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答弁本文情報

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平成十年二月十三日受領
答弁第六号

  内閣衆質一四二第六号
    平成十年二月十三日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出大蔵省不祥事と疑惑解明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出大蔵省不祥事と疑惑解明に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 御質問の点については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第九十六条から第百五条までの規定及び同法第百六条等の規定に基づき定められた人事院規則の遵守が求められていると考えている。

一の(2)について

 戦後、綱紀粛正を図るために大蔵省において発出された通達等は九十一件である。そのうち、例年年末の時期等に発出される通達及び政府の方針に従って発出される通達を除き、主要なものは次のとおりである。
1 「綱紀の厳正な保持について」(昭和五十四年十月二十九日付け蔵秘第二七九六号大蔵省大臣官房長通達)(別添一)
 会計検査院による日本鉄道建設公団に対する検査で判明したいわゆるカラ出張等による不正経理問題に関連して、大蔵省職員が他省庁等から接待を受けていたことが問題とされ、世の批判を受けたことを背景として発出されたものであり、職務上の関係者からの会食等への招待やいわゆる陣中見舞には原則として応じないこと、歳暮、中元等の提供がなされるような場合には、これを受け取らないこと等を定めている。
2 「綱紀の厳正な保持について」(平成七年五月二十五日付け蔵秘第二〇〇七号大蔵省大臣官房長通達)(別添二)
 大蔵省職員が、私的な交際の問題とはいえ、東京協和信用組合理事長から供応を受けていたことにより、社会的批判を受けたことを背景として発出されたものであり、職務上の関係者との交際について、会食等への招待やいわゆる陣中見舞には原則として応じないこと、歳暮、中元等の提供がなされるような場合には、これを受け取らないこととするとともに、職務上の関係者以外の者との交際についても、綱紀の保持の観点から問題があると思われるような場合にはこれに準ずるものとすること等を定めている。
3 「大蔵省職員倫理規程I及びII」(平成八年十二月二十六日付け大蔵省訓令第五号)(別添三)一部公務員の不祥事が続き、行政及び公務員全体に対する国民の信頼を失墜させたことを踏まえ、「行政及び公務員に対する国民の信頼を回復するための新たな取組について」(平成八年十二月十九日事務次官等会議申合せ)に基づき発出されたものであり、関係業者等との接触等に関して、具体的な禁止事項、違反に対する処分、本省庁課長相当職以上の職員に対する特別の遵守措置、大蔵省職員倫理規程の実効担保体制等を定めるとともに、関係業者等以外の者との私的な交際についても、綱紀の保持の観点から問題があると思われるような場合には、関係業者等との接触等に関する定めに準ずるものとすること等を定めている。

一の(3)について

 それぞれの通達が発出された時点において、その背景となった事件について職員一同深く反省し、綱紀の保持に努めたところであるが、時の経過とともに一部に緊張感に緩みが生じることもあったのではないかと考えている。

一の(4)について

 大蔵省職員倫理規程(以下「倫理規程」という。)は、関係業者等との間で会食を行ってはならないと定めるとともに、職務として必要な会議等において会食をする場合等、例外として行う場合は、服務管理官に事前に届け出て、その了承を得るものとすると定めている。これまで、自己の飲食代を負担しないで会食を行った例としては、一般に広く招待されるパーティーなど、対価を支払うことが他の参加者との関係等からかえって社会通念にそぐわないものに出席する場合や、職務上の意見交換のためのものであって、場所、内容等が社会的批判を招かないような会食に出席する場合がある。

一の(5)について

 関係業者等との間でゴルフをすることは、倫理規程第五条において禁止されている。
 ただし、家族関係、個人的友人関係等に基づく私生活面における行為であって職務に関係のないものについては同条の規定は適用しないこととされている。

一の(6)について

 倫理規程の制定以後、関係業者等からの差し入れについての届出はなされておらず、現時点では、差し入れが行われたことは確認していないが、これまで大臣官房金融検査部、証券局、銀行局等の金融行政に関連する部局の課長補佐以上に相当する職に在職したことのある職員に対し、過去五年にさかのぼって、銀行、証券会社、保険会社等の関係業者等との関係について、差し入れの有無を含め調査を行っているところである。

