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答弁本文情報

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平成元年十一月二十八日受領
答弁第六号

  内閣衆質一一六第六号
    平成元年十一月二十八日
内閣総理大臣 海部俊樹

         衆議院議長 田村 元 殿

衆議院議員森田景一君提出動物保護及び動物福祉の確立に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員森田景一君提出動物保護及び動物福祉の確立に関する質問に対する答弁書



一の1について

 動物の保護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号。以下「法」という。)第七条の規定に基づき都道府県又は政令で定める市(以下「都道府県等」という。)が引き取る犬の数が逐年減少していることなどにみられるように、法の施行により、動物愛護思想は国民の間に次第に普及してきていると考えている。
 今後とも、動物の終生飼養や繁殖制限等について、飼養者の意識の向上を図ってまいりたい。

一の2について

 動物愛護思想の普及啓発を図るため、ポスター、パンフレット等の作成、配布等の事業を実施するとともに、動物愛護週間には、地方公共団体と連携して、その趣旨にふさわしい各種の行事を実施してきており、平成元年度予算にはこれらの経費として三千四百七十三万円が計上されているところであるが、今後とも法の周知徹底に努めてまいりたい。

一の3について

 都道府県等において引き取った犬及び猫については、犬及びねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要領(昭和五十年四月五日内閣総理大臣決定。以下「措置要領」という。)により、飼養を希望する者へ譲渡するなどできるだけ生存の機会を与えるように努めることとしているところであり、都道府県等に対し、この趣旨を更に徹底してまいりたい。
 また、措置要領においては、引き取った犬及び猫について、飼養を希望する者を見いだし難い場合には、科学上の利用に供することもやむを得ないとの観点から、教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する者への譲渡を認めているところである。

一の4について

 犬及び猫の引取りについては、法第七条の規定により、都道府県知事等は、引き取るべき場所を指定することができるとされており、具体的に引取り場所を指定するに当たっては、住民の便宜や地域の実情等に応じて、なるべく多くの引取り場所を選定するように努めるよう指導しているところであるが、今後とも適切な引取りが行われるよう努めてまいりたい。
 また、引き取られた犬及び猫については、措置要領により、できるだけ生存の機会を与えるため、飼養を希望する者を見いだすことに努めることとしているが、実際には、成犬及び成猫については、飼養を希望する者がほとんどいないところである。

一の5について

 現在、すべての都道府県等において、動物の保護及び管理に関する行政を担当する課が定められ、動物に関する専門知識を有する職員が配置されて、動物の保護管理行政の充実が図られているところである。

一の6について

 犬及びねこの飼養及び保管に関する基準(昭和五十年総理府告示第二十八号)により、犬又は猫の所有者に対し、やむを得ず犬又は猫を継続して飼養することができなくなった場合には、まず適正に飼養することのできる者に当該犬又は猫を譲渡するように努めることとし、新たな飼養者を見いだすことができないときにおいて都道府県知事等に引取りを求めることとするよう指導しているところであり、今後とも飼養者に対し、終生飼養に努めること等を十分徹底させてまいりたい。

一の7について

 法第九条の規定により、犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、不妊手術、去勢手術等の措置をするように努めなければならないとされているところであり、犬又は猫の不妊手術等に対し国の補助制度を設けることは適当でないと考えている。

二の1について

 動物を科学上の利用に供する場合には、その利用に必要な限度において、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことは、法第十一条において規定されているところである。

二の2について

 動物実験を実施するに当たっては、法、実験動物の飼養及び保管等に関する基準(昭和五十五年総理府告示第六号。以下「実験動物基準」という。)、大学等において定める「動物実験指針」等に従って、その目的とする科学上の利用に必要な限度において、できる限り実験動物に苦痛を与えないよう措置され、適正な動物実験が実施されているものと考える。
 なお、当面、動物実験の実情調査を行う予定はない。

二の3について

 実験動物と人間との間には、化学物質に対する反応等において相違が存在し、動物実験の結果を直ちに人間へ適用することについては、慎重に行うことが必要であるが、化学物質の人間に対する安全性等を確保するためには、動物実験は不可欠であると考える。

二の4について

 実験動物の適正な使用の確保のため、効率的な利用法の確立、代替動物の開発や微生物の利用等による模擬技術及び代替実験系の確立並びにシミュレーション技術等の代替手法の開発について、長期的な視点から研究開発が必要であると認識している。
 このような認識の下に、政府においても、調査研究を実施しているところである。

二の5について

 医薬品の安全性に関する試験については、「医薬品毒性試験法ガイドライン」により、その標準的な実施方法を示し、急性毒性の評価方法としてLD五〇を求めてきたところであるが、平成元年九月の改正により、これに替えて概略の致死量を求めることとし、その普及を図っているところであり、これにより使用する動物の数が減少することとなる。
 なお、概略の致死量を求める試験は、毒性が低い被験物質の場合には、限界試験と同じになる。

二の6について

 東京工業大学及び東北歯科大学において開発された試験方法は、現在その有用性について研究が行われている段階のものであり、安全性評価のための試験方法として確立するためには、更に研究を進める必要がある。
 したがって、これらの試験方法は、現在のところドレイズテストに代わる試験方法として採用できる状況にはない。

二の7について

 我が国においては、動物愛護にも配慮しつつ、適正な動物実験の実施が図られているところであり、動物実験についてライセンス制度等を採ることは考えていない。

二の8について

 科学的にはもとより、動物愛護の観点からも、適正な動物実験が行われるように、法、実験動物基準及び昭和六十二年一月の学術審議会の報告を踏まえ、各大学等において、動物実験を実施する際に遵守すべき事項を示した「動物実験指針」を定めるとともに、その適正な運用を図るため、当該大学等の実験動物の専門家、実験者、その他当該大学長等が必要と認める者で構成する動物実験委員会の設置を進めるなど、適正な動物実験の実施が図られているところである。

二の9について

 民間の任意団体である日本製薬工業協会において、医薬品の製造に係る研究開発を目的とした動物実験を行うに際しての留意事項をまとめた「実験動物技術者のための教育資料」が策定され、加盟各企業に対してその周知が図られているところである。これは、実験の種類及び目的に応じて留意すべき要点等を具体的に示すことにより、使用動物の数を極力少なくするとともに、動物に与える苦痛をより少なくすることにも配慮したものである。

三の1について

 法は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱い、その他動物の保護に関する事項及び動物の管理に関する事項について幅広く規定している。今後とも、これに基づいて、動物愛護思想の普及啓発、動物の飼養及び保管に関する基準の徹底、犬及び猫の引取り等の諸施策を実施することにより、国民の間に法の趣旨を更に周知徹底させることとしているところであり、法を改正することは考えていない。

三の2について

 我が国では、法及びこれに基づく実験動物基準等により、動物を科学上の利用に供する場合には、その利用に必要な限度において、できる限り実験動物に苦痛を与えない方法によって行うこととされているところであり、動物実験に関し新しい法律を制定することは考えていない。





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