答弁本文情報
平成六年四月一日受領答弁第四号
内閣衆質一二九第四号
平成六年四月一日
衆議院議長 土井たか子 殿
衆議院議員坂上富男君提出CNP農薬の使用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員坂上富男君提出CNP農薬の使用に関する質問に対する答弁書
一について
環境庁としては、厚生省からのCNPに関する安全性評価結果の報告を踏まえ、平成六年三月十日、中央環境審議会に対し、CNPに係る農薬登録保留基準の取扱いについて諮問を行ったところ、厚生省における安全性評価結果は妥当であるとされ、CNPに係る農薬登録保留基準を削除することが適当であるとの答申を得たところである。これを受け、本年四月中旬を目途に必要な告示改正を行うため手続を進めているところである。
また、CNPに係る要監視項目の指針値についても、厚生省からのCNPに関する安全性評価結果の報告を踏まえ、これを設定しないこととするとともに、今後ともCNPを要監視項目として位置付け、公共用水域等の水質測定、関係機関との連絡・連携の強化等の措置を講ずることとしており、現時点においてCNPについて環境基準を設定することは考えていない。
CNPと胆のうがんの関係について、更に疫学調査を行うことは、CNPの過去の暴露状況を把握することが困難であること、胆のうがんの発生率が低いこと等を考慮すると、困難であると考える。
農薬の登録の申請時に提出される試験のデータについては、登録の申請者がその費用負担において作成したものであり、かつ、当該データは経済的な価値を有するものであるため、当該申請者の同意なく、国が当該データを公開した場合には、当該申請者の財産権等を害するおそれがあることから、その公開には慎重な検討を要するものと考える。
しかしながら、農薬の毒性に関する試験については、その主要な知見を専門の学術雑誌等を通じて公表するよう、登録の申請者に対して指導しているところであり、現にCNPの毒性に関する試験の概要についても「農薬時報」(農薬工業会発行)に公表されているところである。
平成六年三月七日に、CNPを有効成分とする農薬の製造業者から、今回の評価結果を尊重し、自主的判断に立って、当該農薬の出荷を直ちに中止し、あわせて既に市場に出ている製品についても返品に応ずることとした旨の報告を受けている。
農林水産省としても、同日付けで通達を発出し、都道府県に対しては、農家等に対し当該農薬の使用の自粛及び代替剤への転換を指導するよう依頼するとともに、農薬の販売業者の団体に対しては、製造業者が行う返品の受付けが円滑に実施されるよう協力を依頼したところである。