一の(7)について

 田谷廣明氏については、東京協和信用組合の当時の理事長である高橋治則氏から会食、ゴルフ等の供応を受けていたほか、平成二年夏に高橋氏の所有する自家用飛行機で香港旅行に出かけていたことが判明したことから、平成七年三月十三日付けで訓告処分を行うとともに、東京税関長の職から更迭し、大臣官房付にしたところである。
 中島義雄氏については、東京協和信用組合の当時の理事長である高橋治則氏から会食、ゴルフ等の供応を受けていたことが判明したことから、平成七年三月十三日付けで訓告処分を行ったところである。
 その後、中島氏については、冬虫夏草ドリンクに関する契約書に署名捺印し、自らの名前を利用することを許していたこと、及び同契約書に関連し、窪田邦夫氏とその共同事業者との間の清算金の受渡しの場として主計局次長室を提供したことが判明したことから、平成七年七月二十八日に財政金融研究所長の職から更迭し、大臣官房付にしたところである。中島氏は同日付けで辞職している。
 なお、その後、中島氏については、大蔵省在職中に、知人から極めて多額の贈与等を受けていたこと及びこれに関する税務申告を長期間怠っていたことが判明した。

一の(8)について

 紀律保持委員会は、大蔵省職員の紀律保持を徹底し、その状況を監視するとともに、問題点、改善すべき点等があればこれについて検討を行うことを主たる目的とした組織であり、個別に職員の状況把握を行ってはいない。

一の(9)について

 御指摘の篠沢元事務次官の言葉は、大蔵省職員に厳粛に受け止められたと考えている。

一の(10)について

 平成六年十二月、社団法人生命保険協会の会長会社であった第一生命保険相互会社から、佐藤誠一郎大蔵省銀行局保険部保険第一課課長補佐(当時)に対し、保険業法改正作業等に関連して緊急に連絡を取る必要が頻繁に生じたため、連絡手段として携帯電話の貸与の申し出がなされ、同人は、携帯電話一台の貸与を受けて使用を開始し、平成七年六月に同局銀行課へ異動した後も使用を継続していたが、平成八年七月末に関東信越国税局へ異動した後に、携帯電話を同社に返却するとともに、それまでの料金の清算を行った。
 このような事実関係に基づき、平成八年八月三十日付けで、行為者である佐藤誠一郎関東信越国税局調査査察部長(当時)に対し訓告処分を行ったところである。
 また、このような不祥事に気付かず、部下職員の指導監督が不十分であったという理由で、同日付けで監督者に対して次の処分を行った。
 処分当時 銀行局長(元銀行局保険部長) 山口 公生 「口頭厳重注意」
 処分当時 証券取引等監視委員会事務局特別調査課長(元銀行局保険部保険第一課長)
 滝本 豊水 「口頭厳重注意」
 処分当時 大臣官房金融検査部管理課長(元銀行局銀行課長) 村木 利雄 「口頭厳重注意」
 この事件を踏まえて、保険部の他の職員に対し携帯電話の無償貸与が行われていないかについて調査したところ、第一生命保険相互会社から、保険業法改正作業等に関連して連絡を取る必要があったことから、平成六年十二月六日から平成七年六月十四日までの間、携帯電話一台が保険第一課に対して貸与され、同課の職員がこれを随時使用していたことが判明したため、この間の料金の清算を行った。
 なお、金融行政に関連する部局の課長補佐以上に相当する職に在職したことのある職員に対し、過去五年にさかのぼって、関係業者等との関係について、物品等の無償貸与の有無を含め調査を行っているところである。

一の(11)及び(12)について

 涌井洋治大蔵省主計局長が大蔵省大臣官房長在任中に関係業者等に該当しない石油卸商泉井純一氏から受け取った版画は、結婚祝いとして贈られたものであり、これを受け取った行為自体は、平成七年五月二十五日に発出された通達に違反するものではないと考えている。
 しかしながら、服務管理を統括する立場にある官房長として、結婚祝いであったとしても、さほど親しくもない人物から、美術品といった価格の判然としない品物を受け取ったことは、やや不注意のそしりを免れないとして、平成九年一月三十日付けで口頭厳重注意処分を行ったものであり、この処分は適正なものであると考えている。

