答弁本文情報
平成九年一月二十八日受領答弁第一〇号
内閣衆質一三九第一〇号
平成九年一月二十八日
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員山本孝史君提出国家公務員の公正な処分に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山本孝史君提出国家公務員の公正な処分に関する質問に対する答弁書
一及び二について
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十四条第一項に規定する「公正でなければならない」とは、任命権者等が同法に基づく職員の分限、懲戒及び保障を行うに当たり、同法第二十七条に規定する平等取扱いの原則等に従って公平に行うとともに、国家公務員法及び関係する人事院規則の諸規定に従って適正に行うべきことを意味するものと解釈している。
厚生大臣が、岡光前厚生事務次官に対して平成八年十一月十九日に行った辞職の承認処分及び和田前厚生省大臣官房付に対して同年十二月十六日に行った懲戒免職処分については、それぞれ、当該処分の時点で任命権者として知り得た事実関係に基づき、国家公務員法並びに人事院規則八−一二(職員の任免)及び人事院規則一二−〇(職員の懲戒)の諸規定に従って行われたものであり、同法第七十四条第一項の規定との関係で問題はないものと考えている。
職員の休職、復職、退職、免職等の処分は、国家公務員法及び人事院規則に従って、任命権者の判断により行う必要がある。
御指摘の今回の辞職の承認処分は、職員から辞職の申出があったこと、当該職員が厚生省の事務次官の職にあったこと及び厚生行政の停滞を避ける必要があったことを勘案し、任命権者である厚生大臣が、国家公務員法及び人事院規則八−一二の諸規定に従って行ったものである。
人事院は、人事院規則八−一二第七十三条に基づく辞職の承認の取扱いについては、従来から、「懲戒免職等の処分に付すべき相当の事由がある場合」には、職員から辞職の申出がなされても直ちに辞職を認めないよう、各省庁に対し指導しているところである。
御指摘の今回の辞職の承認処分に当たっては、辞職を承認した場合、その後において懲戒処分を行うことができないという点について、厚生省の人事担当者から厚生大臣にあらかじめ説明している。
なお、当該承認処分に当たっては、処分の時点において疑惑として報道されていた内容を中心に厚生省として事情聴取を行ったが、本人がそのほとんどを否定したこと等から、任命権者である厚生大臣が「懲戒免職等の処分に付すべき相当の事由がある場合」には該当しないと判断したものである。
人事院規則八−一二第七十三条に基づく辞職の承認処分については、一般に、その後判明した事実により、その処分が不適当であると認められるに至ったときにおいても、その成立に瑕疵があり、取り消し得べき行為である場合を除いて取り消すことはできないものと解釈している。
御指摘の今回の辞職の承認処分については、その成立に瑕疵があったとはいえず、取り消す考えはない。