置してきた。
    この結果、建物の整備率の状況は、昭和六十一年五月一日現在、小中学校校舎九十三パーセント、小中学校屋内運動場九十・二パーセントとなつている。
    また、高等学校産業教育施設については十六万七千平方メートル及び実習船一隻の整備、学校体育施設については水泳プール百九十二箇所、中高等学校柔剣道場六十六箇所及び公立学校の体育施設の照明設備等百二十六箇所の整備、学校給食施設については三万五千平方メートルの整備を行つてきている。
    今後とも、県・市町村の整備計画を勘案して必要な措置を講じてまいりたい。

(2) 社会教育施設の整備
    昭和四十七年の本土への復帰以来昭和六十一年度までの社会教育施設の整備実績は、公民館三十六館のほか、図書館十館、博物館二館、青年の家二箇所、少年自然の家四箇所である。
    今後とも、社会教育施設の充実に努めてまいりたい。

(3) 琉球大学の整備
    琉球大学の学部の移転及び附属病院の施設整備は、年次計画に基づき順次実施し、おおむね完成したものと考える。
    今後とも、二次振計の主旨に沿つた整備に努めてまいりたい。

六の2について

 昭和四十七年の本土への復帰以来昭和六十一年度までの文化施設の整備実績は、村立歴史民俗資料館一館及び市立文化施設一施設である。
 今後とも、文化施設の充実に努めてまいりたい。

六の3について

 国立の文化施設の配置の在り方については、全国的な視野から調査研究を行つているところである。

六の4について

 沖縄の民俗芸能、工芸技術等については、組踊外三件を重要無形文化財に、多良間の豊年祭外三件を重要無形民俗文化財にそれぞれ指定し、また、壺屋の荒焼を記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に、勢理客の獅子踊外七件を記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財にそれぞれ選択し、さらに、これらの保持・保護団体等の行う伝承者の養成、公開等の事業について助成を行い、その保護を図つているところである。このほか、重要文化財十六件及び史跡名勝天然記念物五十件を指定し、また、重要伝統的建造物群保存地区一地区を選定し、さらに、これらの所有者等の行う修理・整備等の事業について助成を行つているところである。
 今後とも、これらの施策を推進し、沖縄の伝統文化の保護に努めてまいりたい。

六の5について

(1) 青少年の健全育成を図るため、青少年のボランティア活動や青少年地域活動、青少年団体指導者研修等の事業に助成を行うほか、青少年の人間形成に及ぼす親の影響の重要性にかんがみ、家庭教育に関する学習や相談機会の充実に努めている。
    また、婦人の社会参加の促進を図るため、婦人学級や婦人ボランティア活動及び婦人教育指導者研修等の事業に助成を行うほか、全国的規模の婦人団体が行う事業に対して助成を行つている。
    今後とも、これらの施策を充実し、青少年の健全育成に努めるとともに、男女の固定的性別役割分担意識を是正し、婦人の社会参加の促進を図るための社会的条件整備を行つてまいりたい。

(2) 教育の機会は、ひとしくすべての男女に開かれており、学校教育、社会教育を通じて生涯にわたる学習機会の整備に努めるとともに、学術、スポーツの振興にも努めてきているところである。
    今後とも、これらの分野での施策の充実に努めてまいりたい。

七の1について

 社会福祉施設、保健所、精神病院等の整備について、沖振法に基づき、国の負担又は補助の割合を引き上げ、その促進を図つているところである。また、沖縄の公的医療機関に対しては特別の補助を行つており、昭和六十一年度までに沖縄県立南部病院、同八重山病院等の整備を行つたほか、現在沖縄県立那覇病院の機能の充実を図つているところである。そのほかにも、へき地診療所の整備等各般の施策を講じており、以上の施策により、社会福祉施設については、昭和四十七年の百三十五施設から昭和六十年の四百八十三施設へと、また、病院病床数については、人口一万対比で昭和四十七年の五十八・四床から昭和六十年の百十八・七床へと着実に増加しているところである。
 今後とも、これらの施策の充実を図つてまいりたい。なお、その際、医療施設については沖縄県が作成する医療計画に十分配慮してまいりたい。

