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答弁本文情報

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平成三年十二月二十日受領
答弁第二号

  内閣衆質一二二第二号
    平成三年十二月二十日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員志賀一夫君提出福島県東白川群塙町におけるフィリピン人女性ダンサー死亡に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員志賀一夫君提出福島県東白川群塙町におけるフィリピン人女性ダンサー死亡に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘のフィリピン人女性の死因について、政府は、関係者等に対し調査を行ったが、事件に結び付く虐待・暴行の事実は全く確認されなかったことのほか、フィリピン政府から入手したフィリピン司法省国家捜査局作成の解剖結果報告書、トーレス・フィリピン労働雇用長官一行の一員として来日したフィリピン検死担当官本人からの事情聴取、入院していた病院が所有する詳細な診療記録等及び医学専門家の意見を併せ考慮し、総合的に判断した結果、劇症肝炎による病死との結論に達した。
 また、来日したトーレス労働雇用長官一行に対しては、調査状況の説明を行うとともに、その帰国後、在本邦フィリピン大使館に前記結論を通報した。
 さらに、本件に関するフィリピン側各層の誤解を払しょくするため、在フィリピン日本大使館からフィリピン政府関係当局、議会関係者及び遺族関係者等に対し、調査結果の詳細な説明を行ってきたところである。
 こうした動きの中で、フィリピン国内においては、フィリピン上院の依頼を受け、前記解剖結果報告書の再検討を行ったフィリピン総合病院が、我が方の主張どおり、直接的死因を病死(劇症肝炎)とする報告書を去る十一月十五日、上院に提出していることなどから、我が方の調査結果に対する理解が深まってきているものと考えられる。
 なお、我が国政府としては、本件に関するフィリピン国民一般の誤解を解き、もって良好なる日比関係を維持・増進させていくため、引き続き本件に対する理解を深めるべく説明に努めていく所存である。

二について

 フィリピン海外雇用庁は、去る十月二十一日付けの内部通達により、福島県に対するフィリピン人芸能人の送り出しを一時的に停止する措置を採ったが、右措置は、一についてにおいて述べた福島県におけるフィリピン人女性死亡事件についての誤解に基づく不当なものであるので、政府としては、これが撤回されるべきであると考え、右誤解を解くための努力を行ってきた。
 今般、フィリピン政府は、フィリピン人芸能人の海外派遣に関し、日本のみならず全外国を対象として、規制を強化する措置を決定し、十二月十三日からこれを実施した。
 同措置の実施に伴い、福島県に対する前記措置は解除されたと承知している。
 他方、右のフィリピン人芸能人の海外派遣全般に関する規制措置強化を採ったこと自体については、基本的には海外におけるフィリピン人芸能人保護のためのフィリピン政府による対応の問題であり、我が国として、その当否を論ずる立場にはないと考えている。
 しかしながら、フィリピン側がかかる措置を講ずるに至った契機は、前述のフィリピン人女性の死亡をめぐる問題にあると考えられるので、その死因が劇症肝炎によるもので事件性はないとの我が方の結論についてフィリピン側における理解が一層進むよう引き続き努力してまいりたい。

三について

 我が国に在留する外国人についてもその基本的人権が尊重されるべきであることは当然であり、法務省の人権擁護機関においては、このような観点に立って、外国人のための特設人権相談所を開設するなどして、人権相談に応じている。
 また、基本的人権の侵害が具体的に起こった場合には、人権侵犯事件として所要の調査を行い、適切に対応するほか、国際化時代にふさわしい人権意識の育成のための啓発活動を展開し、外国人の人権擁護に取り組んできているところであり、今後とも、積極的に取り組んでいく所存である。





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