答弁本文情報
平成五年十月一日受領答弁第二号
内閣衆質一二七第二号
平成五年十月一日
衆議院議長 土井たか子 殿
衆議院議員秋葉忠利君提出電力会社のプルトニウム利用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員秋葉忠利君提出電力会社のプルトニウム利用に関する質問に対する答弁書
一について
電気事業者(電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条に規定するものをいう。以下同じ。)が搬出した使用済核燃料は、平成五年三月三十一日までにフランスに対し約二千三百八十トン、英国に対し約三千四百五十トンであると承知している。
電気事業者は、再処理により回収されるプルトニウムを、現在は動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)がその高速増殖炉及び新型転換炉で利用することに充てるため譲渡しているが、今後は電気事業者自身も、軽水炉、高速増殖炉等で利用していくこととしていると承知している。
東海再処理工場で回収された核分裂性プルトニウムのうち電気事業者が動燃に売却したものの累積量及び売却総額は、平成三年十二月三十一日までのものについては約千三百五十キログラムで約六十五億一千万円であり、平成四年十二月三十一日までのものについては約千三百七十キログラムで約六十五億四千万円であり、また、平成五年三月三十一日までのものについては約千五百七十キログラムで約六十七億五千万円であると承知している。
英国の再処理工場で回収された核分裂性プルトニウムのうち電気事業者が動燃に売却したものの累積量及び売却総額は、平成三年十二月三十一日までのものについては約六百二十キログラムで約三十七億二千万円であり、その後の売却実績はないと承知している。
フランスの再処理工場で回収された核分裂性プルトニウムのうち電気事業者が動燃に売却したものの累積量及び売却総額は、平成三年十二月三十一日までのものについては約百九十キログラムで約九億四千万円であり、また、平成四年十二月三十一日までのものについては約千二百五十キログラムで約二十億七千万円であり、その後の売却実績はないと承知している。
平成三年十二月三十一日現在、電気事業者が所有していた原料プルトニウム(二酸化プルトニウムと二酸化ウランとの混合粉末又は二酸化プルトニウム粉末をいう。以下同じ。)のうち核分裂性プルトニウムの量は、英国の再処理工場に約八百四十キログラム、フランスの再処理工場に約千九百八十キログラムであると承知している。なお、東海再処理工場には該当するものはないと承知している。
平成四年十二月三十一日現在、電気事業者が所有していた原料プルトニウムのうち核分裂性プルトニウムの量は、東海再処理工場に約二百四十キログラム、英国の再処理工場に約九百キログラム、フランスの再処理工場に約二千キログラムであると承知している。
平成五年三月三十一日現在、電気事業者が所有していた原料プルトニウムのうち核分裂性プルトニウムの量は、東海再処理工場に約百六十キログラム、英国の再処理工場に約九百キログラム、フランスの再処理工場に約二千キログラムであると承知している。
平成五年三月三十一日現在、英国及びフランスにある核分裂性プルトニウムのうち電気事業者が今後MOX燃料として使用する予定であるものについては、国外の加工施設においてMOX燃料に加工してから日本に輸送する計画であると承知している。
現在、MOX燃料については、電気事業者において千九百九十年代半ば以降軽水炉で計画的に利用していくこととして検討が進められており、具体的な利用時期等については今後決定される予定であると承知している。
現時点でMOX燃料の製造の契約を締結した電気事業者はないと承知している。
電気事業会計規則(昭和四十年通商産業省令第五十七号)では、MOX燃料の会計整理は、成型加工中は加工中核燃料、半製品として貯蔵中は半製品核燃料、完成後は完成核燃料、装荷中は装荷核燃料、原子炉から取り出した後は使用済核燃料として、それぞれ資産勘定に整理されることとなる。
諸外国のMOX燃料がウラン燃料に比べどの程度高いかについては、個別企業の商取引に係るものであり公表されていない。また、通商産業省が御指摘のような試算を行ったことはない。
平成四年三月三十一日までの電気事業者の使用済核燃料再処理引当金の目的使用額の累積は約千九百四十六億円であり、それに対応する再処理量は約千四百八十トンであると承知している。また、目的使用額の累積のうち残滓処理に係る額は約一億円であり、残滓処理が行われた使用済核燃料数量は、約十トンであると承知している。
平成四年三月三十一日現在の電気事業者の使用済核燃料再処理引当金の残高は、約一兆二千九百八十三億円であり、これに対応する再処理量は約一万七百三十トンであると承知している。
通商産業省自身が御指摘のような試算を行ったことはない。