七の2について

 社会福祉従事者については、施設整備等の施策の進展に伴い所要の従事者の確保を行つてきたところである。
 医療従事者については、沖縄県における医療従事者の不足等の状況にかんがみ、国費沖縄学生制度に基づき昭和四十七年度から昭和六十一年度までに五百名を超える医学及び歯学専攻の学生を本土の大学に受け入れるとともに、昭和四十七年度から昭和六十一年度までに延べ約三千四百名の医師等を本土から派遣したところである。また、県立へき地診療所における医師確保のための助成、琉球大学医学部における医師の養成、自治医科大学による医師の養成制度の活用、琉球大学医学部保健学科における看護婦等の養成、看護婦等養成所に対する助成等各般の施策を講じたところである。
 今後とも、社会福祉従事者及び医療従事者の確保に十分配慮してまいりたい。

七の3について

 児童福祉及び母子福祉の充実を図るため、児童館、保育所等の施設の整備を進めるとともに、児童相談所等による児童等の福祉についての相談指導体制の充実を図る等各般の施策の推進に努めてきたところであり、児童福祉施設については、昭和四十七年の百四施設から昭和六十年の三百六十五施設へと着実に増加しているところである。
 今後とも、これらの施策の充実を図つてまいりたい。

七の4について

 沖縄県在住者については、年金制度の発足が遅れたという事情に配慮して、国民年金及び厚生年金について資格期間及び年金額の計算について、特別の措置を講じてきたところである。これ以上の措置を講じることは、他の被保険者との公平を欠くこととなり困難である。

八の1について

(1) 各種公的資金による住宅の建設の実績及び今後の施策は、次のとおりである。

   @ 公営住宅
     公営住宅については、昭和四十七年度から昭和六十一年度までに一万六千七百三十六戸を建設し、昭和六十二年度には千百戸を建設する計画である。
     今後とも、沖縄における住宅需要、事業主体の要望及び実施体制等を勘案し、公営住宅の建設促進に努めてまいりたい。

   A 改良住宅
     住宅地区改良事業による住宅の建設の実績は、昭和四十七年度から昭和六十一年度までに三百十七戸となつている。
     今後は、現在事業継続中の那覇市壺川地区についてその促進を図るとともに、新たな地区について、地元からの事業実施の要望があれば検討することとしている。

   B 住宅・都市整備公団の住宅
     住宅・都市整備公団は、昭和四十七年度から昭和六十一年度までに賃貸用特定分譲住宅千六百八十八戸を建設しており、今後とも住宅需要等を勘案しつつ、賃貸用特定分譲住宅の建設を行うこととしている。

   C 沖縄県住宅供給公社の住宅
     沖縄県住宅供給公社は、昭和四十七年度から昭和六十一年度までに五千十一戸を建設しており、さらに、昭和六十二年度分として百六十戸の建設を予定しているところであるが、今後とも沖縄公庫等の資金を活用し、県民の需要に即した住宅供給を行うこととしている。

   D 沖縄公庫融資住宅(Cを除く。)
     沖縄における個人住宅の建設等のための資金は、沖縄公庫から融資を行つているが、沖縄公庫の住宅資金の貸付実績は、昭和四十七年度から昭和六十一年度までに、七万八千五百六十六戸となつており、昭和六十二年度分として四千八百四十戸の建設を予定している。
     今後とも、資金の確保等について鋭意努力してまいりたい。


