答弁本文情報
平成七年十一月十日受領答弁第三号
内閣衆質一三四第三号
平成七年十一月十日
衆議院議長 土井たか子 殿
衆議院議員坂上富男君提出会社最低資本金制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員坂上富男君提出会社最低資本金制度に関する質問に対する答弁書
一の@について
商法等の一部を改正する法律(平成二年法律第六十四号)により改正された商法(明治三十二年法律第四十八号)及び有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)によれば、株式会社又は有限会社の最低資本金の額は、それぞれ千万円又は三百万円とされているところであるが、この最低資本金に達しない株式会社又は有限会社は、他の種類の会社に組織変更をすることにより、会社として営業活動を継続することができる。
株式会社が有限会社に組織変更をするには、従来、総株主の一致による株主総会の決議が必要とされていたが、前記改正後の有限会社法においては、組織変更を容易にするため、特別の多数による株主総会の決議で足りることとされた。また、最低資本金制度の導入に伴う経過措置として、会社の存続を図るため、特に、株式会社が同様の決議により合名会社又は合資会社に組織変更をすることが認められたところである。これらの場合には、組織変更に反対する株主に株式の買取請求権が認められているが、この株式の買取請求権は、組織変更に反対する株主を保護するために欠くことができないものである。
会社が他の種類の会社に組織変更をしても、その会社の法人格の同一性は失われない。
株式会社が組織変更をする場合を含め、利益等の資本組入れ等がなければ、みなし配当課税は生じない。なお、株式会社が平成八年三月三十一日までの間に最低資本金の額に達するまでの利益等の資本組入れをしても、みなし配当については、所得税を課さないこととされているところである。
債務超過の状態にある株式会社は、有限会社に組織変更をすることはできないが、債務超過のままであっても、合名会社又は合資会社に組織変更をすることができる。なお、土地の評価換えをして帳簿価格を増額した場合には、土地の譲渡益に対する適正な課税を確保する観点から、土地の譲渡等がある場合の特別税率制度を適用することとしているものである。
最低資本金に達しない株式会社又は有限会社は、他の種類の会社に組織変更をすることにより、その商号について、商法第十九条の保護を受けることができる。
最低資本金制度は、株式会社の株主又は有限会社の社員が有限責任とされていることから、会社の債権者を保護する等のため、これらの会社としてふさわしい財産的基盤を確保することを目的として導入されたものである。また、その制度の導入に当たっては、制度の円滑な実施を図るため、導入時に現に存する株式会社及び有限会社について、制度の適用を五年間猶予するとともに、合名会社又は合資会社への組織変更を特別に認めることとしている上、猶予期間の満了後解散したものとみなされた場合においてもその後三年間は会社を継続することができることとするなど、相当の手当てがされているところである。したがって、猶予期間の延長等をすることは適当ではないと考えている。