一の(13)について

 薄井信明大蔵省主税局長(当時)は、平成七年及び平成八年に国会議員が政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)に基づく政治資金パーティーを開催した際に講師として出席し、税制改正等についての講演を行った。
 講演当時、同人に当該パーティーが政治資金パーティーであるとの認識がなかったとはいえ、このような行為は、政治的行為を禁止又は制限されている公務員が政治的行為を行ったかのような誤解を招きかねないものであり、不注意のそしりを免れないことから、平成九年一月三十日付けで文書厳重注意処分を行ったものであり、この処分は適正なものであると考えている。

一の(14)について

 大蔵省においては、国家公務員法に基づく懲戒処分のほか、これに準ずる矯正措置として、「訓告」、「文書厳重注意」及び「口頭厳重注意」がある。「訓告」、「文書厳重注意」及び「口頭厳重注意」は、職員が職務上の義務に違反した場合において、これに対し、指揮監督の権限を有する上級の職員が、当該職員の職務履行の姿勢を正し、将来の職務の改善向上を図るために、監督上の具体的措置として行うものであり、国家公務員法第九十八条にいう上司の職務上の命令及び国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第十条にいう行政機関の長が職員の服務を統督する権限に根拠を有するものである。文書厳重注意は、注意の内容が文書で本人に伝達されるものであるのに対し、口頭厳重注意は、注意の内容が口頭で本人に伝達されるものであり、文書厳重注意は、口頭厳重注意に比べ、注意を促す度合いが厳しいものである。

一の(15)について

 処分を受けた職員については、処分の程度に応じて、昇給が延伸され、あるいは勤勉手当の支給額が低くなる等の影響を受けることとなる。

二の(1)について

 大蔵省においては、行政組織の活力を維持していくため、幹部職員が定年前に退職して後進に道を譲るという早期退職慣行があり、これを円滑に行うため、職員の退職に当たり、退職者本人や民間企業等から要望のある場合には、人事担当者が再就職のあっせんを行うことがある。ただし、実際に再就職を行うかどうかは、本人と当該民間企業等の合意によって決められるものである。

二の(2)について

 「大蔵同友会」は、大蔵省を退職した者が任意で作っている親ぼく団体であり、「霞桜会」は大蔵省金融検査部に在籍したことのある者が任意で作っている親ぼく団体であると承知しているが、その詳細については承知していない。

二の(3)について

 退職者の再就職先のあっせんについて、民間企業がどのような対応をしているかについて、大蔵省が調査したことはない。

二の(4)について

 大蔵省において、職員が企業や団体に再就職することによって、行政の執行にゆがみが生じた事例があったとは認識していない。

二の(5)について

 退職した公務員を雇用する企業や団体の意向は、大蔵省としては個別具体的には承知していないが、当該人物の経験や能力に着目して、これを自己の事業活動に活用するために雇用しているものと考えている。

二の(6)について

 公務員の再就職は、国家公務員法の規定等に従って適正に行わなければならないこととされているが、さらに、大蔵省においては、いわゆる住専問題をめぐる議論の中で、民間金融機関の役職員への大蔵省出身者の再就職が、金融行政の基本方針がゆがめられているのではないかという疑念をいだかせる一因となったことを踏まえ、平成八年六月、国家公務員法の規定による規制に加え、幹部職員について、民間金融機関の役員への再就職の自粛措置(別添四)を定めたところであり、これを遵守していく必要があると考えている。

二の(7)について

 御指摘のような批判があることは承知している。政府においては、「特殊法人等の整理合理化について」(平成九年十二月二十六日閣議決定)により、特殊法人等の役員給与については、任命権者の俸給額より低くなるよう再調整を行うものとするとともに、特殊法人等相互間における役員のたらい回し的異動(いわゆる「渡り」)については、真にやむを得ないものに限ることとし、かつ、この場合においても一回限りとすることとしたところである。