(2) また、都市公園については、沖縄復帰から昭和六十年度までの間に、総面積約三百二十ヘクタールの都市公園の整備を行い、新たに二百三十四箇所の都市公園を開設した。
    今後は、広域的レクリエーション需要に対応する大規模公園や、健康の維持増進に資する健康運動公園などをはじめとし、引き続き都市公園の積極的な整備の推進を図ることとしており、昭和六十二年度においては、国営沖縄記念公園、沖縄県総合運動公園など七十五箇所の整備を行うこととしている。

八の2について

 下水道の整備については、流域下水道として中部流域下水道事業及び中城湾流域下水道事業を、公共下水道として那覇市等十三市町村の公共下水道事業及び名護市の特定環境保全公共下水道事業を、それぞれ促進するほか、都市下水路の整備を促進してきており、今後ともその推進に努めてまいりたい。
 河川の改修については、国場川、安里川等の都市部の河川を中心に掘削、護岸等の事業を促進してきており、今後ともその推進に努めてまいりたい。

八の3について

 市街地開発に関しては、土地区画整理事業が那覇市寄宮地区をはじめ二十五地区五百二・三ヘクタールにおいて施行されてきたところであり、また、現在、市街地再開発事業が那覇市久茂地一丁目地区において、土地区画整理事業が那覇市小禄・金城地区等沖縄県下三十三地区において施行されているところであり、今後ともその推進に努めてまいりたい。

八の4について

 自衛隊は、防衛施設周辺地域に及ぼす障害の防止等のため、防衛施設の管理・運用上できる限りの措置を講じてきており、米軍においても同様の措置を講じてきているものと承知している。また、政府は、防衛施設内において、消音施設等の整備を実施してきているとともに、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号)等により防衛施設周辺地域の生活環境の整備等に必要な措置を講じてきているところであり、今後ともその推進を図つていく所存である。

九について

 沖縄県の自然環境については、海浜及びサンゴ礁を含め、自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三十二号)等に基づき地域を指定する等により、その保全を図つてきたところである。
 これらの地域における自然環境については、今後とも適切な保全に努めてまいりたい。
 なお、沖縄本島北部における国設鳥獣保護区の設定に関しては、現在沖縄県を通じて地元関係者との調整を図つているところである。
 また、公害の防止についても、二次振計を踏まえつつ、引き続き必要な施策の推進に努めていくこととしている。

十の1について

 沖縄県においては、昭和四十七年度から昭和六十一年度までの間に、伊江島空港の新設(滑走路長千五百メートル)、波照間空港の新設(滑走路長八百メートル)、粟国空港の新設(滑走路長八百メートル)、下地島空港の新設(滑走路長三千メートル)、多良間空港の拡張(滑走路長七百八十メートルから八百メートル)、北大東空港の拡張(滑走路長七百六十メートルから八百メートル)、宮古空港の拡張(滑走路長千五百メートルから二千メートル)、那覇空港の拡張(滑走路長二千七百メートルから三千メートル)、与那国空港の拡張(滑走路長八百メートルから千五百メートル)等の事業を実施し、その事業費の合計は五百五十五億円に上つている。
 今後は、第五次空港整備五箇年計画に基づき、新石垣空港の新設(滑走路長二千五百メートル)、新南大東空港の新設(滑走路長千五百メートル)、伊平屋空港の新設(滑走路長八百メートル)、久米島空港の拡張(滑走路長千二百メートルから二千メートル)等の事業を行う予定である。

十の2について

(1) 那覇空港については、従来から国際定期便が就航しているが、滑走路長を三千メートルとする延長工事を実施して昭和六十一年三月にその供用を開始するとともに、新しい国際線ターミナルビルを整備して昭和六十一年七月にその供用を開始する等国際空港としての機能の一層の充実を図つてきている。
    また、現在のところ那覇空港の共用をやめる考えはないが、一般論としては、自衛隊の使用する飛行場と民間の使用する飛行場は分離されていることが望ましいと考えており、その意味で、那覇空港についても、この問題を長期的には検討することはあり得ると考えている。

