答弁本文情報
昭和六十二年十月三十日受領答弁第四二号
内閣衆質一〇九第四二号
昭和六十二年十月三十日
衆議院議長 原 健三郎 殿
衆議院議員上原康助君提出SDI研究参加協定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員上原康助君提出SDI研究参加協定に関する質問に対する答弁書
一の1(1)及び(2)について
協定3にいう「その他の取決め」とは、SDI研究の個々の研究事業に実際に参加するために個別に結ばれる取決めを指す。
「提供」の主体は、米国政府あるいは我が国政府である。
それぞれの国内法とは、我が国については、例えば、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)を、また米国については、例えば、EXECUTIVE ORDER 12356(米国大統領令一二三五六)を指す。
「日本国とアメリカ合衆国との間の協定」とは、例えば、日米相互防衛援助協定を指す。
政府としては、我が国のSDI研究参加のために秘密保護に関し新たな立法を行うことは考えていない。
個別の契約その他の取決めに従つた作業の実施の過程において米国の資金によつて創出された情報の秘密指定の権限は、米国政府が有し、その指定は、米国の基準に従つて行われることとなる。
通商産業省は、秘密保護に関する省内訓令である規程(以下「規程」という。)を制定している。
規程の内容は、
@ 秘密を取り扱う者の範囲を必要最小限とすること
A 秘密の保護の責任者を明確にすること
B 秘密の表示を明確に行うこと
C 受渡し、複製等秘密の取扱いについての手続を厳格にすること
D 秘密の保管を厳重に行うこと
等である。
規程の対象となる秘密は、SDI研究に係る我が国と米国との間の技術の交流に係る秘密である。
規程は、通商産業省の職員を対象とするものであり、同職員以外の者に適用されるものではない。また、規程には罰則の規定はない。
米国政府より提供された情報が日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法第一条第三項に規定する防衛秘密に該当する場合には、同法の対象となるが、政府としては、我が国のSDI研究参加のために同法の改正を行うことは考えていない。
我が国よりの輸出規制の問題については、SDI研究への参加に関する政府間協定の有無にかかわらず、我が国の国内法に基づき行われるものである。
いかなる情報が秘密指定されるかをあらかじめ一般的に述べることはできないが、個別の契約その他の取決めの締結の過程において秘密情報の指定範囲が個別に明らかにされるので、個々の参加者は、取決めの締結の段階で、いかなる情報が秘密指定されるか知り得る立場にある。
第五世代コンピュータ開発計画のようなSDI研究とは無関係に行われている計画に係る情報について、我が国の企業等のSDI研究参加を理由に米国政府が秘密指定を行うことはあり得ない。
我が国国内において米国政府が御指摘の査察を行うことはあり得ない。