衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十年一月三十日受領
答弁第二七号

  内閣衆質一四一第二七号
    平成十年一月三十日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員山本孝史君提出日本臓器移植ネットワークへの行政の関与の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本孝史君提出日本臓器移植ネットワークへの行政の関与の在り方に関する質問に対する答弁書



一について

 平成九年十月十六日に改組され、社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「臓器移植ネットワーク」という。)となった社団法人日本腎臓移植ネットワーク(以下「腎移植ネットワーク」という。)の平成八年度の収入及び支出の主な科目、金額及びその百分率は、腎移植ネットワークの当該年度の収支決算書によれば、別表第一及び別表第二のとおりである。また、腎移植ネットワークの平成九年度の収入及び支出の主な科目、金額及びその百分率は、腎移植ネットワークの当該年度の収支予算書によれば、別表第三及び別表第四のとおりである。

二について

 臓器移植ネットワークは、臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号。以下「臓器移植法」という。)の施行に当たり、臓器を使用した移植術を受ける者の選択が公平かつ適正に行われることを目的として、平成九年十月十六日に腎移植ネットワークが改組したものである。平成九年度の臓器移植ネットワークの運営は、一についてで示した腎移植ネットワークの同年度の予算に基づいて行われる予定であり、その収入及び支出について変更はない。また、臓器移植ネットワークの平成十年度の収入及び支出の構成については、臓器移植ネットワークにおいて、現在、当該年度の事業計画書及び収支予算書の作成を行っているところであり、現段階では答弁できない。

三の(一)について

 御指摘の衆議院議員山本孝史君提出臓器の移植に関する法律の施行に関する質問に対する答弁書(平成九年十二月二日内閣衆質一四一第四号)の六についてで述べたとおり、腎移植ネットワークは腎臓の移植におけるあっせんを業務とする団体として、その業務及び運営について特段の問題があったとは考えていないところである。今般、臓器移植法の施行に当たり、臓器移植を円滑に推進するためには、全国一元的な体制の下、臓器を使用した移植術を受ける者の選択がこれまで以上に公平かつ適正に行われるとともに、臓器のあっせんを業として行う臓器移植ネットワークにおいて公平かつ適正な事業運営が行われることが国民に理解されることが極めて重要である。このような観点から、厚生省において、腎移植ネットワークの定款変更に当たり、総会等の議事録の公開及び常任理事会の構成に関する点と併せて、特定の個人や企業による寄附金に依存する財政構造を改善するよう指導したところである。

三の(二)及び(三)について

 公益法人が適正に運営されているか否かの判断は、公益法人に対する適正な指導監督等を強力に推進していくために定められた「「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について」(平成八年九月二十日閣議決定)別紙一「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(以下「基準」という。)に照らし、公益法人の事業目的、事業の内容及び性格を始め、財務、会計等について総合的に勘案し、行うべきものと考えている。
 基準の「5.財務及び会計」においては、公益法人は、設立目的の達成等のため、健全な事業活動を継続するに必要な確固とした財政的基礎を有していなければならないこととされている。具体的には、「社団法人にあっては、設立目的の達成に必要な事業活動を遂行するための会費収入及び財産の運用収入等があること」、「財団法人にあっては、設立目的の達成に必要な事業活動を遂行するための設立当初の寄附財産の運用収入及び恒常的な賛助金収入等があること」等とされているが、公益法人の運営において総収入に占める寄附金の割合又は特定の寄附者からの寄附金の割合についての判断基準は示されていないところである。
 厚生省においては、同省所管の公益法人の中に特定の寄附者からの寄附金の割合が総収入の十パーセント程度又はそれ以上のものがあると承知しているが、特定の寄附者からの寄附金の総収入に占める割合と当該法人の運営が適正か否かの判断は、直ちには結びつかないものと考えている。

三の(四)について

 一般に、私人が公益のために私財を寄附することは、その者の功績となるものと考えられる。厚生省として、同省所管の公益法人に寄附が行われ、当該公益法人の活動が促進されることは望ましいことと考えている。
 しかしながら、臓器移植ネットワークにおいては、その目的や事業の性格等に照らし、臓器のあっせんの公平性等を担保するとともに、こうした公平性等に対する国民の理解を得ることが極めて重要と考えられることから、特定の個人や特定の個人に関連する企業による寄附金に依存することは適当ではないと考えている。

三の(五)について

 厚生省において、これまで腎移植ネットワークの業務の重要性にかんがみ、腎移植ネットワークに対して必要な国庫補助の実施に努めてきたところであるが、腎移植ネットワークの運営においては、国庫補助以外の収入として、特定の個人や特定の個人に関連する企業による寄附金への依存があったものと考えている。

