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平成八年五月二十四日受領
答弁第一六号

  内閣衆質一三六第一六号
    平成八年五月二十四日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員山本拓君提出高速増殖炉「もんじゅ」事故発生時の対応とその責任に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本拓君提出高速増殖炉「もんじゅ」事故発生時の対応とその責任に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 御質問の「火災検知器の信号で空調ダクトを全閉とする」との記載は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第二十三条第二項の規定に基づき動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)理事長が内閣総理大臣に提出した高速増殖炉もんじゅ(以下「もんじゅ」という。)の原子炉設置許可申請書(以下「もんじゅ設置許可申請書」という。)の添付書類十「原子炉の操作上の過失、機械又は装置の故障、地震、火災等があった場合に発生すると想定される原子炉の事故の種類、程度、影響等に関する説明書」中三「事故解析」において記載されているものであるが、三「事故解析」は、もんじゅにおいて想定される事故に対して、その発生原因と防止対策を説明し、その経過と結果の解析を行い、原子炉の安全性がいかに確保されるかを説明するものであり、国は、三「事故解析」における記載等を踏まえ、もんじゅの安全防護機能の設計が妥当なものと判断したものである。したがって、動燃が三「事故解析」における記載と異なる行為を行った場合、当該行為は、当該記載と異なることをもって直ちに違法となるものではない。また、もんじゅにおけるナトリウムの漏えい時の換気空調システムの停止の在り方に関しては、蒸気発生器ナトリウム液位等に変化が検知されないような小規模なナトリウムの漏えいであって初期消火が可能な場合においては、換気空調システムを停止しないことが適当な場合も考えられる。したがって、御質問の「火災検知器の信号で空調ダクトを全閉とする」との記載をもって動燃にナトリウムの漏えい規模にかかわらず直ちに換気空調システムを停止させるべきものと考えることは適当でない。

三の@について

 原子炉施設の安全の確保のための規制は原子炉等規制法等に基づき行われているところ、例えば、原子炉等規制法第三十七条第一項の規定に基づき動燃が定めたもんじゅの保安規定においては、原子炉施設に関し異常を発見した者は、直ちに当直長へ報告し、当直長は、直ちに異常の状況、機器の動作状況等の把握に努めるとともに原因の除去、拡大防止に必要な応急措置を講じプラント第一課長に報告し、プラント第一課長は、直ちにその原因を調査し原子炉施設の保安上必要な措置を講じるとともに建設所長及び原子炉主任技術者に報告し並びに関係課長に通知すること等が規定されており、動燃及びその従業者は、同条第四項の規定に基づき、もんじゅの保安規定を守らなければならないこととされている。

三のA及びBについて

 もんじゅ設置許可申請書及び同添付書類において、今回のもんじゅのナトリウム漏えい事故を含む二次冷却材漏えい事故が発生し火災検知器が発報した場合に関する記載は、同添付書類十「原子炉の操作上の過失、機械又は装置の故障、地震、火災等があった場合に発生すると想定される原子炉の事故の種類、程度、影響等に関する説明書」中三「事故解析」の中にあり、具体的には「火災検知器の信号で空調ダクトを全閉とする」等の記載がなされているところ、三「事故解析」は、もんじゅにおいて想定される事故に対して、その発生原因と防止対策を説明し、その経過と結果の解析を行い、原子炉の安全性がいかに確保されるかを説明するものであり、国は、三「事故解析」における記載等を踏まえ、もんじゅの安全防護機能の設計が妥当なものと判断したものである。したがって、動燃が三「事故解析」における記載と異なる行為を行った場合、当該行為は、当該記載と異なることをもって直ちに違法となるものではない。なお、原子炉等規制法第三十七条第一項の規定に基づき、原子炉設置者は、主務省令で定めるところにより原子炉施設の運転に関すること等について保安規定を定め原子炉の運転開始前に主務大臣の認可を受けなければならないこととされており、同条第四項の規定に基づき、原子炉設置者及びその従業者は、保安規定を守らなければならないこととされている。

四について

 原子炉施設の安全の確保のための規制は原子炉等規制法等に基づき行われているところ、例えば、原子炉等規制法第六十八条第一項においては、内閣総理大臣等は、同法の施行に必要な限度において、その職員に、原子炉設置者等の事業所等に立ち入り、当該原子炉設置者等の帳簿、書類その他必要な物件を検査させること等ができることとされている。御質問の「運転マニュアル」とはもんじゅの運転に関して動燃が独自に作成した手順書等(以下「もんじゅ運転手順書等」という。)を指すものと考えられ、具体的には、異常時運転手順書等を指すものと考えられるが、内閣総理大臣は、同項の規定に基づき、同法の施行に必要な限度において、その職員にもんじゅに立ち入り、もんじゅ運転手順書等を検査させることができるものである。なお、もんじゅ運転手順書等は、法令に基づく許認可等の対象とはされていない。

五について

 もんじゅの保安規定において、もんじゅの火災事故等に関する事項は基本的に第三章第五節「異常時の措置」又は第八章「非常時の措置」の中で定められており、例えば、第三十五条において、原子炉施設に関し異常を発見した者は、直ちに当直長へ報告し、当直長は、直ちに異常の状況、機器の動作状況等の把握に努めるとともに原因の除去、拡大防止に必要な応急措置を講じプラント第一課長に報告し、プラント第一課長は、直ちにその原因を調査し原子炉施設の保安上必要な措置を講じるとともに建設所長及び原子炉主任技術者に報告し並びに関係課長に通知すること等とされている。なお、もんじゅの保安規定は公開されている。

六の@及びAについて

 科学技術庁は、原子炉施設において火災検知器が発報する等の異常時においては、直ちに異常の状況を把握し、応急措置を講じること等が重要であると認識している。

六のB及びC、七並びに八について

 御質問の「火災検知器が鳴ったら炉を止めダクトを全閉する」との記載、「炉を止めダクトを全閉するという決めごと」及び「初期の対応として炉を止めダクトを全閉する」との記載は、もんじゅ設置許可申請書の添付書類十「原子炉の操作上の過失、機械又は装置の故障、地震、火災等があった場合に発生すると想定される原子炉の事故の種類、程度、影響等に関する説明書」中三「事故解析」の中の「火災検知器の信号で空調ダクトを全閉とする」との記載を指すものと考えられるが、三「事故解析」は、もんじゅにおいて想定される事故に対して、その発生原因と防止対策を説明し、その経過と結果の解析を行い、原子炉の安全性がいかに確保されるかを説明するものであり、国は、三「事故解析」における記載等を踏まえ、もんじゅの安全防護機能の設計が妥当なものと判断したものである。したがって、動燃が三「事故解析」における記載と異なる行為を行った場合、当該行為は、当該記載と異なることをもって直ちに違法となるものではない。また、もんじゅにおけるナトリウムの漏えい時の換気空調システムの停止の在り方に関しては、蒸気発生器ナトリウム液位等に変化が検知されないような小規模なナトリウムの漏えいであって初期消火が可能な場合においては、換気空調システムを停止しないことが適当な場合も考えられる。したがって、「火災検知器の信号で空調ダクトを全閉とする」との記載をもって動燃にナトリウムの漏えい規模にかかわらず直ちに換気空調システムを停止させるべきものと考えることは適当でない。





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