三の(1)について

 日本道路公団の井坂武彦理事(当時)は、日本道路公団の発行する政府保証付き外貨道路債券の引受けに関する収賄の容疑で逮捕され、先般、公訴の提起が行われたものと承知している。大蔵省においては、現時点では、金融検査部長在職期間中も含めて同人の大蔵省在職中の職務の内容や接待の有無などについての調査は行っていないが、今後、大蔵省在職中の職務執行に関し具体的な疑義が生じた場合には、その当時の事情について調査を行う所存である。

三の(2)について

 大蔵省は、井坂前理事が大蔵省を退職するに際して、同人から再就職先の紹介についての要請があったため、日本道路公団への再就職をあっせんしたところである。

三の(3)について

 大蔵省としては、長年大蔵省に勤務していた者がこのような事件を起こし、誠に残念であると考えている。

四の(1)及び(3)について

 大蔵省においては、これまで大臣官房金融検査部、証券局、銀行局等の金融行政に関連する部局の課長補佐以上に相当する職に在職したことのある職員に対して、平成五年一月一日から平成九年十二月三十一日までの間に銀行、証券会社、保険会社等の関係業者等との間における会食等、倫理規程第五条に掲げる十二項目の禁止事項に該当する事実の有無及びその際の職務に関する依頼の有無について、調査を行っているところである。逮捕された宮川宏一前大臣官房金融検査部管理課金融証券検査官室長及び谷内敏美前大臣官房金融検査部管理課課長補佐の上司も調査対象に含まれている。
 なお、逮捕されたこの二名については既に捜査当局の捜査が行われているところであるので、両名の逮捕の被疑事実とされたいわゆる「MOF担」の接待については、捜査状況を踏まえて、今後、事実関係を明らかにしていく所存である。

四の(2)について

 大蔵省としては、いわゆる「MOF担」とは、行政当局との間で個別的な人間関係の形成を行うことを仕事の一つとするような金融機関等の職員であると理解している。いわゆる「MOF担」については、金融機関等と行政当局の間の連絡や意思の円滑な伝達等に役立ってきた面もあったが、他方で、個別的な人間関係の形成等により、金融機関等と行政当局の間に求められる節度ある緊張関係が緩んできた面もあると考えている。

四の(4)及び(5)について

 今回逮捕された二名については、現在、捜査当局の捜査が行われているところであり、大蔵省としては、捜査状況を踏まえて、今後、事実関係を明らかにしていく所存である。

四の(6)について

 大蔵省としては、今回の事件については、捜査状況を踏まえて事実関係を明らかにし、被疑者二名に対する行政処分はもちろんのこと、関係監督者に対する処分も厳正に行う所存である。

四の(7)について

 大蔵省紀律保持委員会は、大蔵省職員全体の紀律保持の徹底を図るために設置された委員会であり、審査部会と綱紀部会により構成されている。審査部会は、紀律保持委員会の基本方針及び極めて重要な案件についての決定を行うこととされ、綱紀部会は、職員に対して、倫理規程の周知徹底を図り、紀律保持についての状況を把握するとともに、問題点、改善すべき点等についての検討を行うこと等とされている。一方、金融服務監査官は、民間金融機関等の検査その他の監督に関する事務に従事する職員の服務に関する監査を行い、自ら積極的に情報の収集及び分析、金融機関等からの聞き取り、職員の身上把握等を行うことによって非行事件の未然防止に当たるとともに、非行事件が発生した場合には調査を行い、必要な処分について任命権者に対して助言を行うこととされている。また、金融服務監査官は、紀律の保持に関する問題を把握した場合には、紀律保持委員会の開催を求め、出席して意見を述べることができることとされている。

四の(8)及び(9)について

 大蔵省においては、これまで金融行政に関連する部局の課長補佐以上に相当する職に在籍したことのある職員に対し、過去五年にさかのぼって、銀行、証券会社、保険会社等の関係業者等との会食等の有無について調査を行っているところであり、その中には株式会社第一勧業銀行以外の金融機関等に対する検査に関するものも含まれている。調査結果については、できるだけ速やかに取りまとめ、公表する所存である。

