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答弁本文情報

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平成四年七月十日受領
答弁第一三号

  内閣衆質一二三第一三号
    平成四年七月十日
内閣総理大臣 宮澤喜一

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員児玉健次君提出診療報酬に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員児玉健次君提出診療報酬に関する質問に対する答弁書



一の1について

 今後の我が国における高齢化の進展に伴い、疾病構造における慢性疾患の比重が高まっていくものと考えられるが、こうした慢性疾患の治療においては、栄養、運動等に係る継続的な日常生活上の指導が重要となるものと認識している。
 平成四年四月の診療報酬改定において新設された特定疾患療養指導料の対象疾患の選定に当たっては、こうした慢性疾患のうち、その療養上日常生活の指導が特に重要な意義を有する疾患であって、かつ、今後ますます患者の増加が予想され、疾病対策上適切な対応が求められるものを選定したところである。

一の2について

 特定疾患療養指導料の趣旨は、成人病等の慢性疾患に対して、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が、計画的に投薬や生活指導を中心とした療養上の指導を行うことを評価するものであることから、対象となる保険医療機関や具体的な点数設定に当たり、今回のような整理を行ったものである。
 また、今回の診療報酬改定においては、医療施設の機能に応じた医療供給体制のシステム化を促進していく観点から、診療所については外来機能、病院については入院機能を重点的に評価したところであるが、病院についても、二百床未満の中小病院については、地域におけるプライマリケア機能を有することから、特定疾患療養指導料の対象としたところである。
 なお、今回の診療報酬改定においては、賃金、物価の動向等を勘案するとともに、中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)の議論を踏まえ、所要の引上げを行ったところであり、通常の医業経営は適切に確保されるものと考えている。

二の1について

 看護料を含め、診療報酬は、医療機関におけるその使途を個別具体的に特定するものではなく、また、看護婦等の技術は看護料以外の個々の技術料においても評価されているところから、御質問にあるような対比を行うことは適当ではないと考えている。
 なお、看護料については、提供される看護サービスの質に応じた評価を行うという観点から、看護職員の配置状況等に応じた段階的な点数設定の仕組みを採っているところである。

二の2について

 二の1についてでお答えした診療報酬の性格から、診療報酬点数の設定が看護婦の勤務条件の改善に直接結びつくことを制度的に担保することには困難な面があるが、今回の改定においては、看護料全体として約二十パーセントの大幅な引上げを行ったほか、夜勤体制等実際の勤務条件に応じた加算を新設する等、診療報酬点数の設定に当たっても、看護婦の勤務条件の改善に配慮したところである。
 また、関係者に今回の改定の趣旨が十分周知されるよう配慮したところであり、これにより、今回の改定が看護職員の勤務条件の改善につながるものと期待している。

二の3について

 御質問の措置は、その他三種看護に該当する保険医療機関に収容されている患者であって、入院期間が一年を超え、かつ、悪性腫瘍やベーチェット病等の難病にり患している患者以外のものに対して適用されるものであるが、その他三種看護の看護水準は、医療法上の看護婦の標準員数を大きく下回るものであり、こうした保険医療機関に多くの注射、投薬を必要とする重症患者が長期間収容されるのは医学的にも不適切と考えられることから、今回のような措置を講じたところである。
 また、この措置が適用される場合において、使用した薬剤の点数が二百五十点を超えた場合
は、当該超過部分は保険医療機関の負担となるものである。

二の4について

 今回の診療報酬改定においては、医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第十九条で定める従業者の標準(以下「医療法標準」という。)を満たしている病院について、診療報酬上の老人病院としての取扱いを行わないこととするため、従来設けられていた特例許可外老人病院の区分を廃止するとともに、医療法標準を満たさない病院等のうち、老人入院患者が多数を占めている病院については、介護職員を増強する等老人の心身の特性にふさわしい医療を行う必要があることから、老人病院の要件を「六十五歳以上の老人収容比率が六十パーセント以上」と改め、老人の心身の特性にふさわしい院内の体制を取りやすくしたものである。
 なお、六十五歳以上の老人収容比率が六十パーセント以上であること、医療法標準を満たさないこと等の老人病院の要件に該当する病院は、平成四年六月三十日までに各都道府県にその旨を届けることとなっており、現在のところその総数は把握していない。

三の1について

 医科及び歯科の初診料、再診料は、それぞれ別個独立の技術の相対評価の体系の中で設定されたものであり、したがって、個々の点数の引上げについて、単純な比較を行うことは妥当ではないものと考えている。

三の2について

 初診及び再診の診察行為の行われ方は、各診療科において、また、個々の症例ごとに異なるものであるが、歯科の場合一般的にいうと、初診及び再診の診察行為が口腔内の治療に直結することが多いという特徴があり、また、補綴や歯冠修復等の治療行為が診察行為に比べ相対的に大きな比重を占めるといった特性を有するものと理解している。
 歯科診療報酬については、このような歯科医療の特性や疾病構造の変化等を勘案して点数の設定を行っているところであるが、今回の診療報酬改定においては、ブリッジに係る点数の拡充を行うとともに、初診料、再診料等に係る引上げを行ったところであり、歯科医療を軽視しているものではない。

三の3について

 診療報酬における個々の技術の評価については、医学的な有効性や費用の合理性等様々な要素を総合的に勘案しつつ、中医協の審議を踏まえて決定しているところであり、ブリッジや有床義歯についても適切な評価が行われているものと考えている。
 なお、ブリッジと有床義歯の適応症の判断は、個々の症例に応じて歯科医師が判断するものであり、御指摘のとおり、純然たる学問的、臨床的な判断によって決定されるべきものと考えている。

三の4について

 今回の歯科診療報酬改定においては、歯科技工に関する評価として有床義歯に係る点数の引上げを行うとともに、全部鋳造冠やインレー等多くの項目に係る点数について所要の引上げを行ったところであり、歯科技工に係る適切な評価が行われているものと考えている。
 なお、個々の診療報酬点数の設定に当たっては、医療の実態を踏まえた上で、適切な評価が行われているところである。

三の5について

 医療における種々の診療行為をどのように特掲して評価していくかについては、専門技術的な観点も含め、従来から中医協の議論を踏まえて判断してきているところである。
 歯科技工に係る評価については、歯科技工に関する歯冠修復等の一連の行為を一体的に評価することが適切であるとの考え方から、これを細分化せず評価しているところである。

四について

 現在、厚生大臣が診療報酬を定めるに当たっては、中医協に諮問することとされているとともに、中医協の委員構成等についても法定されており、診療報酬を定めるに当たっての公正な手続が確保されているところである。
 中医協における診療側を代表する委員は、医学上の有識者でもあり、中医協においては、医学的な知見に基づいた審議が行われているところである。
 また、中医協の審議の進め方については、中医協で決定された議事運営規則に従って行われているところであり、基本的には中医協において判断されるべきものと考えている。
 なお、現在、中医協の総会は公開で審議が行われているところであり、公正、公平な審議が行われているものと考えている。





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