答弁本文情報
平成十年四月二十四日受領答弁第二六号
内閣衆質一四二第二六号
平成十年四月二十四日
衆議院議長 伊※(注)宗一郎 殿
衆議院議員石井啓一君提出零細企業に対する厚生年金保険の適用及び公的年金の信頼確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員石井啓一君提出零細企業に対する厚生年金保険の適用及び公的年金の信頼確保に関する質問に対する答弁書
一について
厚生年金保険制度は、被用者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、被用者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とするものである。厚生年金保険制度の適用範囲については、被用者には被用者一般を対象とする公的年金制度が適用されることが適切であることから、国民年金制度の発足により国民皆年金体制となった後においても、適用事業所の範囲拡大に関し、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)附則第二条の二が規定されるとともに、国会、関係審議会等から政府に対し必要な措置を講ずるべきことが繰り返し指摘されてきたところである。
昭和六十年の厚生年金保険法の改正においては、従来厚生年金保険に任意加入できることとしていた従業員が常時五人未満である事業所のうち法人の事業所に使用される六十五歳未満の者について厚生年金保険を強制適用することとされたところであり、この措置は前述の厚生年金保険制度の目的にかんがみれば妥当なものと考えている。
公的年金制度は、現在、老後の所得保障の主柱として、国民の老後生活の安定に大きな役割を果たしている。しかし、近年、少子・高齢化の急速な進行、経済基調の変化等により公的年金制度を取り巻く環境が厳しくなっている中で、公的年金制度を長期的に安定したものとするためには、制度全体にわたる見直しが必要となっている。
このため、平成十一年に予定されている公的年金制度改正においては、給付と負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重なものとしないよう制度全体の抜本的な見直しを行い、将来にわたり安心して年金を受給できる制度を構築することにより、公的年金制度に対する信頼を確固たるものとしてまいりたい。なお、制度改正に当たっては、年金制度の現状や課題等について政府として積極的な情報開示を行うとともに、十分な議論を尽くし、国民の合意を得られるよう努力してまいりたい。