五の(1)について

 大蔵省の金融検査及び証券検査、証券取引等監視委員会の検査及び犯則調査の結果、金融機関、証券会社等に不正融資や損失補てんなどの法令違反等の問題点があることが判明した場合には、告発、行政処分を行うほか、改善に向けての対応を促している。

五の(2)について

 株式会社第一勧業銀行の不正融資については、検査の時点ではその事実を把握していなかったが、同行の報告から、総会屋に係る不正融資を同行自らが意図的に検査対象外とするなどの検査忌避を行ったことが明らかになったため、平成九年七月、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百三十九条第二項に基づき銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第六十三条違反で告発を行ったところであり、併せて行政当局が行政処分を行ったものである。
 四大証券会社の損失補てんについては、証券取引等監視委員会がその端緒を把握し、犯則調査を行った結果、検察当局への告発等を行い、併せて行政当局が行政処分を行ったものである。

五の(3)について

 株式会社第一勧業銀行に対する検査において、御指摘の融資についても、その取引開始の経緯等につき確認したものの、同行からは適切な説明が行われなかったものである。

五の(4)について

 株式会社第一勧業銀行に対する検査において、同行が検査忌避等を行ったため不正融資を把握できなかったものであるが、本件をも踏まえ、今後、厳正かつ実効性のある金融検査を実施することにより職責を果たしていく所存である。

五の(5)について

 金融検査においては、従来から、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、銀行がその業務遂行上、特に留意を要すると考える株主についての資料を徴求しているところであるが、これは御指摘のような総会屋とは必ずしも一致するものではない。

五の(6)について

 今回の事件をも踏まえ、金融検査においては、商法上の利益供与の禁止を含む法令等の遵守状況等の実態把握に重点をおいた厳正かつ実効性ある検査の実施に努めてまいる所存である。

六の(1)について

 大蔵省としては、大多数の職員は紀律を維持して職務に当たっており、不祥事は基本的には各人の倫理観の欠如に原因があると考えている。不祥事については、事実関係を明らかにし、本人はもとより監督者に対する責任の追及を行ってきたところである。

六の(2)について

 大蔵省としては、大多数の職員は紀律を維持して職務に当たっており、不祥事は基本的には各人の倫理観の欠如に原因があると考えている。

六の(3)について

 大蔵省としては、国の財務、通貨、金融等国民生活や経済社会に密接にかかわる事項に関する行政を担当していることから、職員一人一人には高い倫理観や紀律の保持が求められていると考えている。

六の(4)について

 大蔵省としては、現在行っている調査について、できるだけ速やかに取りまとめ、厳正な処分を行うとともに、結果を公表する所存である。



別添1
蔵秘第2796号
昭和54年10月29日
 全機関の長殿
大蔵省大臣官房長
松下康雄
綱紀の厳正な保持について

 綱紀の保持については、従来から繰り返し注意を喚起してきたところであるが、最近に至り大蔵省職員が他省庁等から接待を受けていること等が問題とされ、世の厳しい批判を受けていることは誠に遺憾である。この際、このような批判を受けるに至った状況を率直に反省するとともに、国民の信頼の早急な回復を図らなければならない。
 とりわけ、財政再建が省を挙げての最も緊要な課題となっている現在、もしこの事態がつづくならば、遂には財政再建についての国民一般の理解も得られなくなるおそれがある。
 今後は、このような批判を決して受けることのないよう、この際、あらためて大蔵省職員の綱紀の厳正な保持を図ることとし、その具体的措置として、下記について職員にその趣旨の徹底を図られたい。
 以上、命により通知する。
 なお、各省庁、関係団体等に対しても、この趣旨を通知し、協力方を強く要請するので念の為申し添える。


