答弁本文情報
平成九年五月二十三日受領答弁第二三号
内閣衆質一四〇第二三号
平成九年五月二十三日
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員渡辺周君提出「国営諫早湾干拓事業」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員渡辺周君提出「国営諫早湾干拓事業」に関する質問に対する答弁書
一について
潮受堤防及び調整池の有する高潮、洪水、常時の排水不良等に対する防災機能を適切に発揮するためには、潮受堤防締切り後の降雨の際における防災効果にもかんがみ、調整池の水位を、地元の強い要望を踏まえ、事業計画に定められた標高マイナス一メートルとなるように管理することが必要である。
なお、有明海においては、他にも広大な干潟が広く存在し、この中には発達し続けている干潟もあるとともに、ムツゴロウなどの生物は、これらの干潟にも広く生息しており、また、環境モニタリングを毎年実施するなど、本事業の実施に当たっては環境にも十分配慮しているところである。
潮受堤防北部排水門及び南部排水門の運用は、農林水産大臣が定めた「国営諫早湾干拓事業調整池排水門工事中管理規程」(以下「工事中管理規程」という。)に基づき、外潮位、内水位等の状況を勘案して、九州農政局諫早湾干拓事務所長が行っている。
また、調整池の水位調整については、工事中管理規程の中で排水門の操作方法として定められており、
この操作方法を変更するためには、工事中管理規程を変更する必要がある。
二及び三についてで述べたとおり、調整池の水位の調整方法を変更するためには、工事中管理規程を変更する必要がある。
工事中管理規程は、国営土地改良事業の実施に関する事務を統括する農林水産大臣が当該事業の実施に必要なものとして定めており、その内容を変更する権限を有するのは、農林水産大臣である。なお、この場合、本明川の河川管理者である建設大臣の権限の委任を受けた九州地方建設局長と協議することが必要である。
内閣法(昭和二十二年法律第五号)第六条の規定によると、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する」こととされており、閣議にかけて内閣としての方針が決定されていれば、内閣総理大臣は、その方針に基づいて、農林水産大臣を指揮監督することができるものと解される。
内閣法第八条の規定によると、「内閣総理大臣は、行政各部の処分又は命令を中止せしめ、内閣の処置を待つことができる」こととされているが、「国営諫早湾干拓事業」に係る潮受堤防内水位調整作業については、本事業が関係法律に基づき適正に実施されてきた経緯も踏まえ、本事業の所管大臣である農林水産大臣の判断を尊重することを基本とすべきものと考える。