(2) 日米合同委員会の合意により米国は日米地位協定に基づき使用を認められている飛行場及びその周辺の管制業務を行うことが認められていること、及び嘉手納飛行場は米軍にとつて極めて重要な施設及び区域であることにかんがみれば、嘉手納飛行場の管制業務(レーダー進入管制業務を含む。)を移管することは、現実問題として相当困難であると考えられる。

十の3について

 第五次空港整備五箇年計画において、新南大東空港(滑走路長千五百メートル)及び伊平屋空港(滑走路長八百メートル)の新設を計画している。
 これらの空港の新設に伴い必要となる民間航空機の飛行経路の確保については、空港計画の具体化に合わせ、米軍と所要の調整を行つてまいりたい。

十の4について

(1) 宮古 ― 東京直行便の開設については、東京国際空港の発着枠に余裕がなく、また、沖縄県内の航空路線の運営に影響を与え、離島路線の維持を困難ならしめる可能性がある等の問題もあり、当面これを実現することは困難である。

(2) 米軍機は、日米地位協定により我が国の飛行場に出入りすることができることとなつている。
    米軍自身、安全性確保のための十分な配慮を払つているものと承知しているが、政府としても、今後とも、米軍の円滑な活動を確保することは日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)の目的達成のため緊要であるとの観点から米軍の任務の所要を勘案しつつ、民間航空の安全確保のため万全を期してまいる所存である。

十の5について

 沖縄は、その地理的特性から、人的・物的輸送を海上交通に依存するところが大きく、海上交通の基盤としての港湾の果たす役割は重要であり、これまでに那覇港、平良港、石垣港等の整備を行つてきたところである。また、離島航路については、離島住民の日常生活に欠かせない交通手段であることにかんがみ、従来から沖縄県と協力してその運営により生じた欠損について全額を補助することとしてきたところである。
 今後とも、第七次港湾整備五箇年計画に基づき港湾の整備を進めるとともに、離島航路の維持及び整備に支障がないように努めてまいりたい。

十の6について

 道路の整備については、復帰以来昭和六十一年度までに、約七千九百億円の事業費により@復帰記念事業、A海洋博(昭和五十年)関連事業、B七三〇交通方法変更(昭和五十三年)関連事業、C国体(昭和六十二年)関連事業を中心に重点的な予算配分を行い道路整備の促進を図つてきた。その結果、道路の整備状況は、復帰時と比べかなり改善されてきたが、なお、道路網密度が低い上に、体系的な道路網の整備も立ち後れており、いまだ道路の整備水準は十分とは言い難い。また、沖縄においては、陸上交通は専ら道路に依存しており、道路整備が県民生活の向上や産業の振興に与える効果は極めて大きいものがあり、引き続き道路整備の推進に努めることとしている。
 今後の計画については、現在策定中の「第十次道路整備五箇年計画」において明らかにしてまいりたい。

十の7について

(1) 昭和六十一年度までに完成した架橋は、次のとおりである。
道路整備事業

道路整備事業
(2) 現在施工中の架橋は、次のとおりである。
道路整備事業
道路整備事業
農道整備事業
農道整備事業

(3) 今後の計画については、現在策定中の「第十次道路整備五箇年計画」等において明らかにしてまいりたい。

十の8について

 沖縄のバス輸送については、モータリゼーションの進展、農山村地域における過疎化の進行等の状況の下で、利用者数は長期的に減少しており、バス事業の経営も厳しいものとなつている。
 このような中で、バス停留所の整備、車両の改善等についての指導、バスレーンの設置、地方バス路線維持費補助金による過疎地域住民の生活路線の維持等の諸施策を実施してきたところである。
 今後とも、関係機関との密接な連携の下に、地域の実状を踏まえて、バス交通の改善のための諸施策を推進してまいりたい。