1.会食等について
  職務上の関係者からの会食等への招待には、原則として応じないこと。
 なお、いわゆる陣中見舞についても、これに準ずること。
2.歳暮、中元等について
  職務上の関係者から歳暮、中元等の提供がなされるような場合には、これを受取らないこと。
3.公私の峻別
  大蔵省職員として、いやしくも外部からの批判を招かないよう常に公私の区別を明確にすること。
4.その他の留意事項
  管理、監督の地位にある者は、率先垂範するとともに、職員の身上を把握し、適宜適切な指示を与えること。


別添2
蔵秘第2007号
平成7年5月25日
全機関の長殿
大蔵省大臣官房長
小村武
綱紀の厳正な保持について

 綱紀の保持については、従来から注意を喚起してきたところである。しかるに、最近、大蔵省職員において、綱紀の保持を疑わしめるような行動が指摘され、厳しい批判を受けていることは誠に遺憾である。この際、このような批判を受けている状況を率直に反省するとともに、国民の信頼の早急な回復を図らなければならない。
 今後は、このような批判を決して受けることのないよう、あらためて大蔵省職員の綱紀の厳正な保持を図ることとしたい。
 綱紀の保持に関し、職務上の関係者との交際については、その基本的な考え方を「綱紀の厳正な保持について」(昭和54年10月29日付蔵秘第2796号)において示したところであるが、今般の批判は職務上の関係者以外の者との交際にかかるものであり、今回、職務上の関係者以外の者との交際をも対象にして、下記の具体的措置を定めたので、職員にその趣旨の徹底を図られたい。
 以上、命により通知する。
 なお、各省庁、関係団体等に対しても、この趣旨を伝え、協力方を強く要請したいと考えているので念のため申し添える。


1.職務上の関係者との交際について
  「綱紀の厳正な保持について」(昭和54年10月29日付蔵秘第2796号)に基づき、以下のとおりとする。
 (1) 会食等について
     職務上の関係者からの会食等への招待には、原則として応じないこと。
 なお、いわゆる陣中見舞についても、これに準ずること。
 (2) 歳暮、中元等について
     職務上の関係者から歳暮、中元等の提供がなされるような場合には、これを受取らないこと。
 (3) 公私の峻別
     大蔵省職員として、いやしくも外部からの批判を招かないよう常に公私の区別を明確にすること。
2.職務上の関係者以外の者との交際について
  職務上の関係者以外の者との交際についても、綱紀の保持の観点から問題があると思われるような場合には上記1に準ずるものとする。
 その際、以下のことについて留意する。
 (1) 交際のきっかけ、相手方、形態等によっては、社会の批判を招く可能性があること。
 (2) 理由なく一方的な受益が続く関係は、純粋に私的な交際とは認められない場合が多いこと。
3.その他の留意事項
 (1) 管理、監督の地位にある者(以下「管理者」という。)は、率先垂範するとともに、職員の身上を把握し、適宜適切な指示及び指導を行うこと。
 (2) 職員は、1及び2に関し疑義のある場合には、管理者に相談して判断を仰ぐ等慎重な対応をすること。
 (3) 1及び2に違反する疑いがある職員の行動については、紀律保持委員会で状況把握を行うものとすること。


別添3
大蔵省訓令第5号

内部部局長
証券取引等監視委員会事務局長
税関研修所長
関税中央分析所長
財政金融研究所長
財政金融研究所研修支所長
会計センター所長
造幣局長
印刷局長
財務局長
福岡財務支局長
税関長
沖縄地区税関長
国税庁長官
 大蔵省職員の綱紀の厳正な保持を図るため、大蔵省職員倫理規程I及びIIを次のように定める。

平成8年12月26日
大蔵大臣  三(注) 博
大蔵省職員倫理規程1
 第1章 総則
(この規程の目的)
第1条 この規程は、関係業者等との接触等に関し大蔵省職員が遵守すべき事項等を定めることにより、職務執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。

 第2章 職員の基本的心構え
(国民全体の奉仕者であることの自覚)
第2条 職員は、すべて公務員は国民全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないことを自覚し、公正な職務の執行に当たるとともに、公共の利益の増進を目指して職務を遂行しなければならない。
(公務の信用保持)
第3条 職員は、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを認識するとともに、日常の行動について常に公私の別を明らかにし、職務やその地位を私的な利益のために用いてはならない。
 また、職員は、国家公務員法等に定める手続により許可等を得て兼業を行う場合にあっても、公務の信用を損なうことのないよう留意しなければならない。

