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昭和六十三年一月二十六日受領
答弁第三号

  内閣衆質一一二第三号
    昭和六十三年一月二十六日
内閣総理大臣 竹下 登

         衆議院議長 原 健三郎 殿

衆議院議員坂上富男君提出関西電力の原子力発電所の取付金具脱落事故と運転停止指示及び告発事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員坂上富男君提出関西電力の原子力発電所の取付金具脱落事故と運転停止指示及び告発事件に関する質問に対する答弁書



一について

 関西電力株式会社は、左記のとおり、御指摘の四基の原子炉についてその定期検査に際し蒸気発生器内に金具(蒸気発生器水室隔離蓋を支持するため蒸気発生器内の水室仕切板に取り付けられた当該金具をいう。以下同じ。)取付けの工事を行つた。

 (一) 大飯一号機について 第六回定期検査(昭和六十一年七月十一日から昭和六十二年一月二十八日)
 (二) 高浜一号機について 第九回定期検査(昭和六十一年十月一日から昭和六十二年三月十二日)
 (三) 美浜三号機について 第八回定期検査(昭和六十二年一月六日から同年五月八日)
 (四) 大飯二号機について 第六回定期検査(昭和六十二年二月十六日から同年七月八日)

 関西電力株式会社は、昭和六十二年七月十一日、高浜一号機の一次冷却材ポンプ(B)(三系列あるうちの一系列)の振動が大きくなつたため、原子炉を手動停止し検査を行つたところ、同系列の蒸気発生器に取り付けられていた金具が外れ、この金具が当該ポンプの羽根に衝突しかみこんだことが原因と判明した。通商産業省資源エネルギー庁は、当該原子炉の金具について運転中にはこれを取り外すことを指導し、関西電力株式会社は、昭和六十二年七月十五日及び十六日に当該原子炉の他の二系列の金具を撤去した。他の三基の金具については、順次定期検査において取り外すこととし、それまでの間はノイズモニターによる監視強化を行うよう指導した。
 関西電力株式会社は、前述の指導に基づきノイズモニターにより監視を続けていたが、昭和六十二年十二月十八日、大飯一号機において同モニターから通常と異なる音が聴取されたため、原子炉を手動停止し点検したところ、蒸気発生器に取り付けてあつた金具自体は脱落してはいなかつたが、同金具を固定しているボルトの緩みを防止するための部品の一個が脱落していることが確認された。このため、同機の金具を昭和六十二年十二月二十三日及び二十四日に撤去した。
 通商産業省資源エネルギー庁としては、原子力安全委員会における議論をも踏まえ、金具が取り付けられ運転中であつた大飯二号機及び美浜三号機についてノイズモニターによる異常はなかつたが、高浜一号機の場合と同じ部位での不具合でもあり、念には念を入れ、定期検査を待たず運転を停止して金具を取り外すよう関西電力株式会社に対し指導した。同社はこれを受け、昭和六十二年十二月二十六日に両機を手動停止し、昭和六十三年一月五日及び六日に金具を撤去した。なお、その際金具の取付け状況の点検が実施されたが、両機については異常がないことが確認された。

二について

 高浜一号機の手動停止に際して、金具を取り付けたまま運転している他の原子炉についてその停止を指導しなかつたことは、金具が脱落した同機の場合においても何ら周辺環境に影響を及ぼすことなく、安全に原子炉を停止させることができたという事実を踏まえ、ノイズモニターによる監視を強化することにより金具脱落に至る前に適切に対応できると考えられること、運転中の他の原子炉において何ら異常が認められなかつたこと等から判断したものであり、通商産業省資源エネルギー庁としては、その対応に誤りはなかつたと考えている。

三について

 金具は、定期検査時において一時的に設置される蒸気発生器水室隔離蓋を支えるために、蒸気発生器内の仕切板に取り付けられたものである。蒸気発生器水室隔離蓋は、原子炉容器と蒸気発生器を隔離し、それぞれの点検作業を並行して実施するためのものである。
 金具の取付工事は、関西電力株式会社が独自の判断で実施したが、通商産業省資源エネルギー庁としては、当該措置に問題があるとは考えていない。
 今後の対策として、運転中は金具を取り外すよう関西電力株式会社を指導した。

四について

 通商産業省資源エネルギー庁は、金具取付工事が法令上の措置の対象となるものと考えて法令の規定に基づき運転の停止を命じたものではなく、念には念を入れ、定期検査を待たずに停止し、処置するよう指導したものである。

五について

 お尋ねの件については、福井地方検察庁において、昭和六十二年九月二日及び同年十一月二十八日に告発を受理し、現在捜査中である。

六について

 他の電力会社の原子炉については、金具は取り付けられていない。

七について

 通商産業省資源エネルギー庁としては、原子力発電所における工事について、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第二十六条に基づく許可、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十一条第一項に基づく認可及び同法第四十二条第一項に基づく届出の手続を通じてその内容を承知している。
 なお、電気事業法施行規則(昭和四十年通商産業省令第五十一号)第三十一条第一項及び第三十四条第一項において、同規則別表第二において列記されている認可又は届出を要する工事以外の工事については、認可及び届出を要しない旨定められている。





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