十の9について

 沖縄県における最初の都市モノレールである那覇モノレール(仮称)については、支柱、軌道桁等の工事に必要となる地質調査、設計等を行つているところである。また、昭和五十七年九月に当該モノレールの経営主体として沖縄都市モノレール株式会社が設立され、現在まで沖縄県等関係機関において当該事業を推進するための検討が進められていると聞いている。

十の10について

(1) 郵便関係
   @ 本土復帰当時百四局であつた郵便窓口機関は、無集配特定局三十九局、簡易郵便局十八局を設置してきた結果、現在では百六十一局になつている。
   A 沖縄県における速達取扱地域外は、昭和六十年度末において約一万四千世帯存在していたが、昭和六十一年六月に、交通困難地等の約五十世帯を除く全世帯を速達取扱地域に拡大した。
   B 本土 ― 沖縄間及び沖縄県内相互間の郵便輸送については、これまでも、通常郵便物及び速達小包郵便物の航空機搭載を実施して、送達速度の向上を図つてきたが、さらに、昭和六十一年十月に那覇 ― 本土間及び那覇 ― 宮古・八重山間で、非速達小包郵便物の航空機搭載を実施したところである。
    今後とも、郵便窓口機関の整備に配慮していくとともに、集配運送施設の一層の充実に努力してまいりたい。

(2) 電気通信事業関係
   @ 電話サービスについては、昭和五十四年三月の南大東島及び北大東島を最後に沖縄における自動即時化が完了した。
   A 沖縄県における昭和六十一年度末現在のデジタル化率は、中継線交換機十パーセントであるが、昭和六十二年度事業計画において、加入者線交換機については〇・五パーセントとし、中継線交換機については十五パーセントにまで引き上げる計画である。
   B キャプテンシステムのサービス提供地域は、沖縄県では、昭和六十一年度末現在、那覇、浦添、南風原及び豊見城の四地域であるが、昭和六十二年度中に沖縄市まで拡大される予定である。
   C 電話料金については、昭和五十五年から五回にわたり、遠距離、中距離料金の引下げ等が行われ、利用者にとつて使いやすい料金となつてきており、今後とも技術革新を背景とする各社の経営努力の中で料金がより使いやすいものとなることを期待している。

(3) 無線通信関係
   @ 昭和四十七年五月、鹿児島 ― 首里間に公衆通信マイクロ回線が設定されて以来、本土 ― 本島間、本島内、離島への回線が順次整備されてきており、今後も通信需要に基づいて整備を進めることとされている。
   A 防災行政用無線局については、沖縄県において昭和五十四年三月防災行政用無線電話施設設置計画を策定し、逐次整備を進め、昭和五十七年八月に完成した。現在、無線局百四十九局が運用中であり、今後も必要に応じて、整備拡充を図つていくこととされている。

(4) 放送関係
    沖縄県ではNHK及び民放二社がテレビジョン放送を行つているが、離島地域の難視聴解消を図るため、中継局の建設を積極的に推進するよう指導してきたところである。
    NHKは、既に先島地区及び南大東島に中継局を設置し、二チャンネルの中継放送を実施している。また、民放二社については、建設費及び回線使用料の負担が大きいこと等から中継局建設は見込まれていないが、政府としては、同二社の経営状況を見守りながら適切な指導を行つていくこととしている。

十一の1について

(1) 国県道のつぶれ地買収については、昭和六十一年度末までの達成率が約九十四パーセント(面積比)となり、いわゆる残件の処理が中心となつてきている。
    昭和六十二年度は、その所要額二十三億四千百万円を計上しており、今後はこれら残事業の処理を鋭意促進し早い時期にこれらを完了させるよう努力してまいりたい。

(2) 幹線市町村道のつぶれ地買収については、昭和六十一年度末までの達成率が約七十八パーセント(面積比)となつている。昭和六十二年度は、その所要額六十四億五千八百万円を計上しており、今後とも引き続き鋭意事業の促進を図ることとしている。
    なお、その他市町村道のつぶれ地についても所要の措置により計画的に買収することとしている。

