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平成十年二月二十七日受領
答弁第四号

  内閣衆質一四二第四号
    平成十年二月二十七日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員坂上富男君提出早稲田大学探検部員殺害事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員坂上富男君提出早稲田大学探検部員殺害事件に関する質問に対する答弁書



一について

 早稲田大学探検部員二名の殺害事件(以下「本件事件」という。)については、平成九年十二月二十六日(現地時間。以下同じ。)、ペルー共和国(以下「ペルー」という。)第五管区司令部は、同国ロレート県イキトス郡にあるピプアヤル検問所に所属していたペルー軍兵士四名が早稲田大学学生二名の生命・身体に対する犯罪に関与した容疑がある旨の声明を発表した。同月二十七日、拘束中の容疑者の自白に基づき、早稲田大学学生二名と思われる白骨遺体が一部遺留品と共に右検問所の近くで発見された。同月二十九日付けのフジモリ大統領発橋本内閣総理大臣あての書簡においては、早稲田大学学生二名は、同年十月末に死亡したとされている。
 なお、同年十二月二十九日、ペルー国家検察は、当時ピプアヤル検問所に勤務していたペルー軍兵士十六名を殺人又はその共犯の事実で、民間人二名を窃盗の事実で、それぞれ裁判所に告発した。現在、予審が行われているところであるが、通常、予審は四箇月以内に終了し、その後、公判手続に移ると承知している。

二について

 橋本内閣総理大臣の本件事件についての見解は、冷酷な犯行で、本来市民の生命と安全を守るべき立場にある軍人が集団として罪のない青年を殺害したことは極めて遺憾であるというものであり、平成九年十二月三十日、小西駐ペルー大使から、そうした見解を踏まえた声明を発表している。
 御指摘の橋本内閣総理大臣の発言は、日本時間の平成九年十二月二十八日に、まだ詳細が判明していないので論評はできないと断った上で行われた発言の一部である。内閣総理大臣の本意は、二人の有為の青年が殺害された本件事件は本当に残念なことであり、ペルー軍の兵士が殺害したというのであればもってのほかであるとの気持ちとともに、冒険には危険が伴うため、事前に準備をしてその危険を最小限にとどめる必要があることを伝えようとしたところにあり、犠牲者の方を冒とくする趣旨ではなかった。

三について

 本件事件につき、政府は、本件事件へのペルー軍人の関与がペルー軍により確認されたのを受け、平成九年十二月二十七日、小西駐ペルー大使を通じ、事件の真相の究明や究明後に事件に関与した者への厳正な処罰を行うよう申し入れた。また、同月三十日、小西大使は、橋本内閣総理大臣の意をも踏まえ、政府を代表して、ペルー政府に対し、本件事件に関与した者への厳正な処罰を改めて申し入れるとともに、「本来市民の生命と安全を守るべき立場にある軍人が集団として罪のない青年を殺害したことは極めて遺憾である」旨表明している。
 このような申入れを踏まえ、ペルー政府は、迅速に司法手続を開始する等、事件の真相究明に努めてきている。また、フジモリ大統領は、橋本内閣総理大臣にあてた平成九年十二月二十九日付け親書の中で、殺害された日本人学生に哀悼の意を表明するとともに、ペルー司法当局が事件の責任者に対して厳罰を適用するよう、できる限りのことを行う旨表明している。さらに、平成十年一月四日、リマにおいて行われた合同仮葬儀には、ペルー側からフェレロ外務大臣、キスペ法務大臣等が出席し、哀悼の意を表明している。

四について

 本件事件については、目下、ペルー司法当局において真相究明が行われている段階であり、いわゆる補償の問題に関しては、本件事件の事実関係の解明が進む中で検討がなされるべきものと考える。
 御遺族に対する損害賠償は、基本的には当事者間の問題であると考えているが、御遺族から損害賠償の請求が行われる場合には、政府としても、必要に応じて側面的に協力していくこととしたい。





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