四について

 厚生省においては、保健医療局に設置した日本臓器移植ネットワーク準備委員会の平成九年八月の報告書において、既存の腎移植ネットワークを母体として、心臓や肝臓等の臓器移植に対応した新たな機能を付加し、全国を通じて唯一の統一的な体制を整備していくことが適当である旨の提言が行われたことから、これを踏まえ、腎移植ネットワークを母体として臓器移植ネットワークが設立されることが適当と判断したものである。
 御指摘の厚生省保健医療局長の発言は、臓器のあっせんを行う団体について、社団法人ではなく財団法人が望ましいのではないかという意見があることに対して、臓器移植法の施行に際し、新たに財団法人を設けるためには、臓器のあっせん業を継続するに必要な基本財産の確保を短期間で行うことが必要であり、財団法人の新設による対応は困難である旨を述べたものである。

五について

 平成九年十二月十日に、臓器移植ネットワークの会長及び理事長から厚生大臣に対し、特定の個人や特定の個人に関連する企業による寄附金への依存を是正することに伴い、臓器移植ネットワークが支出超過となることが見込まれ、その運営が困難となると考えられることから、国庫補助の大幅な増額について要請が行われたところである。これに対し、厚生大臣から、現下の財政状況は極めて厳しいことから、国庫補助の大幅な増額は困難であることについて理解を求めるとともに、臓器移植ネットワークにおいても引き続き様々な方策について検討し、財政構造の改善に努められたい旨回答したところである。

六及び七について

 腎移植ネットワークを臓器移植ネットワークに改組する定款変更の認可に当たり、厚生省が行った財政構造の適正化についての指導は、今般の臓器移植法の施行に当たり、臓器移植を円滑に推進するためには、全国一元的な体制の下、臓器を使用した移植術を受ける者の選択がこれまで以上に公平かつ適正に行われるとともに、臓器のあっせんを業として行う臓器移植ネットワークにおいて公平かつ適正な事業運営が行われることが国民に理解されることが極めて重要であるという観点から行ったものであり、厚生省においては、今後とも必要な国庫補助の実施に努めることとしている。一方、臓器移植ネットワークにおいても、できるだけ幅広く寄附を募る等様々な方策を講じるよう、理事会を始め、関係者において真摯に検討が行われることが必要と考えている。
 また、厚生省においては、経費節減、登録料の引上げ等の各般の方策について臓器移植ネットワークから相談を受けており、適宜必要な助言を行っているところである。

八について

 臓器移植ネットワークにおいては、財政構造の改善について検討するための臨時の理事会が、平成九年十一月十四日、同月二十八日及び同年十二月二十二日の三回にわたって開催されたところである。同年十一月十四日の理事会において、臓器移植ネットワークの事務局から「平成十年度収入不足に対する対策計画(案)」として、腎臓移植に係る新規登録料を現在の一万円から三万円に、心臓及び肝臓に係る新規登録料を現在の一万円から五万円に引き上げるとともに、移植実施時の「提供管理費」として五十万円の患者負担の新設を行う案と、腎臓移植に係る新規登録料を現在の一万円から三万円に、心臓及び肝臓に係る新規登録料を現在の一万円から五万円に引き上げるとともに、更新登録料を現在の五千円から一万円に引き上げる案の二案が示されたが、同月二十八日の理事会においては、これらの登録料の引上げについて一部の理事から反対があり、国庫補助の増額を要請することが提案されたところである。また、同年十二月二十二日の理事会においては、前二回の理事会における議論を踏まえ、事務局から、国庫補助の増額、幅広く多方面から寄附を募ること、現在の一万円から一二万円への新規登録料の引上げ等を内容とする「財政構造改革案」が提案されているところである。この案においては、新規登録者数を千四百人と見込み、当該新規登録料の引上げにより、二千八百万円の新たな財源が確保できると推計されている。
 いずれにせよ、患者団体等の関係方面の意見を聴きながら、臓器移植ネットワークにおいて各般の方策について引き続き検討が進められるものと考えている。

九について

 臓器移植法の施行に当たり、臓器移植を円滑に推進するためには、全国一元的な体制の下、臓器を使用した移植術を受ける者の選択がこれまで以上に公平かつ適正に行われるとともに、臓器のあっせんを業として行う臓器移植ネットワークにおいて公平かつ適正な事業運営が行われることが国民に理解されることが極めて重要である。このような観点から、厚生省においては、三の(一)についてで述べたとおり指導を行ったものである。
 厚生省においては、今後とも、臓器移植ネットワークに対し、必要な国庫補助の実施に努める等臓器移植の円滑な推進に努めてまいりたい。



別表第一(平成八年度収入)

別表第一(平成八年度収入)
(注) 前期繰越金を除く。



別表第二(平成八年度支出)
別表第二(平成八年度支出)
(注) 前期繰越金を除く。



別表第三(平成九年度収入)
別表第三(平成九年度収入)
(注) 前期繰越金を除く。



別表第四(平成九年度支出)
別表第四(平成九年度支出)
(注) 次期繰越金を除く。





経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.