十一の2について

 いわゆる対米請求権事案のうち漁業関係事案については昭和五十三年度から昭和五十五年度までの間に三十億円を財団法人沖縄県漁業振興基金に対して、また、人身関係事案については昭和五十五年度に約二億七千五百万円を被害者に対して、それぞれ交付を了することにより解決をみている。
 さらに、土地関係事案及びその他対米請求権問題については、その一切の解決として総額百二十億円の特別支出金を社団法人沖縄県対米請求権事業協会に交付することとし、昭和五十六年度から昭和六十一年度までの間に総額八十五億円を交付し、昭和六十二年度においても十七億五千万円の交付を予定している。
 なお、同協会は、この土地関係等事案特別支出金を基金とし、その果実をもつて関係被害者に対する援助事業等を行つている。

十一の3について

 元の陸軍又は海軍の要請に基づく戦闘参加者を含め軍人軍属等国と使用関係にあつた者又はそれに準ずる者については、国が使用者としての立場から、戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)に基づく障害年金、遺族年金、遺族給与金等の支給、戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)に基づく療養の給付、補装具支給等の援護措置を講じているところであり、今後とも引き続き実施してまいりたい。
 一般の戦争被災者(海上遭難者を含む。)のうち、沖縄戦において日本軍に協力して死没した住民の遺族及び疎開船対馬丸の遭難の犠牲となつた学童の遺族に対して昭和三十七年度に、対馬丸の遭難の犠牲となつた学童の付添者の遺族並びに第一千早丸及び第五千早丸の遭難の犠牲者の遺族に対して昭和四十七年度に、それぞれ見舞金を支払つたほか、対馬丸遭難学童の遺族に対して、対馬丸遭難学童遺族特別支出金を昭和五十二年度以降毎年支給しており、今後とも引き続き実施してまいりたい。
 また、沖縄戦死没者を含む全国の戦没者を追悼するため、全国戦没者追悼式を昭和二十七年五月二日、昭和三十四年三月二十八日及び昭和三十八年以降毎年八月十五日に実施してきたところであり、今後とも引き続き実施してまいりたい。

十一の4について

 沖縄県における不発弾等対策については、関係省庁及び沖縄県の協力の下に沖縄不発弾等対策協議会を中心として住民からの埋没不発弾等に関する情報に基づく探査発掘及び土木工事等に際しての事前探査の実施についての指導等を行つてきた。その結果、復帰後から昭和六十一年度までに処理された不発弾等の数量は約八百トンとなつている。
 今後とも、不発弾等に関する情報を収集し、計画的に探査発掘するとともに、土木工事等を行う際にも事前探査の実施を指導することにより事故の防止に努めていくこととしている。

十一の5について

 沖縄における戦没者の遺骨収集については、昭和三十一年以来三十一回にわたり実施し、現在までに沖縄における戦没者の九十八パーセント強に当たる十八万二千九百七十三柱の収集を終えているところである。
 今後は、沖縄で開催される予定の第四十二回国民体育大会までに沖縄の遺骨収集を概了すべく、本年六月末から七月にかけて実施する予定である。

十二の1について

 沖縄県に所在する防衛施設の土地の面積は、次のとおりである。

防衛施設の土地の面積

十二の2について

 第十四回、第十五回及び第十六回の安全保障協議委員会において了承された沖縄県における施設・区域の整理統合計画の実施に伴い、昭和六十二年六月一日までに約二十二平方キロメートルの土地が返還されている。

十二の3について

 沖縄県における基地対策経費の推移については、別表のとおりである。

 右答弁する。



別 表

          基地対策経費(沖縄関係)の推移(昭和47年度〜昭和62年度)

基地対策経費(沖縄関係)の推移

注:1 計数は、当初予算額である
  2 計数は、四捨五入によつているので符合しないことがある。
  3 「 ― 」は、該当計数のないことを示す。



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