 第3章 関係業者等との接触に関する規制
(関係業者等の定義)
第4条 関係業者等とは、次に掲げるものをいう。
 (1) 当該職員の職務に利害関係のある業者及び個人(これらの者の集合体であって法人格を有しないものを含む。)
 (2) 職員の地位等の客観的な事情から当該職員が事実上影響力を及ぼしうると考えられる他の職員の職務に利害関係のある業者及び個人(これらの者の集合体であって法人格を有しないものを含む。)
(関係業者等との接触に当たっての禁止事項)
第5条 職員は、関係業者等との間で、次に掲げる行為を行ってはならない。
 (1) 接待を受けること
 (2) 会食(パーティーを含む。)をすること。
 (3) 遊技(スポーツを含む。)、旅行をすること。
 (4) 転任、海外出張等に伴うせん別等を受けること。
 (5) 中元、歳暮等の贈答品(広く配付される宣伝広告用物品を除く。)を受領すること。
 (6) 講演、出版物への寄稿等に伴い報酬を受けること。
 (7) 金銭(祝儀等を含む。)、小切手、商品券等の贈与を受けること。
 (8) 本来自らが負担すべき債務を負担させること。
 (9) 対価を支払わずに役務の提供を受けること。
 (10) 対価を支払わずに不動産、物品等の貸与を受けること。
 (11) 未公開株式を譲り受けること。
 (12) 前各号に掲げるもののほか、一切の利益や便宜の供与(社会一般の接遇として容認される湯茶の提供等を除く。)を受けること。
(家族関係等私生活面における行為の取扱い)
第6条 前条の規定は、家族関係、個人的友人関係等に基づく私生活面における行為であって職務に関係のないものには適用しない。
(籍口行為の取扱い)
第7条 第5条に規定する行為には、「私的な交際」、「社交儀礼行為」、「勉強会」、「研究会」、「講演会」等に籍口して行われる行為も含まれる。
(第5条の例外となる場合の手続)
第8条 第5条には、対価を支払って会食をする場合、あるいは、職務として必要な会議等において会食をする場合等例外となりうる場合もあるが、職員は、例外としてこれらの行為を行う場合は、第14条で定める服務管理官に事前に届け出て、その了承を得るものとする。やむを得ない事情により事前に届出をすることができない場合には、事後、速やかに服務管理官に報告しなければならない。
(関係公益法人等との接触についての準用)
第9条 職員が公益法人等設立に許認可を要する関係法人の役職員と接触する場合については、第5条から第8条の規定を準用する。
(官公庁との接触についての準用)
第10条 職員が官公庁(国の行政機関、地方公共団体及び特殊法人等の政府関係機関)の職員と接触する場合については、国民の疑惑や不信を招くようなことの防止を基本として、職務上の必要性に留意しつつ、第5条から第8条の規定を準用する。

 第4章 処分等
(違反に対する処分等)
第11条 職員に、第3章に定める規定に違反するおそれがあると認められる場合においては、当該職員の上司は、服務管理官と連絡を取りつつ、直ちに実情調査を開始するとともに、服務管理官は、必要に応じ、第14条で定める総括服務管理官に報告する。
2 職員に、第3章に定める規定に違反する行為があったと疑うに足る相当の理由がある場合においては、任命権者又はその命を受けた者は、総括服務管理官又は服務管理官と連携して、直ちに、本人からの事情聴取を行うなど実情調査を行う。
3 第3章に定める規定に違反する行為があったと認められる職員から辞職の申出があった場合において、当該職員を懲戒処分に付すことにつき相当の事由があると思料するときには、任命権者又はその命を受けた者は、辞職の承認を留保し、総括服務管理官又は服務管理官と連携して、必要な実情調査を行う。
4 第2項又は第3項の調査の結果、職員に第3章に定める規定に違反する行為があったと認められた場合においては、任命権者又はその命を受けた者は、総括服務管理官又は服務管理官と連絡を取りつつ、その違反の程度に応じ、懲戒処分(免職、停職、減給又は戒告)、訓告、厳重注意、注意等の人事管理上必要な処分等を厳正に講ずる。

