衆議院

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平成三年九月十日受領
答弁第四号

  内閣衆質一二一第四号
    平成三年九月十日
内閣総理大臣 海部俊樹

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員松浦利尚君提出BCCI(バンク・オブ・クレジット・アンド・コマース・インターナショナル、本社ルクセンブルク)の経営破綻に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松浦利尚君提出BCCI(バンク・オブ・クレジット・アンド・コマース・インターナショナル、本社ルクセンブルク)の経営破綻に関する質問に対する答弁書



一について

 御質問のBCCIグループは、昭和四十七年に設立された。グループの持ち株会社であるBCCIホールディングの主な株主は、アブダビ首長国のシェイク・カリファ・ビン・ザイード・アル・ナハヤーン殿下(持ち株比率三十五パーセント)、アブダビ政府財務部(同二十九パーセント)及びアブダビ投資庁(同九パーセント)である。BCCIホールディングの年次報告書によれば、グループ連結の資産規模は平成元年末で約二百三十五億ドル、預金残高は約百八十五億ドル、貸付残高は約百二億ドルである。なお、預金者数については、不明である。
 同グループは、平成三年六月末時点で、世界六十九箇国に三百六十五の拠点を有していた。
 東京支店が属するBCCI・SA(バンク・オブ・クレジット・アンド・コマース株式会社の略、以下同じ。)は、昭和四十七年に設立された。同行は、BCCIホールディングの百パーセント子会社である。BCCIホールディングの年次報告書によれば、BCCI・SAの平成元年末の資産規模は約九十二億ドル、預金残高は約七十五億ドル、貸付残高は約三十八億ドルである。なお、預金者数については、不明である。同行は、平成三年六月末時点で、世界十三箇国に四十七支店を有していた。

二について

 御質問のBCCIグループがおとり捜査を受けて麻薬資金を洗浄したことについて、平成二年に米国フロリダ州の法廷で自ら有罪を認めたことについては、平成三年三月に東京支店から事情聴取を行い確認している。また、不正経理の存在についてルクセンブルク通貨監督庁からの連絡を受けたのは、平成三年七月五日の夜である。それ以前には、他国当局から同行の不正行為についての連絡は受けていない。

三について

 BCCI・SAの東京支店の銀行業営業免許については、昭和五十八年に打診、昭和六十一年一月三十一日に申請があり、同年五月十六日に免許を付与している。
免許に際しては、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第四条第三項に基づく相互主義の審査のほか、同法第四条第二項に基づき、
 1 申請した者及びその申請に係る支店が銀行の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、申請した者及びその申請に係る支店の当該業務に係る収支の見込みが良好であること
 2 申請した者及びその申請に係る支店が、その人的構成等に照らして、銀行の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者であること
 3 申請した者及びその申請に係る支店による銀行の業務の開始が、当該銀行の業務が営まれる地域における資金の需給状況、銀行その他の金融機関の営業状況その他経済金融の状況に照らして、金融秩序を乱すおそれがない等適当なものであることとの基準に適合するかどうかの審査を行い、これに適合するものと判断したものである。その際、同行の第一義的監督当局であるルクセンブルク通貨監督庁に対し、同行の財務上の健全性等について照会し、その確認を受けているところであり、政府としては、同支店の免許について問題があったとは考えていない。

四について

 御質問のBCCI東京支店の決算公告によれば、同支店の平成三年三月末の預金残高は約五百三十七億円である。その後、同支店の預金残高には、際立った増減は生じていないと承知している。また、同支店には、平成三年七月五日現在で、延べ二百四十五口座が開設されていた。
 BCCI東京支店は、東京地方裁判所の決定により、七月二十二日に特別清算の手続に入っており、同支店の預金者の権利については、今後、清算人(釘澤一郎弁護士)が、裁判所の監督の下に、商法(明治三十二年法律第四十八号)の規定に従って、諸外国における手続とも調整を図りながら、その確保に努めることとなるものと承知している。政府としても、各国の銀行監督当局との情報交換などを通じ、清算人の努力をできる限り支援してまいりたい。

五について

 BCCI・SAが、本店所在地のルクセンブルク商事地方裁判所から、全世界の支店についての営業停止の命令を受けたのは、日本時間の平成三年七月五日の夜であり、その時点では東京支店の営業は既に終了していた。同店は、翌七月六日、銀行法第十六条に基づく臨時休業の届出を大蔵省に対して行っており、以来、一切営業を行っていない。したがって、日本について措置が遅れたとは考えていない。
 また、同支店の処分可能資産の内訳と金額については、現在、裁判所により選任された清算人による清算計画作成準備作業が進行中であることから、回答を差し控えさせていただきたい。

六について

 現在、BCCI東京支店は、東京地方裁判所の監督の下での特別清算の手続中であり、政府としては、同手続の進ちょくを見守りたいと考えている。

七について

 預金保険制度は、各金融機関の健全経営のための努力、行政当局の監督、検査等により経営破たんを極力回避することを前提とした上で、万一の破たんの場合に預金者等を救済しようとする制度であるが、在日外国銀行支店に破たんが生ずるか否かは、基本的には、我が国行政当局の 監督、検査の及ばない海外の本店所在地における問題であること等から、在日外国銀行支店は預金保険の対象とされていない。
 在日外国銀行支店を預金保険の対象とすることが適当かどうかについては、預金保険制度全般との整合性、在日外国銀行支店の実態及び意向等を踏まえて、慎重な検討が必要であると考えている。

八について

 BCCIグループが、おとり捜査を受けて麻薬資金を洗浄したことについて、平成二年に米国フロリダ州の法廷で自ら有罪を認めたこと、米国の銀行ファースト・アメリカンをひそかに違法に買収していたこと、また、財務状況の粉飾を行っていたことについては了知しているが、その他の指摘については、確認されていない。

九について

 政府としては、今回のBCCI事件の教訓にかんがみ、多国籍銀行に対する国際的監督の在り方の再検討を進める必要があると考えており、既に、主要国の銀行監督当局と、この問題についての協議を始めているところである。



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