答弁本文情報
平成九年四月二十五日受領答弁第一一号
内閣衆質一四〇第一一号
平成九年四月二十五日
国務大臣 藤本孝雄
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員中川智子君提出返還ガラス固化体の貯蔵管理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中川智子君提出返還ガラス固化体の貯蔵管理に関する質問に対する答弁書
一の1及び2について
「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成六年六月二十四日原子力委員会決定。以下「長期計画」という。)の策定に当たっては、原子力委員会は、特定の機関のデータではなく、原子力工学、材料科学等の技術的知見に基づき、ガラス固化体(使用済燃料を溶解した液体から核燃料物質その他の有用物質を分離した残りの液体をガラスにより容器に固型化したものをいう。以下同じ。)は三十年間から五十年間程度貯蔵すれば、時間とともに発熱量が減少し、おおむね合理的な処分が可能であると判断して、三十年間から五十年間程度冷却のための貯蔵を行うとの方針を示したものである。
長期計画において、三十年間から五十年間程度冷却したガラス固化体の発熱量、中心温度及び表面温度の試算は行われていない。
一・四六キロワット、二・〇キロワット及び二・五キロワットの発熱量を持つガラス固化体の三十年後及び五十年後の発熱量は、ガラス固化体に含まれる放射性物質の量と組成により異なるが、我が国の電気事業者がフランス核燃料会社(以下「COGEMA」という。)から受領したガラス固化体の仕様における標準的なガラス固化体についての値等を想定した電気事業者の試算によれば、三十年後については、それぞれ約〇・六一キロワット、約〇・六五キロワット及び約〇・六七キロワットになり、五十年後については、それぞれ約〇・三九キロワット、約〇・四一キロワット及び約〇・四二キロワットになると推定されていると承知している。また、一・四六キロワット、二・〇キロワット及び二・五キロワットの発熱量を持つガラス固化体の三十年後及び五十年後の中心温度及び表面温度は、電気事業者によれば、当該ガラス固化体の貯蔵管理の形態等により異なるため、一概には答えられないとしている。
COGEMAによれば、ガラス固化体の三十年後及び五十年後の発熱量については、当該ガラス固化体の製造に当たり再処理された使用済燃料の性状により異なるが、典型的な値は、それぞれ約〇・六五キロワット及び約〇・四五キロワットになるとしており、一・四六キロワット及び二・〇キロワットの発熱量を持つガラス固化体の三十年後及び五十年後の発熱量についての試算は行っていないとしている。また、ガラス固化体の三十年後及び五十年後の中心温度及び表面温度は、COGEMAによれば、当該ガラス固化体を貯蔵管理する施設の設計により異なるため、一概には答えられないとしている。
廃棄物管理の事業を行おうとする者は核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)に基づきその設置する廃棄物管理設備等において廃棄物管理を行う放射性廃棄物に含まれる放射性物質の種類ごとの最大放射能濃度等を記載した廃棄物管理事業許可申請書を提出し内閣総理大臣の許可を受けることとなっており、海外から我が国に返還されるガラス固化体が電気事業者により廃棄物管理設備に廃棄される際には、その放射能濃度、発熱量等が当該廃棄物管理設備において管理することができるものであること等の基準に適合するものとすること等の保安のために必要な措置を講ずることが電気事業者に義務付けられている。当該基準は、平成六年二月二十日の核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則(昭和五十三年総理府令第五十六号。以下「事業所外廃棄規則」という。)の改正により設けられたものである。
科学技術庁長官が海外から我が国に返還されるガラス固化体が電気事業者により廃棄物管理設備に廃棄される場合に講じられる保安のために必要な措置が事業所外廃棄規則の規定に適合することについて確認することは、当該ガラス固化体を三十年間から五十年間貯蔵管理しても健全であることについてのCOGEMA等の保証がなくても、基本的に可能であると考えている。
平成六年二月二十日の事業所外廃棄規則の改正により、輸入された放射性廃棄物の放射能濃度、発熱量等がその廃棄される廃棄物管理設備において管理することができるものであること等の基準等が設けられている。
日本原燃の廃棄物管理施設において管理されるガラス固化体が破損、腐食等によりその閉じ込め機能に異常を来すことは想定されていない。