 第5章 本省庁課長相当職以上の職員に対する特別の遵守措置
(定期的な措置)
第12条 任命権者又はその命を受けた者は、本省庁において課長相当職以上にある者に対しては、この規程の内容について、定期的に、自省自戒と率先垂範を求め、あわせて相互の注意喚起を促さなければならない。
(異動に際しての措置)
第13条 任命権者又はその命を受けた者は、本省庁において課長相当職以上にある者については、その異動に際し、新任者に対して、この規程の内容について、自省自戒と率先垂範を求め、あわせて相互の注意喚起を促さなければならない。

 第6章 大蔵省職員倫理規程の実効担保体制
(服務管理官及び総括服務管理官の設置)
第14条 この規程に基づく綱紀粛正の推進を図り、その実効を担保するため、服務管理官及び総括服務管理官を置く。
2 服務管理官及び総括服務管理官は、別表のとおりとする。
(服務管理官の任務)
第15条 服務管理官の任務は、次に掲げるものとする。
 (1) 綱紀粛正の推進に関し、職員に対し必要な助言、指導を行うとともに、職員の相談に応ずること。
 (2) 職員からの届出状況等について、総括服務管理官に報告するとともに、必要に応じ、職員の上司に注意喚起すること。
 (3) その他、この規程の遵守の徹底を図ること。
(総括服務管理官の任務)
第16条 総括服務管理官の任務は、次に掲げるものとする。
 (1) 綱紀粛正の推進に関し、服務管理官と密接な連携を図るとともに、必要に応じ、服務管理官に対し助言、指示を行うこと。
 (2) 服務管理官からの報告をとりまとめ、事務次官等(事務次官、造幣局長、印刷局長及び国税庁長官をいう。以下同じ。)に報告するとともに、必要に応じ、講ずるべき措置等について事務次官等に上申すること。
 (3)その他、組織全体を通じ、この規程の遵守の徹底を図ること。

 第7章細則
(任命権者等による細則)
第17条 任命権者又はその命を受けた者は、この規程の運用にあたり必要な細則を定めることができるものとする。

附則
この訓令は、平成8年12月26日から施行する。


別表

別表


大蔵省職員倫理規程II

 (目的)
第1条 この規程は、関係業者等以外の者との私的な交際について大蔵省職員としての心構えを定めることにより、職務執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。

 (関係業者等以外の者との私的な交際について)
第2条 関係業者等以外の者との私的な交際についても、綱紀の保持の観点から問題があると思われるような場合には、大蔵省職員倫理規程Iに準ずるものとする。
その際、以下のことについて留意する。
 (1) 交際のきっかけ、相手方、形態等によっては、社会の批判を招く可能性があること。
 (2) 理由なく一方的な受益が続く関係は、純粋に私的な交際とは認められない場合が多いこと。

 附則
この訓令は、平成8年12月26日から施行する。


別添4
民間金融機関の役員への再就職の
自粛について(平成8年6月19日)

 大蔵省における退職者のうち次の者の民間金融機関の役員への再就職については、本人及び民間金融機関両当事者の協力を得て、以下のような自粛を求めることとする。

 @ 本省課長以上の経験者で、退職後2年以内の者は、民間金融機関の役員への再就職を、今後、行わないこととする。

 A 指定職であった者で、退職後3年以内の者は、民間金融機関の役員への再就職を、今後、行わないこととする。

 B 事務次官、大臣官房長、大臣官房金融検査部長、銀行局長、銀行局担当審議官及び銀行局保険部長の職の経験者で、退職後5年以内の者は、民間金融機関の役員への再就職を、今後、行わないこととする。

 上記の措置の対象となる者のうち、退職後2年以内の再就職につき、人事院承認を要するものについては、本人及び民間金融機関両当事者の理解を得て自粛を求め、人事院承認の申請を行わないようにしたいと考える。





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